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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夜風 2

2005年10月13日(Thu) 06:16:00

いまごろの季節の風には、いい匂いがする。
15歳の少女みどりは目を閉じて、庭で夜風に身をゆだねていた。
四月ももう終わろうか、というころ。
十日くらい前までは桜の花びらの香りがまだ残っていた夜の微風は、今やすっかり若葉のそれに塗り替えられている。
背後の家のなかには、灯りひとつ、ともっていない。
弟のユキヨシはカゼだといって、昨日から寝込んでいた。

「父さん、いるんでしょう?」
少女は夜風の彼方に呼びかけた。
夜更けの静寂を破るのを怖れるような、忍びやかな声だった。
声に応えるように。
さくっ。
と、下草を踏みつける音がした。
この夜更けにまだ学校の制服を着こんだ少女は、じいっと闇の彼方を見つめている。

父娘は、縁側に腰かけている。
「母さんがね。父さんに気をつけろって言ってる」
「そうかね?」
父親は他人事のように受け流して、夜空を見上げている。
「早く済ませて」
少女はみじかくいった。
ひざ下まできっちりと引き上げられたハイソックスの裏には、なかなか消えない傷が隠されている。
どういうこだわりなのか。
父がみどりの血を吸うときはかならずといっていいほど、靴下のうえから唇を押し当ててきた。
「べつに。メイワクなわけじゃないけど」
少女は無機質な声で、制服の一部にわざとのように唾液をなすりつけてくる父親の行為を受け容れていた。
ヒルのようにじっとりと濡れた唇から洩れてきた牙がチクチクと、滲むような痛みを押し重ねてくる。
すこしのあいだの辛抱だった。
あやまたず、いつもの傷口に刺し込まれてくる牙が。
おどるようにハイソックスをなぶりつづける唇が。
少女の温かい血潮を悦んでいた。

「母さん、今夜はもどらないと思うけど」
夜風の彼方に目線をおいたままの横顔に浮んだ拗ねたような色は、まだまだ子供っぽかった。
「ほかの男に、血を吸われに行っているのさ」
「知ってるの?」
「父さんの血を吸ったヤツだからね。ヤツは母さんのことが好きで、我が家を狙ったようなものだから」
そういう呼気がそろそろと、うなじにふりかかってくるのを厭う景色もなく、少女は相変わらず父のほうを見ずに、闇夜の彼方を見つめつづける。
「ブラウス、汚さないでね。母さんに見つかるとうるさいから」
母さん、という言葉にちょっと侮蔑の色をこめた少女は、父にされるままにおさげをかきのけられてゆく。

ちゅ、ちゅううううっ・・・
紅い液体を体内から吸いだされる音にも、少女はとても無表情だった。
澄んだ月明かりの下。
父娘はしっかりと、抱き合っている。

吸いついてくる唇にやどるものに、少女はとうに気がつく年頃になっていた。
ブラウス越しにあてがわれる冷たい掌に掌を重ね、自分の掌の下でその掌がゆるやかに乳房をまさぐってくるのを、もうそれ以上妨げようとはしないでいる。
「母さん、いいの?ほっといて・・・」
さすがに夢見心地に揺れはじめた少女の目線のなかで、男は静かに頷いている。
「たちの悪いのは、お前やユキヨシにまで順繰りに取りつくだろうがね」
「母さんだけなんだね・・・あのひとのお目当ては」
「そういうこと」
男は愛人を抱き寄せるように軽々とみどりを引き寄せると、もういちど、みどりのうなじに濃厚な接吻をかさねていった。

服を汚すのは、女を征服した証しなんだぜ。
ヤツは悪友らしい顔つきで、彼にそう告げた。
妻はもう、ヤツの腕の中だった。
身に着けていたブラウスは、持ち主の血潮でしとどに濡れている。
「いいから。もっと吸えよ」
男は無表情に、気失しかけた妻の身体を、ヤツのほうへと押しやっていた。
さっきから妻の洩らしつづけている呻き声には、もはや甘やかな媚態をまじえはじめている。

ずり落ちかかったハイソックスを、少女の手が引き伸ばす。
そのうえからあてがわれる唇を、少女はもはや避けようとはしていない。
イタズラに興じるように。
とても無邪気に愉しげに。
少女はわざとらしく、脚をくねらせつづけている。
真っ白なハイソックスに、ちらちらと輝く赤黒い飛沫。
白い着衣が濡れてゆく・・・
なんだかそれがとても淫靡なもののように、少女の目にも映るのだが。
もうすっかりと、父のイタズラの共犯になっていた。
可愛らしい唇からこぼれる白い歯が、父親のなかのわだかまりを拭い取っている。

「ユキヨシのやつ、早く吸血鬼になりたいらしい。みどり姉さんのこと、襲いたがっているぞ」
「父さんも大変だね。競争相手増えちゃって」
くすっと笑う少女はもう、ブラウスを脱いでいた。
「処女の血じゃないと、ダメなの?」
ゆっくりとかぶりを振る父に、
「下着なら、濡らしても母さんにばれないよ」
少女の吐息はどこまでも初々しく、甘やかだった。

あとがき
母の浮気を咎める娘が、父の相手に・・・
ありがちな近親相姦ものに近い結論になってしまったような・・・
母に見つからないようにとブラウスを濡らされるのをきらった少女ですが、どうしても・・・という父にせがまれて?学校に履いて行くハイソックスを己の血で濡らしています。
夜更けには不似合いな制服姿も、父親の好みでしょうか。
ちょっとマニアックな世界ですね・・・^^;
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