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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

強奪される妻。

2019年04月21日(Sun) 06:12:06

喉がカラカラだった。
吸血鬼に襲われて、夫婦ながら血を吸われるようになって、半月が過ぎていた。
妻の目を盗んで訪れた吸血鬼の屋敷のなか。
いいように吸い尽されてしまったわたしは、吸血鬼と同じ渇きを体験している。
あんたは相性が良い。半吸血鬼になる素質はあるな。
男はうそぶいた。
半吸血鬼とは、どういうことです・・・?
眩暈にあえぎながら、わたしはやっとの思いで訊いた。
人間として生き、人間として我らに血を吸われるが、時には吸血鬼のように人の生き血を口に含みたくなる。
そういうことさ、と、やつはいった。

インターホンが鳴った。
待ってろ、と、男はいって、足早に玄関に近寄った。
おもむろにドアを開くと、ドアの向こうから叫び声があがった。
聞き覚えのある声だった。
「ど、どうしてっ!?」
ドアの向こうで妻がうろたえている理由が、なんとなく想像がつく。
いちど誘いを受けてしまうと、あらゆる理性を乗り越えて足が向いて、ここにたどり着いてしまう。
先刻わたしが受けた念波を、妻も受信したというに過ぎなかった。
――わたしの血だけでは、飽き足らなかったのだ。

「キャー」
ひと声叫んで、ドアの向こうの喧騒が止んだ。
チュチュ・・・ッ、じゅるうっ。
露骨な吸血の音にわたしは慄然とした――けれども、ドキドキしながら聞き入ってしまった。
わたしはすでに、半吸血鬼だったから。
やつが妻のことを羽交い絞めにして、脂の乗りきった生き血にありついていることを、悦ばしくさえ感じていた。
その場に倒れ込んだ妻にのしかかって、やつは容赦なく生き血をむしり取ると、
両手で妻のことをお姫さま抱っこして、部屋のなかへと引き込んでいた。

両目を瞑った妻は土気色の顔色で、それでも肩で息をはずませていた。
吸い尽さなかったのだな――わたしは少しだけ、ほっとした。
衝動のままに血をむさぼって、いちどは絶息しかかったこともある。
わたしの懇願を容れて、やつはせっかく獲た血を妻の身体に戻し、ことなきを得たが、
ことなきを得た代償として、わたしは妻の貞操を差し出す羽目になった。
着衣をはだけ素肌をあらわにしながら犯される妻の身体は、明らかに本能的な愉悦に喘ぎつづけていた。

すこしほっておけば、顔色もよくなるだろう。
やつはうそぶいた。
そのこともよく、知っている。
ものの30分もすれば、妻はわれにかえることだろう。
どうして彼が手かげんをしたか?
もちろん、べつのお愉しみを期待してのことだった。
わたしの同意を得ようとするような無粋は、さすがにかれは慎んでくれた。

差し出されたコップは、赤黒い液体で満たされていた。
渇きのままに口をつけると、生温かいぬるっとした感触が、唇を心地よく浸す。
妻の身体から獲られた血だ。
そうと知りながらも、わたしはコップを口から離さずに、そのままひと息にコップの中身を飲み干した。
旨いか?
すぐ傍らに、ほくそ笑んだやつの顔がある。
共犯者の笑みだった。
ああ・・・
わたしは虚ろに応えると、やつは満足そうに笑い返してきた。
蔑みや嘲りの感情は、そこにはなかった。
おなじものを旨いと感じるどうしの連帯感が、そこにはあった。

じゃあ、愉しませてもらうぜ。
やつは妻のほうに顎をしゃくって、わたしの同意を求めた。
ベッドのうえに投げ込まれた妻の顔色は、じょじょに血色を取り戻しつつある。
肌色のストッキングを穿いた両脚は、放恣に開かれていた。
男ふたりの視線が、淡い光沢を帯びた薄いナイロン生地に包まれた太ももに、それぞれの想いをこめて絡みつく。
好きにするさ、と、わたしはいった。
男は、もうひと声、と、せがんだ。
仕方なしに、わたしはいった。
家内を目のまえで犯してほしい。あんたの言うなりになった家内を視て、征服されたことを実感したいので・・・

それから一時間。
妻はたっぷりと、弄ばれた。
薄々は、わたしに視られながらの行為と、感づいているようだった。
恥じらい拒みながらも、侵入を受け容れざるを得なくなった股間の怒張に理性を狂わされて、
妻は目の前で、堕ちてゆく――
そしてわたしも、そんな妻を目のまえに、堕ちてゆく。


あとがき
誘い出された妻が、心ならずも吸血鬼の毒牙に屈して、生き血を吸い取られてゆく。
同じ吸血鬼の本能を植えつけられた夫は、
むしり取られてゆく妻を助けることもかなわず、
妻の仇敵と共有してしまった本能のまま、
男が妻を相手に好餌にありついている様子に昂奮してしまう。
強奪される妻を悦ぶ夫――
不謹慎です。あまりにも、不謹慎です・・・
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