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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

駐在の妻の務め

2018年08月26日(Sun) 10:04:04

この村には、淫らな風習が存在した。
歴代の駐在はだれもが例外なく、この風習にまみれることになった。
そのほうが、村の治安を守るには好都合だったから。
彼らは長老たちに面会して自分の妻を差し出すと約束をして、妻の説得にかかった。
駐在の妻たちはだれもが最初は拒みながらも、職務に忠実でいたいという夫の願いをかなえないわけにはいかなかった。
そして、ひと月以外には、どの駐在の妻も、長老たちに抱かれ、愛人のひとりに加えられていくのだった。

わたしがこの村に赴任して半月。
喪服を着て長老の元に出かけていった妻は、夜遅くに戻って来た。
「操を亡くするわけだから、喪服を着ていきます」
その日の妻の装いは、せめてもの抗議のつもりだったらしい。
けれどもわたしは知っていた。
彼らは正装した婦人を汚すのが好みだったのを。
妻の礼装は、これから自分たちの奴隷になると決意した婦人の心づくしだと勘違いをされる羽目になったのだ。
長老たちの心証が良くなるのであればそれでもかまわない、と、わたしはあえて妻の意思を変えさせようとはしなかった。
予想以上の歓待に困り果てながらも、さいごには雌になって奉仕に耽ってしまった・・・とは、妻の帰宅前に電話を寄越した長老の弁。
「奥さん、ええ身体しとるのお」
長老は飾り気のない言葉で妻を賞賛し、わたしは「恐縮です」とだけ答えるのが精いっぱいだった。

翌朝。
長老が駐在所を訪ねてきた。
お目当ては妻だという。
夕べの奉仕の熱心さが忘れられず、顔を見に来た、というのだ。
「顔を見に来た」というのはつまり、「貸しなさい」ということなのだと、教えられずにも察することができた。
「行ってきなさい」というわたしに、
「では、そうさせていただきますね」と、悪びれなくなった妻。

ふたり連れだって駐在所から遠ざかる後ろ姿が、それまでとは距離感が違っていた。
露骨に手をつなぐわけでもなければ、肩に腕を回しているわけでもない。
すこし離れて並んで歩いているだけなのに、この距離感の親密さはなんなのだろう?
わたしが初めて居心地の良い嫉妬に充たされたのは、ふたりの後ろ姿を目にしてからだった。


あとがき
しっくりとくる後ろ姿。ふたりでいるときのたたずまい。
案外そういうふつうの風景のほうが、ふたりの関係を雄弁に語るのかも知れないです。
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女装する夫たち ~隣家のご主人編~

コメント

黒いワンピースの、モッコリしたお尻辺りから、すらっと伸びた黒ストッキングの後姿。
喪服姿で歩いている女性の後姿は、妄想させられる何かが発せられていますね。
昨日、街中で喪服の女性を見かけましたが、お話の中に出て来る長老と二人で歩いていく後姿となぜかダブって妄想が広がり、ひとり心の中で昂ぶっていました(笑)
by ゆい
URL
2018-08-27 月 06:52:09
編集
ゆいさん
喪服に昂るというのは禁忌性の高い感情ですが、
どういうわけか禁欲的な姿ほどなにかをそそるものを秘めているような気がします。
こういうお話を描くのは不謹慎なように感じておりましたので、
過去には喪服という表現を用いずに、「黒の礼服」などと描いていた時期があります。
案外サイト内検索で「黒の礼服」と打ってみたら、そうした過去の作品が出てくるかもしれません。
管理人の私さえ、やったことはないのですが。
^^;
by 柏木
URL
2018-08-27 月 22:21:50
編集

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