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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ ≪番外編≫ 月田氏、吸血少女の日記に、娘の受難を読み取る

2018年10月30日(Tue) 07:23:28

私がナギの書いた日記を読んでいるあいだ、ナギは私の足許にうずくまって、私の顔つきをジーッと視ていた。
時おり指を私のくるぶしの辺りにあてて、咬み破った靴下に滲む血をすくって舐めていた。
咬みついて吸い取るほうがこの子らしいのに、そんないじましいことをするのは、日記を読んだ私の反応が気になったからだとあとからきいた。
たしかに恥ずかしいほどドキッとするくだりが多かった。
しかし日記のなかの娘の言動は、まさにまゆみそのものだった。
ただ、父娘げんかのあいだにはさまって閉口したまゆみが父娘で仲良くあたしの血を吸えばいい、といったくだりは、ちょっと首をかしげた。
この段階では娘はまだ血を吸われたわけではないので、ここまでもの分かりがよくなるものだろうか?と疑問に思ったのだ。
ナギを怒らせて逃げるときには、怖かったことだろう。かわいそうなことをしたかもしれない。
さいごに引きずり倒されて咬まれてしまうくだりでは、さすがにすこし涙が出た。
わが娘が、生き血を漁り尽くされてしまう場面だったから。
こちらの気分を察したナギはちいさな声で「ごめんね・・・」と言ってくれた。
かわいそうに、きまり悪そうに、身体を縮こまらせていた。

そう、この子は観察力が鋭くて情がこまやかなのだ。
少なくともま人間に戻るときには。押すとみせては退き、退くと思わせて押してくる。
妻を彼女の父親に引き合わすはめになったあの夜などは、手加減抜きで押しまくられて、妻の一切合財をさらい取らせてしまうことになってしまったのに、ナギは終始静かな目で、私たち夫婦を見つめていた。
無理にすりよることも、力ずくでねじ伏せることもほとんどせずに。
牙を入れてくるときも、ナギの歯に込められる力は弱い。甘く咬んで薄い皮膚を破るとあとはひっそりと唇や舌を浸してくるだけ。だからこそ怖い。
彼女はつぶらな優しい目で、じっと視ているだけ。
静かに侵され蝕まれてゆく私や家族の日常を。私の家族がじりじりと堕ちてゆくありさまを。

それに比べるとナギの父親はよほど分かりやすかった。
だれかの血で満ち足りているときにはぼくとつな真人間だった。
もっともたいがいの場合、彼が私とコンタクトを取るときは渇いているときだったから、私のほうでは彼のことを、いつも落ち着きをなくして切羽詰まっている人という印象を受けている。
妻を目の前で支配されながら黙っている私のことを、彼はいったいどう思っているのだろうか?
その彼もまゆみの血を吸ったということに、正直うろたえてしまった。妻も娘も襲われたわけだから。
吸血鬼の父娘に挟まれて、まゆみはいったいどんな気持ちで咬まれていったのだろう?
けれどもすでに、そんな想像はむなしいものとなっているはずだった。
いまのまゆみ自身が吸血されるということに、ほとんど苦痛を感じていないだろうことは明らかだから。
まゆみはこの村に棲む少女の多くとおなじように、この子としょっちゅう、これから出歩こうというのだから。
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