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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

家長の責任。

2019年04月28日(Sun) 06:28:34

息子が吸血鬼に狙われて、血を吸われた。
息子の血が気に入った吸血鬼は、息子に妹を紹介させた。
仲良くなった吸血鬼になにかしてあげたくなっていた息子は、悦んでそれに応じた。
わたしは知らないうちに、子供たちの生き血を彼に愉しまれてしまっていた。

もう少し喉の渇きをなんとかしたいと思った吸血鬼は、ほかにだれかいないかと息子に尋ねた。
息子に心当たりのあるきれいな女のひとといったら、自分の母親しかいなかった。
けしからぬことに――
その吸血鬼は、既婚の婦人を襲うとき、血を吸ったあと恋に落ちてしまう習性をもっていた。

恋人になった女は決して殺さないのだと、変な理屈に納得してしまったのは、
わたし自身まで血を狙われて、家族と同じ咬み痕を、首すじにつけられた後のことだった。
家族全員がのぞき見していると知りながら、
わたしなんかの血まで美味しく飲んでもらえるのは嬉しいですと呟きながら、
わたしまで女のように、愛されていった。

ほんとうは、あんたのほうから家族の血を吸ってほしいと願ったんだよな?
俺はあんたの好意を断り切れずに、仕方なくみんなを襲ったんだったよな?
彼はいけない誘惑を、わたしの鼓膜にたらし込んだ。
わたしは懸命に、それを否定した。
けれども態度は言葉を裏切っていた。
金曜の夜になるとわたしは、家族全員に、真夜中になったら出かけると告げて、
妻はよそ行きのスーツに着かえ、子供たちは制服姿。
正装した男女を襲うのが好きなのだから。
親しい家でも訪問するときには礼を尽くすものだから。
そんな言いぐさで、
ブラウスに吸い取った生き血を滴らせたり、
ふくらはぎを咬んでハイソックスやストッキングをびりびりと破ったり。
そんないけない愉しみを果たさせるため、
みんなできみの喉を癒しに来たのだと言って、訪問を続けてしまうのだった。
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