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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

だれのため?

2018年08月06日(Mon) 05:58:20

アウトドア派を自認する親友に誘われて、妻を伴ってドライブを楽しんだ。
見返りに、妻の肉体を愉しまれてしまうなどとは、つゆ知らず。

犯された後の妻は、目を伏せて、服の裂け目を気にかけながら、わたしの後ろに隠れるようにまわり込んだ。
嫌われちゃったかな?
親友は、ちょっと気づかわし気にわたしと妻とを等分に見比べた。
きょうは、このあたりで・・・
わたしがそういうと、親友は意外に素直に応じてくれた。
帰りは玄関まで、ぼくの車で送ります。
服の裂け目をしきりに気にかけている様子の妻を見ながら、彼はいった。
でも、きょうみたいなチャンス、良かったらまた作ってくれないかな?
彼の目線は、わたしのことを通り越して、まっすぐ妻へと向けられていた。
妻は彼の目線を避けるようにうつむいたまま、かたくなな声でこたえた。
主人と話してから決めます。
小さいけれど、きっぱりとした口調だった。「私の夫はあくまでこのひとですから」と言いたげな目つきをしていた。

翌週の週末。
わたしたち夫婦は、彼の家を訪れた。
開口一番、妻はいった。
私は、このひとのために生きますから。だから――貴男とは結婚できません。
でも、このひとったら・・・変態なのよね?
意地悪そうにわたしをふり返る妻の目は、笑っていた。
このひとも愉しめるように抱いてくれるなら――貴男に抱かれてもいい。
男に注がれる上目遣いの目線に、かすかな媚びを含んでいるのを、わたしは見逃さなかった。


きょうはインドアだったわね。
彼の車の助手席に腰かけた妻は、わたしのほうをかえりみて、イタズラっぽく笑った。
身に着けた花柄のワンピースはみごとなまでに引き裂かれ、豊かなおっぱいがまる見えになっている。
車で玄関まで送ってくれるという彼の言を信じて、思うさま破らせたのだ。
屋外レ〇プに長けた彼にとって、襲ったご婦人の服を引き裂くのは、むしろ礼儀の一部になっているらしい。
まったくもってけしからぬ礼儀作法ではあったけれど。

インドアでも、愉しんでもらえたかしら?
傍らの男を上目づかいで見る妻の薄い唇が、媚びるように笑った。
来週はドライブにしましょう。そういう彼に、
明日でもいいわよ?と、応える妻。
そういえば先週は、わたしと並んで後部座席に座っていたっけな。
わたしは1人の後部座席でそんなことを薄ぼんやりと思っていた。


抱かれる前に、妻は男にいった。
それと、先週のストッキング、返してください!
妻は口をとがらせて男に主張した。
こと果てたのち、放心状態になっていた妻の脚からストッキングを引き抜いて、ポケットにねじ込んだのだ。
彼は、ストッキングフェチだった。
きっとコレクションに加えるんだろうな・・・わたしは淡々と思っていたが、
妻は引き裂かれ汚されたストッキングが他の男の手許にあるのが我慢ならなかったのだ。
男はいった。
あれは戦利品です。
妻は不平そうに鼻を鳴らしたが、もうそれ以上なにも言わなかった。

助手席の妻は、ノーストッキングだった。
だって、男のために、またもやせしめられてしまったから。

あなた~、大変よ~。奥さんのお洋服代とストッキング代、がんばっていっぱい稼いでね~。
妻が内助の功にいっそう精を出しはじめたのは、それからのことだった。
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