淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
ナースステーションの宴
2017年11月14日(Tue) 06:53:46
真夜中のナースステーションは、吸血鬼の楽園。
この夜のために選ばれた若い看護婦も。
ややとうはたったけれどまだまだイケるベテラン看護婦も。
しっかり者で知られた四十代の婦長も。
夜中なのによそ行きのスーツでバッチリとキメた、院長夫人までも。
きゃあきゃあと悲鳴をあげながら、首すじを咬まれていって。
ひとり、またひとりと姿勢を崩し、ストッキングに包まれたひざを床に突いてゆく。
首すじから血を流した女たちは、
うつ伏せに伸びたふくらはぎにまで、もの欲しげな唇を吸いつけられる。
若い看護婦は、透きとおる白のストッキングを。
ベテラン看護婦は、本来禁止が不文律の光沢入りの白ストッキングを。
婦長は、もっさりとした白タイツを。
院長夫人は、光沢のよぎる高価な肌色のガーターストッキングを。
ヌルヌルとしたよだれに濡らされ、
飢えた牙にメリメリと裂かれてしまう。
悔し気に歪む整った目鼻立ちは、辱めを受ける足許に目線をクギづけにして、
さらに悔しそうに、キュッと歯がみをしてみせる。
吸血鬼を患者として受け容れるこの病院では、
患者への輸血行為が、深夜の看護婦たちの業務のひとつ。
だから選ばれた女たちは深夜のナースステーションに集められ、
わが身をめぐる血潮で、患者の渇きを満たしてゆく。
長患いに鬱積した気分を、己れの身につけたストッキングを食い破らせてやることで、まぎらわせてゆく。
けれども彼女たちのお勤めは、これだけでは終わらない。
ああ・・・
悲しげなうめきをあげて、ベテラン看護婦がのけぞった。
身につけた白衣はびりびりと引き剥がれ、はぎ取られたブラジャーの下からは、豊かな乳房を惜しげもなくさらけ出してしまっている。
吸血鬼の長い舌がもの慣れたやり口で、三十路女の乳首をいたぶった。
そしてストッキングを剥ぎ堕とされてむき出しにされた太ももを抱くようにして、
ユサユサと女の身体を揺らしながら、淫らな吶喊をくり返した。
このひと、ご主人いるのよ。
訴えるようにそう囁いた婦長のうえに、男は劣情もあらわにのしかかる。
つぎはお前の番だといいたげに。
生真面目な婦長は四十にもなって、吸血鬼相手に初めてのものを散らしていた。
いや・・・いや・・・いやぁん・・・
齢がいもない、あられもない声を洩らしながら。
純な気持ちに齢は関係ないのよといいたげに、
肉づき豊かな腰つきを、男の強引な動きにけんめいになじませようと努めている。
いまはすっかり狎れ合ってしまった、肉と肉――
婦長が満足するまで、男はなん度も犯しつづけた。
私、もうじき結婚するんです・・・
そう哀願した若い看護婦も例外なく、劣情の餌食となった。
すでになん度も犯されてしまっている嫁入り前の女は、
男のテクにすっかりイカされて、不覚にもはしたない声をあげてはじめている。
純白のウェディングドレスの下に身につけるはずの白のストッキングは、
彼女の足許を清楚に引き締めていたけれど、
襲う男には、ただ劣情しか催さなかったらしい。
業務ですよ、あくまで業務・・・
うつろな目になった婦長が、幼子に言い聞かせるような口調で囁きつづけるのに肯きながら、
女は禁じられた淫らな舞いを、吸血鬼相手に披露しつづけた。
さいごは院長夫人だった。
このなかではいちばん年配の彼女を最後の獲物に選んだのは。
いちばんおいしい獲物をさいごまで取っておくという、
彼なりの礼儀作法なのだという。
陽のあたる場所では威厳たっぷりの街の有力者も、
吸血鬼のまえでは、一介の素人女――
心見だされ、淫らに舞ってしまうのは、ほかの女たちといっしょだった。
人手の足りないナースステーションに彼女を送り込んだのは、他ならぬ夫の院長だった。
今夜血液を提供する看護婦の頭数が足りない――そんな婦長の申し出に応じて、
躊躇なく、自分の妻に吸血鬼の夜伽(よとぎ)を命じたのだ。
お手本は、いちばん頭だったものが見せるもの――
夫の言葉に妻は肯いてみせて、夫を裏切る行為に、いまは耽り抜くようになってしまっている。
深夜のナースステーション。
そこは歪んだ宴の場。
今夜も救いと癒しを求める吸血鬼どもが、前の廊下を徘徊し、
待ち受ける女たちは、強いられた淫らな業務に息を詰め、心震わせながら、従事してゆく――
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