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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

婚約者と吸血鬼

2006年07月14日(Fri) 07:52:41

「考えてあげたら?美奈子さんのこと。」
母はそんなことをいう。
妖しい微笑を浮かべながら。
何もかもを、わきまえながら。
「でも・・・」
そう口ごもるボクをそそのかすように。
「いいじゃないの。このさい本当のことを申し上げてみても」
試してみたら。
心のなかのそんな本音が、ありありと聞えてくる。

代々吸血鬼に血を与える一家であることを。
同じ年恰好の男の吸血鬼に、好んで血を与える間柄になっていることを。
そして、妻を娶ったら、新妻を与えなければならないしきたりがあることを。
ひと息に、話してしまった。
美奈子は一瞬、顔を染めて。
怒るのかと思ったら。
  ありがとう。話してくれて。何かあると思っていたから・・・
口許から洩れた声色は、いままで耳にしたどんな女の声よりも。
妙なる響きをもっていた。
  やめることは、できないのですね?
上目遣いにひたと見すえる白目が、異様な輝きを帯びている。
その輝きに魅せられるように。
  ええ。離れることができないので。
異様な本音を吐いてしまった。
胸のつかえがおりて。
心を救われたボクがいた。
  いいでしょう。そのかたさえよろしければ。
  わたしの血を吸っていただくわ。
ずきん!と胸を轟かせたのは。
彼女がいとおしく思えたからか。
無垢な彼女に、異形の翳を重ねることを、本能が悦んだためなのか。

向き合う一対の男女。
女は美しく。
男も、この世のものではないほどに美しく。
申し合わせたように、スッと寄り添って。
仰のけられた白いうなじに、
きらめく牙を埋め込んでゆく。
いつも、ボクの首筋を求めてやまない、
あの毒を含んだ牙を。唇を・・・
あ・・・
女は一瞬痛そうに眉をひそめて。
それでも、もうそれ以上ひと言も口にしないで。
ちゅ、ちゅ―――・・・
呪わしいほどスムーズに流れる血液の流れを耳にして。
彼と二人で過ごす夜、覚える昂ぶりよりも
よりいっそう昂ぶってしまっていた。

いかが?
睨むように見あげる瞳を。
彼はくすぐったそうに受け流して。こちらをふり向いて。
おめでとう。素晴らしい花嫁だ。
口許にあやした血が、鮮やかなバラ色の輝きをもっている。
キミによく、お似合いだよ。この女(ひと)の血。
熱に浮かされたように。
ボクの口から発した言葉に。
男はもちろん、女のほうまでも。
艶然と笑みながら、嬉しげに応じてくる。
初めての褥を、キミに捧げたい。
いいの・・・?
女の目線はそう問いかけながら。
もう離れられない。
寄り添わせた肢体が雄弁に、そう伝えてくる。
ああ。見ていてあげるから。
それが、貴女がボクに捧げてくれる初夜。
そう思っても、かまわないだろう?

祝言をあげると。
吸血鬼の青年は、行方を晦ました。
二年は、ともに睦みたまえ。二人っきりで。
それからは。ウフフ・・・
遠慮なく、入り込ませていただくよ。


あとがき
恋敵である青年に処女の血を与えるときの、花嫁の挑戦的な視線。
もっと巧く描きたかったです・・・
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