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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ 20 母の醜聞

2018年10月28日(Sun) 23:45:10

部屋の隅に押しやられたちゃぶ台の前、ひざを突いた格好で上背を反らせた母親は、まつ毛を震わせ口許を喘がせながら、父さんではない男のひとに抱きすくめられていた。
抱きつかれたあとひざを落としたようにみえた。男は草色の作業衣を着ていて、母さんの背中に腕をまわし、片方の掌で母さんの頭を、もう片方の掌でこちら側のうなじを掴まえて、むこう側のうなじに顔を埋めていた。
男は、くいっ・・・くいっ・・・っと喉を鳴らしていた。
鈍くて重たい音だった。
母さんがなにをされているのか、さっきおなじことを経験してきたばかりの娘には、すぐにわかった。
母さんは腰にエプロンを巻いたまま、そのエプロンにも、エプロンのうえに着た空色のブラウスにも、モスグリーンのカーディガンにも、赤黒いしずくを点々と滴らせていた。
しずくは母親の生命を映すように、しずかな光をたたえながら彼女の身体を伝い落ちていった。
ひっ・・・
声をあげたのは、まゆみだったのか母親のほうだったのか。
やがて母親は姿勢を崩して、身体を転がすようにたたみのうえにひっくり返った。
紺のスカートがめくれ上がり、すそにレエスをあしらった薄いピンクのスリップがちらっと覗いた。
まだ意識は残っているのか、たしなみのあるいつもの母さんらしく乱れかけたスカートのすそをしきりに気にかけていた。
立て膝をした向こう側に倒れ込んだので、ふたたびうなじを狙った男の顔つきもろとも、すべては肌色のストッキングを穿いたふくらはぎに遮られてしまった。
母親が珍しくスカートを穿いていることに、まゆみは初めて気がついた。

くちゃ、くちゃ・・・じゅるうっ。
のしかかってくる生々しい吸血の音を払いのけるすべもなく、モスグリーンのカーディガンの腕がだらりとたたみのうえに伸びた。男はそれでもしばらくの間、まゆみの母親の首すじにうずくまっていたが、やがておもむれに顔をあげた。
「やめて・・・!」
声をあげてしまったことに気づいたのは、不用意にあげたまゆみの声に反応して男が振り向いたあとだった。

ナギの父親は、両脚を血で濡らしたまゆみを見ると、険しい顔つきを変えずにいった。
「あっちさ行ってろ。生命まで取んねえ」
――ナギの相手さしてくれて、すまねぇがったな。
初めて聞くしみじみとした声音に、まゆみは茫然と立ち尽くした。
男はそれ以上まゆみを振り返ろうともせず、ちゅうちゅうと音を立ててまゆみの母の血を吸った。
「ぁ・・・。ゥ・・・」
旨そうに啜る音に応えるように、母さんは呻いていた。いつかの晩ふすまごしに耳にした、夫婦の営みごとのときとそっくりな声音だった。
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