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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

真夜中の女医

2005年10月11日(Tue) 22:39:00

―――あら、元気ないのねぇ。
深夜の闇のなか。
女は、軽い非難を口にする。
ひそめた眉が妖しいまでに美しい。
陶然となって見あげる私のまえに漂う長い髪は、
黒髪なのか、銀髪なのか。それとも金なのか。
朦朧としてそれすら分からないのは、理性が喪われたため?
それとも単に、闇のせい?

白い頬に散った、バラ色の飛沫。
女は口ではくさしておきながら、
小指でなぶるようにして、
冷たく色あせた薄い唇に紅を刷くように、
私の血で己の唇を彩ってゆく。
すうっとひとすじに・・・

治療に参りました。
部屋に入ってくるときに。
女は弛んだ口許をさらに弛めるようにして、そういった。
いちおう、白衣は身に帯びている。
―――治療に来たくせに、患者を貧血にするのかい?
イタズラっぽく訊く私。
―――それとも、女医さんというのは、嘘・・・?
女はいっそうイタズラっぽく、
―――アラ、いつ女だと申し上げたかしら。
―――じゃあ、男なのか・・・?
弛んだ唇がいっそう弛む。
―――さぁ。どちらだったかしら。忘れたわ・・・
あくまでなぶるようにしてうそぶく女の、冷たい横顔。

お相手の望むまま、男にも女にもなれるのよ。
でも、女に化けるほうが、とても疲れるの。
女は、装わないといけないから。
だから、血も沢山、いりようなのよ。
分かってくださるでしょう・・・?

女はそういってもうひとしきり、私のうえにおおいかぶさると、
冷え冷えとなった身体の上から起き上がり、
―――では、奥様の番ね。こんどは男に化けて、奥さんのこと犯してみようかしら。
鼻を鳴らしてうそぶく女。
上機嫌なときのクセだった。
私がかすかにうなずくと、それに応えるように、
さあっ・・・
と、色も定かではない長い髪の毛をさらさらとひるがえして、
妻の寝室へと消えていった。

ドアの向こうから洩れる、ちいさな悲鳴。
もはや苦痛だけではいい表せなくなった何ものかを忍ぶような、愉悦の呻き。
意識の遠くなりかかった鼓膜が、そんなひそかな物音に心地よく震えていた。


あとがき
ひさびさのアップです。^^;
今回の吸血鬼は、「ふたなり」みたいです。
女が男に化けるのと、男が女に化けるのと。
どちらが大変だろうか・・・
なんて考えているうちに、こんなものになってしまいました。^^;
彼(彼女?)は云います。
何百年と生きているうちに、自分の性別もわからなくなった・・・
はたして、本当でしょうか?
ちゃあんとすべて、わかったうえで男をなぶっているように思えてならないのですが。
私はこのひと、女のような気がするのですが。
それとも、奥さんをあとにとっておくあたりは、やはり男の感覚でしょうか?
P.S.
>皆様
病中、かずかずの暖かいメッセージ、まことにありがごうございました。m(_)m
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