淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
K学院中学校 2年E組 仁藤真奈美と安西優子の場合
2018年03月08日(Thu) 06:51:25
クラスでも一、二を争う美人と自負しているあたしたち。
あたしと優子はいつも、学園祭の時だけ訪れる男子の注目の的になる。
そんな二人の初体験は、
あたしたちにはおよそふさわしくない年配の小父さまたちに汚される、
無理強いなものだった。
学園祭には、家族と招待客しか招ばないはずなのに、
それとも同級生の誰かに、家族が吸血鬼化した子がいたのだろうか?
空き教室で2人だけでいたあたしと優子の目のまえに現れたその2人は、
ひと目見ただけでそれとわかる、吸血鬼だった。
あたしも優子も立ちすくんでしまって、
おそろいの夏用のセーラー服姿を抱きすくめられて、教室の床に押し倒されて。
2人肩を並べて泣きじゃくりながら、首すじを咬まれていった――
泣きじゃくった涙が随喜のそれに変わるのに、十数分とかからなかったらしい。
あとでそれをあのひとたちから聞いてあたしたちは、
「・・・恥ずかしい」
と、そのひょう変するまでの時間の短さを恥ずかしがった。
「あまり苦しめたくなかったのだ」
あのひとたちは弁解するようにそう言ってくれたし、今ではそれを信じるつもり。
だってそのとき、最悪の展開を予感したあたしたちは、
「お願い、犯さないで!まだ処女でいたいの」
って、訴えて――彼らは聞き入れてくれたから。
その代わりあたしたちは、不思議な約束をさせられていた。
こんど校外で逢うときは、ハイソックスを履いてお出で と。
三つ折りソックスが義務づけられていたあたしたちは、
下校すると途中で靴下を履き替えて、吸血鬼の棲み処へと訪ねていった。
ほかの子たちと違うソックスを履いて道を歩くことに、周囲の目を必要以上に気遣いながら。
きっとあのときの落ち着きのなさ・・・一生忘れることはないだろう。
処女のまま生き血を愉しみたかったのか、
白のハイソックスをずり降ろしながら、いやらしい愉しみに熱中したかったのか、
あたしたちはしばらくの間、犯されずに済んだ。
夏に香織ちゃんが襲われて犯されたって聞いていたから、
そのうちあたしたちもきっとそうなるって思っていたし、
どうしてあの子たちは吸血鬼さんに振り向かれないのって思うようなパンクな子たちもクラスにいたから、
セックスを識っている子は周りにふつうにいたけれど。
やっぱり大人の女になるのは、まだ怖かったから。
冬になってもまだ、あたしたちは幸い、処女のままだった。
香織ちゃんが初めて襲われたその場で女にされちゃったことは本人から聞いて知っているし、
順子がバレンタインのプレゼントに処女を差し出したことも自慢されたけど、
やっぱりあたしたちは、まだ怖い。
でも――小父さまたちは、あたしたちに囁きつづける。
こんど夏服になったら、黒のストッキングを履いてお出で。
そうしたらきみたちのことを、一人前の大人の女にしてあげる。
自分から言い出すのは、羞ずかしいだろうから、それを合図にしようね。
いけない囁きはあたしたちの耳たぶを焦がし、鼓膜の奥底にまでしみ込んで、
あたしたちはいつのまにか、うなずき返してしまうようになっている。
三年生の夏――あたしたちはきっと、黒のストッキングをずり降ろされながら、
太ももの奥に「イヤってほど痛い(by香織ちゃん)」というモノを、突き刺されてしまうに違いない。
あとがき
登場人物や団体名等はすべてフィクションです。
2018.2.28構想 今朝脱稿
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