fc2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

淫らな甘えん坊

2006年07月13日(Thu) 21:48:17

ここは現世から隔離された無名の施設。
預けられた子供たちは、吸血鬼の落とし児たち。
そそり立つ高い壁に隔てられた建物に出入をするのは、
暗い面持ちをした若い女たち。
いずれも、借金や痴情沙汰を背負い込んで、
行き場のなくなった女たち。
指導力のあるものは「先生」と呼ばれて落とし児たちの面倒を見、
そうでないものはたんに「姉さん」と呼ばれて、血を提供する。

まだ年端もいかないヨウと呼ばれるその少年は、奥の病室に隔離された収容者。
個室を与えられるものはたいがいは。
手のつけられない乱暴ものか、誰もが気味悪がって近寄らない、ヘンな子供。
それぞれひとりの先生がつきっきりで、面倒を見る。
沙紀というその先生は、施設にきて間もない「新卒さん」。
なにも知らずにここに来て。
さいしょに見させられたのがヨウだった。
ヨウは知性の成長が止まり、いまだに姉さんと先生の区別さえつかないでいる。
ヨウがたくまずしかけてくるいやらしいしぐさにいちいち苛立ち、
鉄火な態度でぴしりとはねつける。そんな毎日。
それでもヨウは性懲りもなく。
沙紀先生が後ろを向くと背中にのしかかろうとする。

油断もすきも、あったものではない。
「ヨウくん!ダメですっ。大人の女性はそういう悪戯を喜びません」
杓子定規な態度にどういうわけかよけいそそられるらしく、
先生の叱責は、ほとんど役に立っていない。
そんな事実にますます苛立ちを募らせて。
「ダメですっ!ダメですっ!」
叫びに近い叱責に。
周囲の先生も姉さんも。
口を抑えて転げまわらんばかりにして。
噴き出す笑いをこらえている。

「姉さん。こうするとキモチいいんでしょ?」
「なにするんですっ!?ダメですっ!」
「でも、キモチいいんでしょ?」
「気持ち悪いです。やめてください」
「やだ。ボクが楽しい」
「貴方が楽しくても、私は楽しくありませんっ!」
「嘘だ。ほら、こんなに濡れてきて」
「侮辱すると、許しませんっ!」
「でも・・・でも。ほら、だんだんしっくりとしてきた」
「そう、いう・・こと・・・はっ。だめ・・・なん・・・ですっ」
先生の声が、途切れ途切れになってゆく。
姉さんたちも、先生たちも。
そ知らぬ顔をして立ち働きながら。
奥の病室のほうへと耳をそばだてている。

幼くても力の強いヨウは、どうやら先生を組み敷いてしまったらしい。
こうすると、こうすると、とてもキモチよくなるんでしょ?
呪文のように、繰り返しながら。
ひたすら、先生の秘所を捉えて揉みしだいている。
先生はもう、声もだせなくなっていて。
キュッと引き締めていたはずの口許が、いつか弛みはじめている。
生理現象よ、こんなもの。侮辱が快感になるわけがない。
理性を保とう・・・あくまで力む態度をあざ笑うように。
「ねぇ。握ってみて。おおきくなっちゃった」
つかまれた掌に無理に握らされたものは、熱く膨張しきっていた。
これを・・・これを・・・?

初めてだったのだろうか。
無理に押し込んでくるやり口は、ひどくぎこちないものだった。
それでも剛くそそり立った先端は否応なく侵入してきて。
むぞうさに、沙紀先生のデリケートな部分を貫いていた。
「ああ・・・・・・っ」
  あ~あ。
  姦られちゃったみたいだよ。
  これで、沙紀先生も一人前ね。
洩れてくるそんなささやきも、二人の耳には入らない。

はじめは力ずくだった。
強引に、乱暴に、侵してきた。
こちらの想いも関係なく。理屈や筋道もおかまいなく。
女はひたすら、憤った。
その力に、切実さがつたわってきた。
野生の本能?慄とする・・・
気がつくと。
首すじのあたりが、ぬらぬらと生暖かく濡れている。
咬み傷から溢れる血なのか・・・と思ったが。
それは透明な涙 だった。
ヨウは、泣きむせんでいた。
「ごめんね。先生」
初めて沙紀を、先生と呼んでいる。

誰もがばかにして。まともに相手になってくれない。
けれど、沙紀先生だけは、まともにボクを構ってくれた。
弱い脳みそが形作ることができない言葉の連なりを。
すり合わせてくる身の動きで、伝えてくる。
そう。だから。嬉しくて。
男が女にできる、いちばん素敵なことだと聞いていることを。
先生に、してあげたくて。
荒々しいものも。大人げのない無作法も。
すべて、過ぎ去っていて。
そこにあるのは、ひとつになった男と女の姿だけだった。

沙紀先生に、ヨウの専任をお願いします。
施設の長の指名を、それでもまだ半分以上呪わしく耳にした。
完全に納得したわけではない。
ここにくるまでは、ちゃんと恋人だっていた。
それがどうしてあのような、人であって人でないものの支配下に入らなければならないのだろう?
貴女だけなんですよ。ヨウが信服をみせたのは。
施設の長のそうした言葉に背中を押されて。
沙紀はヨウのいる奥の病室に入ってゆく。
いつもよりちょっと、濃い化粧をして。
いつもより鮮やかな色の服を着て。
ヨウくん・・・ヨウくん・・・?
病室を覗いた先生は。
ヨウくん・・・・・・。
涙声になっていた。
天に召された少年は、いままで見たこともないほど幸せそうな眠りについている。

すこし、お休みをください。
ええ、でも。必ず、戻ってきます。
あの子とおなじような子が、おおぜいいるんですもの。
ちょっとヘンで。薄気味悪くて。
けれども、私が逃げてきた俗世間の住人がとっくになくしたものを、なくさずに持っていて。
戻ってきたらもう少し。うまくやれそうです。
けれどもあの子を忘れないために。
ほかの子のものになるまで少しのあいだ、時間を頂きたいんです。
前の記事
婚約者と吸血鬼
次の記事
褥のなかの人形

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/359-e4f6e4c8