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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血児童。

2018年11月26日(Mon) 07:57:45

桜井晋也が父に招(よ)ばれてこの村に来たのは、春のことだった。
お前もそろそろ、身を固めないか?いいひとがいるんだが。
勤務先がかわって山奥の田舎に母を連れて引っ越した父と会うのも、ひさしぶりのことだったが、
その誘いを断り切れない事情を、彼は抱えていた。
教師だった彼は、教え子の女子生徒にわいせつ行為をはたらいたかどで、失職していたのだ。

意外にも、相手の女性はまだ未成年だという。
晋也もまだ二十代だから、それほど不自然な年齢差ではないだろう――と、母は取って付けたようにいった。
16歳になったら、結婚は自由だからね。制服を着た女子高生を、おおっぴらに抱けるんだぞ。
父も珍しく、そんな下世話な冗談をいった。

女子高生を抱ける。
晋也のなかで初めて、血が騒いだ。
すっかりその気になっていた。

紹介されたのは、まゆみという少女だった。
白のハイソックスは、いくらなんでも子供っぽ過ぎるだろ。
晋也はそう思ったが、濃紺のセーラー服姿でお見合いの席に現れた少女に、いっぺんに好意を抱いた。
少女は緊張しているらしく、色白の丸顔に大きな瞳をはりつめて、
ほとんど口も利かずに晋也の顔を見つめるばかりだったけれど。

学校で教師として働ける。
残念ながら、小さい子ばかりの学校だったけれど、それ以外の仕事をしたことのない晋也は気が楽だった。
この村の学校はどこも私立だから、オーナーの気に入れば入れるのさ、と、父は訳知り顔にいった。

初めて学校を訪問したとき、校庭の隅に立ち尽くした、瘦せっぽちの少年がこちらをじっと視ているのに、晋也は気づいた。
あの子、さっきから俺を見ている。
そう父に告げると、あの子は吸血鬼だよ、と、父はこともなげに言った。
え?と訊き返すと、父はいった。

ほら、視て御覧。あの子のハイソックス、真っ白なのに赤いシミがついているだろう?
あの子も吸われたばかりなのだよ。
都会から越してきて、ひと晩で家族全員血を吸い取られてしまったんだ。
お前も狙われないように、気をつけなくちゃな。

あの子はあぶないな。
ふつうは目だたないように、
髪を伸ばして首すじの咬み痕を隠したり、
ふくらはぎの傷を色の濃いハイソックスやタイツで隠したりするはずなのに。
わざとわかりやすくしているっていうことは、だれかぼくに血を下さいって言っているのと、同じことなんだよ。
目を合わせちゃだめだぞ。血を吸われたいのなら話は別だけどな。

晋也は慌てて少年から目をそらした。
けれども少年は、晋也が校門を出ていくまで、じっと見つめつづけていた。
彼が、自分の新妻の純潔を狙っているとは、夢にも思わなかった。

先生、ちょっといいですか?
授業が終わるとすぐに、その少年は晋也のほうへとやって来た。
もはや避けようがなかった。
少年は晋也の受け持ちのクラスにいた。
そして授業のあいだ、ずっと晋也を見つめつづけていた。
晋也は必死に目を合わせまいとしたけれど――授業が終わって迫って来た少年と、目を合わせずにはいられなくなった。
凄い目力だと、晋也は思った。
気がつくと、教室にはもう、だれもいなくなっていた。

喉、渇いてるんです。 少年はいった。
そ、そうかい・・・? 晋也は必死に受け答えする。
水でも飲んだら?と言い添えようとしたが、かすれて声にならなかった。
本当は先生、ぼくに血を吸われるの、愉しみにしてたんでしょ?
そ・・・そんなことはない。
少年は白い歯をみせて、ニッと笑った。
いやな笑いかただった。
教室を出ようとする後ろ姿をつかまえられて、ズボンのうえからお尻を噛まれた。
ギャッ!
ひと声叫んだ彼を制するように、噴き出した血を呑み込むゴクゴクという喉鳴りが、耳ざわりに響いた。

まゆみと結婚するんだよね?
遠慮なくそうするといいよ。
村をあげてお祝いしてくれるよ。
エッチな先生、おおっぴらに女子高生を抱けるんだね。
いろんな制服を着せて、愉しむといいよ。
でも、まゆみを最初に犯すのは、ぼくだからね。約束だからね。

全身から力が抜けて足腰立たなくなった晋也の手を取りあげて、無理やりに指をからめて「指切りげんまん」をすると、
少年は「失礼しまーす!」と、いままでにない元気な声を張りあげて、教室を後にした。

すべてを知るのに、時間はかからなかった。
帰宅してみるとあの少年が家にあがり込んでいて、母親の寝室に侵入していた。
邪魔してはいけないよ、と、たしなめる父に断って中を覗くと、
ねずみ色のストッキングを穿いた母親のふくらはぎに、あの少年が咬みついていた。
そういえば父も、へんにさえない顔色をしていた。
夫は妻を守るものだからね。父はあとで晋也にそういった。
少年の欲望を満たすため、父は妻の血液を無償で提供しているのだと、初めて覚った。
お前にもそうしてもらうために、来てもらったんだ。どうやらわが家の人間の血は、彼のお気に召したらしくてね・・・

わいせつ教師の血は、意外にイケるね。
少年は白い目で晋也を見あげた。
先生はまゆみと結婚するんだろ。
もちろんそうすればいいと思うよ。
セーラー服の女子生徒と、おおっぴらにセックスできるんだものね。
でも、まゆみはぼくのものだからね。
まゆみを最初に犯すのもぼくだし、
結婚した後もぼくがその気になったら、先生はまゆみを差し出さなくちゃいけないからね。

指切りげんまん・・・
失血で動きの鈍くなった先生に、少年は小指を差し出した。
晋也は昂ぶりに声を上ずらせて、指切りげんまん、と応じながら、自分から少年の指に自分の指をからめていった。
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