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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  きまぐれなかいせつ(7話まで)

2018年10月22日(Mon) 06:42:53

■アイテムについて
冒頭に出てくる紳士用のストッキング地の長靴下は、バブル期ごろまではごくふつうのサラリーマンが、ごくふつうに着用していました。
履いていたのは中堅以上のかたが中心だったので、その世代が職場からいなくなりつつあるこんにちでは、ほとんど見かけることがなくなりました。
次世代に受け継がれなかったアイテムとなってしまったのは、ご婦人受けがよろしくなかったことが考えられます。
筆者もある時期ふつうに着用していたことがあるのですが、電車の中で向かいの席に座っている女子高生二人組が、柏木の足許をチラチラ盗み見しながら、「あれってストッキング?」「きれい~」と、冷やかすような低い声で露骨に品評していました。
リアルでも、同僚の女性が他の男性に「なんであんなの履いてるの?ヘンだよ」と言っていました。
この種の靴下を愛用していた人たちが、ストッキングやハイソックスに対する嗜好、ひいては女装願望などを、どのていど抱いていたかは知る由もありません。
ただ、この種の長靴下のリアルな愛好者の名誉のためにいえば、乏しい身近な経験では、愛用者は厳格な性格の方が多かったように思います。

■都会からの転入家族
ここで語られる一家は、なんらかの理由で都会から転入してきています。
直接は、人事担当者の勧めに従っての転勤――となるのですが、どうやら訳ありのようです。
借金がかさんだか、うらみをかって都会に居続けることができなかったか、ふつうであれば会社を辞めて夜逃げでもしなければならない状況が想定されます。
ところがこの会社は、そうした社員でもかくまい通してくれるようです。
もちろん、創立者が生まれ故郷である吸血村に奉仕するため、血液を供給できる社員を家族ごと放り込んでいるという環境あっての話なのですが。
このプロットは、田舎の好色な吸血鬼の手にかかる都会の家族をテーマにしたどのお話でも共通のものですが、吸われる側にある程度の同意感情があるということで、家族もろとも吸血鬼の手にかかるというテーマから、悲惨さを除去する装置になっています。

■年端もいかない少女の吸血鬼
ナギというヒロインは、謎めいた少女です。
大の大人の血を吸うのに、気づかれないように背後から忍び寄って、持ってきた椅子の上で背伸びをしながら首すじを咬む――みたいな、稚拙な手口で月田氏を篭絡します。
自分の手の内に入った月田氏を、月田夫人目あてのお父ちゃんに紹介し、家まで連れて行かせたりとか、かなり思い切ったことをこともなげにやってしまうような、幼稚な残酷さの持ち主のようです。
後段で、ナギの寂しさが描かれますが、そこでは彼女のゆがんだ過去が明らかとなり、利己的な考えをそうと意識しないで抱きつづける心中が語られます。

■村に所在する都会の会社という装置
冒頭で、主人公の月田氏と向かい合わせの席で村の長老に吸血される同僚が登場します。
一貫して「黒沓下の男」と表現されるように、この場面だけのいわゆる「ちょい役」のようです。(目下のところ)
彼の役割は、ややまわりくどく語られるその前歴をとおして、月田氏がたどるであろう近未来を暗示させることにあります。
法事の手伝いという名目で駆り集められ、ほかの家の主婦もろとも、黒一色の礼装を汚された黒沓下夫人。
夫人を犯したその足で、夫の勤務先を訪れ、夫にまで薄黒い靴下を履かせて脚に咬みつくという、コアな長老氏。
大仰な誓約書にサインをさせられて、妻を寝取られることを承認してしまう黒沓下氏。
お話の本筋ではないため凝縮して描いてありますが、このご夫婦だけで、一篇のお話を描ける内容になっています。

■吸血される社員に寛容な勤務先
訳ありの社員だけが集められるこの事務所は、吸血される社員やその家族に対して寛容です。
自身が吸血されたり、妻や娘を犯されてしまう同僚たちは、別の意味での自分自身だからです。
自分の娘よりも年下の少女によって寝取られ願望を植えつけられ、家に残してきた妻の様子をのぞき見したい欲求にかられる月田氏に、職場はすすんで臨時休暇を与えます。
彼を侵蝕されつつある家庭に帰宅させる行為はきっと、彼をこころよく送り出した同僚のだれもが経験したものなのでしょう。
そこで得たものが、月田氏をもこの土地に根づかせるのに有効だからそうするのでしょうが、同時に、もしかすると初めて妻を襲われたころの記憶を月田氏の行動にに求める同僚たちの視線も、意識してもよいのかもしれません。
理解ある職場を得たことで、月田氏は律儀で勤勉なサラリーマンの日常から一歩踏み出して、吸血鬼に妻を襲われることに快感を見出す変態性を、なんの障礙もなく開花させていくのです。
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