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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「逆」単身赴任――街の体験を再現する夫たち

2019年01月06日(Sun) 09:26:25

「オ、岩瀬くんか。久しぶりだね」
E市の事務所に着任すると、真っ先に声をかけてきたのは嘉藤だった。
「あ、どうもお久しぶりです。お元気そうですね」
ありきたりの返事を返す岩瀬に、嘉藤は周囲に聞こえないように耳打ちをした。
「前任地での出来事を会社で話すのは、ご法度だからな」
わかってますよ・・・と、岩瀬は苦笑いしながら応じた。

お互いにとって前任地は、夫婦の歴史を塗り替える場所だった。
吸血鬼の棲む街に赴任させられたものたちは、夫人の帯同が義務づけられていた。
当地での業務はほとんどなく、夫たちは労せずして高給を手にすることができた。
その代わり、同伴した妻や娘たちは、その地に棲む吸血鬼の毒牙にかかり、彼らの愛人に加えられていったのだ。

岩瀬の赴任は、嘉藤よりだいぶあとだった。
都会で借財を重ね、その追求から逃れるためにこの会社に入社し、吸血村への赴任を希望した。
妻も同意の上だった。
妻を吸血鬼に襲われて犯されてしまうのは、もちろん歓迎すべからざる境遇であったけれど、
もはや岩瀬にそれ以外の選択肢は残されていなかったのだ。
先輩にあたる嘉藤もきっと、なにか都会にいられない事情を抱えた立場だったのだろう。
借金は会社が肩代わりして返済してくれたので、このほど晴れて都会住まいを再開することのできた岩瀬だったが、
はたして嘉藤はどうなのだろうか。

嘉藤はその美しい熟妻を、あの街に残してきていた。
7人もいるという愛人たちが、嘉藤夫人との別離を惜しみ、嘉藤が彼らの思いに好意的に応えた――ときいていた。
いまでも嘉藤は週末ごとにあの街に戻っていたが、「2回に1回は見守り係さ」と、苦笑いしながら告白した。
帰宅した夫は、吸血鬼どもが自分に代わり妻とくり広げる熱々のラブ・シーンをたっぷり見せつけられてひと晩を過ごすのだという。
「いい齢をして男を7人も作りやがって」
嘉藤は心許した岩瀬にそう毒づいたが、
「俺の女房は魅力的だから、男が7人もいるんだぜ」
と、自慢しているようにさえ岩瀬の耳に響いた。

岩瀬の妻、紗栄子もまた、街に棲みついてすぐ、吸血鬼の来訪を受けていた。
出勤していった後の岩瀬家は、ほかの都会住まいだったサラリーマンの家庭同様、吸血鬼のハーレムと化していた。
ひとりの吸血鬼だけに奉仕することが決まった人妻以外は、月に1回、「ご開帳」と呼ばれる儀式を体験した。
その晩は、どこのだれが通ってきても受け容れるという儀式で、それをきっかけに愛人を増やす人妻も多かった。
すでに吸血鬼に妻を寝取られた夫たちにも、「ご開帳」への参加は許されていたから、
そういう夜に夫たちは、来訪する男どもの行列のなかに、勤め先の同僚の姿を見出すことも珍しくなかった。
「あいつ、うちの女房に関心あったんだな」
そんな新たな”発見”が、翌日からの夫たちの関係を変えた。
それまで高飛車な態度だった上役が、妻を抱いた若い部下に和やかに接するようになったり。
同僚どうしで公然と妻を交換し合ったり。
いちど抱いた若い部下の奥さんが忘れられなくなって、そんな上司の想いを察した部下が家に夕食に誘ったり。
奇妙なことに、妻を共有した経験をきっかけに、関係が良くなるのがつねだった。
岩瀬の妻である紗栄子と嘉藤の関係もそうだった。
自室で仰のけられた妻の裸体に覆いかぶさろうとする嘉藤は、岩瀬と目が合うときまり悪げに笑った。
けれども、そのあとの行為はどの男のそれよりも激しかった。
愛妻のうえにのしかかる上司。息をはずませてそれに応じる紗栄子。
ふたりの組み合わせに、岩瀬は不覚にも射精をこらえきることができなかった。
以来嘉藤は、岩瀬家に足しげく通うようになった。
「うちにお客が来ていてね」
それが嘉藤の口癖だった。
年輩だったが評判の美人だった嘉藤の妻のもとには吸血鬼たちが足しげく通いつめて、
夫の嘉藤は彼らに遠慮をして帰宅を遅らせるのが常だったのだ。
吸血鬼に妻を犯されているあいだ、嘉藤は部下の家に招かれて、その若妻を抱きすくめる――
「まるで食物連鎖ですね」という岩瀬に、「そう言うなヨ」と嘉藤は満足げに目を細めていた。


「嘉藤さん、今夜いっしょに夕食いかがですか?妻も会いたがっていますし」
岩瀬が嘉藤にそう持ちかけたのは、再会の翌日のことだった。
「まだ引越しで落ち着かないんじゃないのか?」という嘉藤に、
「お逢いした方が気分が落ち着くと、紗栄子が言っていました」と伝えた。
嘉藤はもちろん、よろこんで応じた。
「酔いつぶそうか?それとも、ロープでぐるぐる巻きか?」
嘉藤の問いに、「ロープ、用意してあります」と応えながら、岩瀬は以前と同じ呟きを口にした――まるで食物連鎖ですよね?と。

久々に顔を合わせた岩瀬夫人の歓待に、嘉藤はしたたかに満足した。
部下を縛ってしまうと、エプロンを着けたままの紗栄子を後ろから羽交い絞めにして、吸血鬼みたいに首すじを吸った。
「あぁあ・・・っ」
紗栄子が柳眉を逆立てて、嘉藤に応じた。
初めて咬まれて以来、首すじを吸われると感じてしまうのが、紗栄子の習性になっていた。
目のまえでは、縛られた岩瀬が目を充血させてこちらを見ている。
「亭主の前で感じちゃっていいのか?」
と、紗栄子を責めながら、スカートのなかに手を入れて、秘所をグイグイとまさぐり続けた。
紗栄子の身体から力が抜けて、たたみの上にひざを突いてしまうと、力まかせに押し倒した。
パンストを半脱ぎにしたまま犯すと、岩瀬が特に昂奮するのを、嘉藤はよく心得ていた。
嘉藤の虐げるように激しいセックスに、岩瀬夫人も、岩瀬じしんも、したたかに感じつづけてしまっていた。
ここは吸血鬼のいない都会の一隅だったが、マンションの室内では、あの街と同じ光景が再現されていった。


それ以来、岩瀬夫妻と嘉藤の交流が再開した。
「今夜どう?」と嘉藤が誘うと、岩瀬は必ず応じた。
紗栄子は専業主婦だったので、いつでも都合を合せることができた。
初めての夜は娘2人の寝静まった深夜だったが、
「もう娘たちも年ごろなので、夜よりは昼間のほうが気を使わなくて良いです」
と、紗栄子は母親らしい気遣いをみせた。
嘉藤と岩瀬は業務上もコンビを組んでいたので、出張・直帰の名目で、事務所をそうそうにあとにすると、岩瀬のマンションへと直行した。
どうしても夜になるときは、あらかじめ指定したホテルに紗栄子が待っていた。
よそ行きのスーツ姿に息荒くのしかかってゆく嘉藤の背中を、岩瀬はいつも昂った眼で見つめつづけていた。


「紗栄子が、街に帰ります」
岩瀬の告白に、嘉藤は眉をあげた。
以前から紗栄子に執心だった吸血鬼が、どうしても戻ってきてほしいとラブ・コールを送って来たというのだ。
愛人の意向が夫のそれに優先するのは、つねのことだった。
そして紗栄子が一番気にかけたのは、夫のことではなく嘉藤のことだと、岩瀬は告げた。
「そう・・・それは寂しくなるね」
しんみりとなった嘉藤を慰めるように、岩瀬がいった。
「娘たちは当面、こちらに残ります。学校がありますからね。急には移れないんですよ」
街での赴任期間中、図らずも手にした高給で裕福になった岩瀬は、このマンションも持ち家になっていたし、娘たちは名門校に入学させていた。
姉妹はそれぞれ別の学校に通っていた。
上の娘はブレザーで、下の娘はセーラー服だという。
そう言えば、真昼に岩瀬のマンションで情事の真っ最中に、下の娘が急に帰ってきたことがあったのを、嘉藤は思い出した。
白と紺のセーラー服の夏服に、白のハイソックスの足許が眩しかった。
嘉藤の表情が動くのを読み取るように、岩瀬がいった。
「紗栄子の留守中は、娘たちに相手をさせます。紗栄子もそのつもりです」


岩瀬の上の娘を犯したのは、紗栄子が街に戻ったわずか一週間後のことだった。
下の娘を父親が連れ出した後、勉強を教えるという名目で姉娘の勉強部屋に入るとき、嘉藤はさすがに胸が震えた。
なにも知らない姉娘はにこやかに嘉藤を迎え入れ、机に向かう少女の傍ら、嘉藤はベッドに腰かけてよいと言われた。
折り返しのある深緑のハイソックスが、嘉藤の目を眩しく射た。
約束どおり、数学の問題を三問、解いてやった。
理系だった嘉藤には、ぞうさのないことだった。
少女は健康そうな白い歯をみせて、嘉藤にいった。
「教えてくれたお礼をしなくちゃいけませんよね?」
え?と首をかしげる嘉藤に、少女はちょっとだけ羞じらいをみせた。
「教えてくれたお礼が教えてもらうことになるって、母から聞いています」
回りくどい表現を、なんとか舌を噛まずに伝えようとする少女の口ぶりは、意図を裏切ってたどたどしかった。
「聞いているのか?」
「嘉藤の小父さんを悦ばせてあげてって・・・」
口ごもる少女を、これ以上しゃべらせるべきではないと嘉藤は感じた。
少女の手を引くと、思いのほか素直に立ち上がり、ベッドに座る嘉藤の隣に腰を下ろした。
力を込めてシーツの上に押し倒した少女の胸を、制服のブラウスの上から揉みはじめると、
彼女は、唇から生暖かい吐息を洩らした。
ピリピリと神経質にまつ毛を震わせる横顔が、紗栄子に似ていると思った。
嘉藤は少女の横顔に顔を近寄せていって、唇を奪った。
ピンク色をした唇をこじ開けて吸った少女の吐息は、唇の色と同じ色をしていると思った。
脱がされたパンツをハイソックスを履いたままの足首に絡みつかせながら、少女は初めての痛みに耐えた。
きちんとひざ下まで引き伸ばされたハイソックスが、切なげな足摺りとともに、弛んでずり落ちていった。

知っていたんです。
お父さまが小父さまを連れて帰ると夜は、いつも早くに寝かされるけど。
部屋まで聞こえてくるお母さまの声がふつうじゃなくって、怖くなって覗いちゃったんです。
お父さまが縛られているのを見て、小父さまはほんとうは強盗なの?って思いました。
仲良しの小父さまにだまされて、お父さまは縛られお母さまは襲われているのかな?って思いました。
でも小父さまとお母さまとは、息がすごく合っているような気がしました。
それからお母さまにお父さまから電話がかかって来て、どこかに呼ばれていくのを何度も見ました。
そのたびにお母さまは綺麗なお洋服でおめかしをして、あたしたちを残してウキウキと出かけていきました。
なにか楽しいことがあるのだろうか?と思っていたら、夜遅く帰って来たお母さまのストッキングが破けていました。
よく見ると、髪もちょっと乱れていて、ブラウスは着崩れていました。
あれはぜんぶ、小父さまの仕業だったんですね?

妹にも手を出すんですか?
良いですよ、あたしお姉さんだから、妹が怖がらないよう手引きしてあげます。
出来るお手伝いがあったら、いつでも申しつけてくださいね・・・

たどたどしく洩れる声色のすべてを聞き取ると、嘉藤は再び欲情を覚えて、
制服のスカートの奥にもういちど、強く逆立った一物を突き立てていった。
少女は目をキュッと瞑り、のけぞりながら歯を食いしばった。
声を洩らすまいとしているのがわかったから、声をあげるまで犯しつづけた。
「ァ・・・」
思わず洩らした小声に悔しそうな顔をする少女に、「声、あげたね?」と囁くと、
「イヤだ、小父さま・・・」と目をむいた。
抗議をしようとする口許を、唇を圧しつけて塞いでやると、少女は初めて、応えてきた。

岩瀬が再び街への転勤の辞令をもらったとき、嘉藤も同時に街に戻っていた。
嘉藤の妻の和香子は、すでに特定の彼氏を作っていたが、
今後も彼氏の来訪を自由に認めるという条件で、夫との同居を受け容れた。
なん人もの男たちとの交流を経て、性格もセックスもいちばん相性の良い一人を決めたのだ。
もっとも浮気性な和香子は、かつての恋人たちとも、時折夜を共にするので、
嘉藤は妻の多忙な日常に、再び振り回されるようになっていた。
和香子が自宅で彼氏といっしょに過ごす日は、嘉藤は自宅を明け渡して、岩瀬の家を訪ねた。
岩瀬の妻の紗栄子も多忙な日常を再開させていたので、いつも逢えるとは限らなかったが、
姉娘につづいて妹娘も犯していた嘉藤が、女に不自由することはなかった。
岩瀬はいつも、妻の情事に同行をさせられていた。
送り迎えはもちろん、吸血鬼の毒牙にかかる妻のありさまを見せつけられるという大任を仰せつかることもしばしばだった。

街を経験した夫たちは、他所の土地に赴任しても街の世界を再現してお互いの妻をむさぼり合い、
街に戻って来たあともまた、犯し犯される日常を愉しみつづけていった。
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コメント

柏木さん、ご無沙汰しています。久しぶりにお話し読んで、興奮してしまいました。

部下の妻、そして姉娘との情事が良い感じですね~ 
「まるで食物連鎖ですね」この言葉は、このお話を一言で表せるナイスな言葉ですね。

妹娘との情事もぜひ続きでお願いします(笑)

では、今年もよろしくお願いします。
by ゆい
URL
2019-01-14 月 09:32:29
編集
>ゆいさん
お久しぶりです。^^
&ようこそいらっしゃいました。

描いたあと、ちょっとだらだらと長すぎたかな?と、すこしだけ反省しました。(笑)
でも、ゆいさんに認めてもらえたので、ホッとしています。
^^;

このお話でもっとも描きたかったシーンは、
ゆいさんも取り上げてくれている「食物連鎖」のシーンです。
吸血鬼の夜這いが認められている街で、どさくさまぎれにリアルな関係の人が妻の肉体を求めてきて・・・というシーンも、好みです。

妹娘のところまでたどり着くまえに、パワーが切れました。
(^^ゞ
姉娘だけでなく、妹娘まで喰われてしまう・・・というくだりは、けっこうコアなイメージを持っていたのですが。
(^^ゞ

続編、期待せずにお待ちください。
A^^;

以前はちょっと無理をすれば、そんなのノリノリでなくてもお話をつむぎ出すことができたのですが、
このごろはインスピレーションが衰えて、書きたい話も想うようにまとまりません。。

・・・と言いながら、忘れたころに幾話も描いちゃっているかも ですが。
^^;

こちらこそ、今年もどうぞよろしくお願いします。
by 柏木
URL
2019-01-16 水 23:29:42
編集

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