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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

看護婦ですから。

2019年05月23日(Thu) 07:24:06

気の強そうな色白の丸顔の頬に、肩までかかる女らしい栗色の髪をなびかせて。
その女のひとは、横断歩道を渡ってきた。
ふと目が合ったそのときに、そのひとはいぶかしそうに俺を見返し、俺は恋に落ちていた。
あの・・・
思わず声をかけた俺は、自分のしたことにびっくりしていた。
相手もやはり、びっくりしていた。
あの、何か。
足を止めて向き合った視線は強く、警戒心に満ちていた。
じつは俺、吸血鬼なんです。貴女の血が欲しいんです。
あらいざらい白状するということは心が軽くなることだと、初めて思い知った。
女の反応は、とうぜんとがったものだった。
え?どういうことですか!?
言ったとおりの意味です。
ちょっと・・・
女の顔色はかすかに怒りの色を帯びてきて、なにをばかげたことを・・・と言いたげになったが、
すぐにその色を収めると、いった。
差し迫っているのですか?
はい、差し迫っています。
どのくらい?
きょうじゅうにだれかの血を吸わないと、やばいです。
そう。
女のひとは、意外なくらい冷静な目で、俺を見た。
たしかに顔色よくないわね。
彼女は独りそう呟くと、いった。
これから仕事なんです。
ですから今すぐ応じるわけにはいきません。ごめんなさい。
どうしてもというなら、あそこの公園で待っててください。夕刻6時に通りますから。

彼女の言い草にびっくりして、口をぽかんと開けていると、彼女はいった。
わたし、看護婦ですから。
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