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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ きまぐれなかいせつ2

2018年10月22日(Mon) 07:54:27

第8話から第11話では、ナギと月田氏のひとり娘であるまゆみとの絡みが描かれています。
まゆみは、都会の生活で病んだ少女です。
彼女が引き籠りになってしまったことが、月田夫妻が都会を引き払うことを選択した原因のひとつにあげられています。
もっとも、多少身勝手な夫妻のことですから、もしかすると娘の引き籠りさえもが、言い訳の一部でしかなかったのかもしれません。
ナギによると、「お姉ちゃんは太っちょ」と形容されていますが、発育の良い女子中学生だったようです。
体格は良くても心は病んでいる少女。つぎに毒牙にかかるのは彼女だと、すぐに察することができます。

下校してきたときに入れ違いのようにはち合わせた父娘が、まさか両親の血を吸いに来た吸血鬼だなどとは、まゆみは夢にも思っていません。
その夜も、持参された赤飯をふしぎそうに口にするばかりです。
お赤飯の見返りに、自分の生き血をねだられるなどとはつゆ知らず、多少気ままな彼女の日常が語られます。
(遅刻寸前に登校したり)
けれども彼女は、帰宅したときに感じた違和感から、母親の態度に疑念を抱きます。
その疑念は正しいのですが、はぐらかす母親のほうが、女としては一歩うわてでした。
まゆみはナギからの積極的なアプローチを受けて、自分の周囲に漂う不吉な雰囲気を感じ取るのです。

後半は、ナギの独白です。
そこでは、ナギのいびつな前半生が語られます。
首すじに傷跡をもつ吸血鬼がいますが、彼らもかつては人間だったはずです。
そして、自身が血を吸い取られた場面も存在するはずです。
そこを再現してみたくなりました。(ここでは使い古された技法ですが)
父ちゃんが母ちゃんを吸血鬼に紹介して寝取らせたうえ、ナギは母ちゃんの間男になった顔役氏に気に入られ、自分のほうからも顔役氏になついて、全身をめぐる血をぜんぶ、すすんでプレゼントしてしまいます。
自分の血を吸い取らせることと、自分が吸血鬼になってだれかの血を吸うこととは、表裏一体のことのように思われませんか?
人間だったときから、血を吸う人たちへの共感をはぐくんだ少女は、自身が吸血鬼となることを、すんなりと受け入れます。

彼女のなかには、いろんな種類の寂しさがあるようです。
母親との別離。血を吸う人になったのに、血を吸わせてくれるひとがいないこと。そして、大人はずるいという観念――
そこからは、親切に血をくれる都会の小父さんをだましても良いという、身勝手な確信まで生まれてきます。
けれどもどうやら、すべてを観念してこの街に来た月田氏は、家族もろとも吸血されることを消極的ながら受け容れていました。
だまされているとわかっていても彼は、少女への献血を拒むことはないかもしれません。

第8話「お洋服代」で描かれる月田夫人の節子は、すでに犯され吸血鬼の情婦になった状態です。
つましい暮らしに狎れた節子は、吸血鬼から「お洋服代」として差し出された現金を、いともあっさりと受け取ります。
夫が露骨にも「売春ではないか」と疑念を持つのに対して、彼女は吸血鬼のために汚されるお洋服を弁償してもらうという態度です。
節子はあくまでも夫に従順な妻ですが、それでも女のしたたかさを時折、ちらちらさせるようになるのです。

■この記事の前編「≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ きまぐれなかいせつ」はコチラ。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3648.html
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