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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

息子の嫁・華恵のその後 2

2019年06月22日(Sat) 12:07:52

吸血鬼を相手に献血をしている家族のなかで、華恵の役割は大きかった。
熟女である母さんや処女である加代子にも増して華恵が呼び出される割合が増えたのは、
彼女が自由の身である専業主婦であることと、
若々しい肢体に豊かな血液をめぐらせていることが、気安く誘う種になっていた。
ああもちろん、ぼくが寛大すぎる夫であることも、忘れてしまってはならないのだが。

そのために、華恵といままでの不倫相手との交際が、少しおろそかになったのは否めなかった。
しかし彼らは華恵から遠ざかるどころか、ますます華恵に執心したのだ。
特に彼女の元上司である花沢という50男は、
ぼくが自分と妻との交際に見て見ぬふりを決め込んでいるのを嗅ぎ当てると、
しきりにぼくに接近してきた。
ぼくはしばしば彼に誘い出されて高級な料亭でもてなしを受け、
今度のプロジェクトで奥さんを借りるのでよろしくと言われたのだ。
もちろんぼくに、いなやはなかった。
どうぞ妻をよろしくと、別の意味を込めて返したとき。
マゾの血が波打って、ズボンの股間をかすかに逆立てるのを必死にこらえていた。

その彼は、ぼくの許可を得て、昼間にぼくの家で華恵との”打ち合わせ”をくり返すようになった。
その”打ち合わせ”とやらが夫婦のベッドのうえで行われたのは、いうまでもない。
仕事を終えて家に戻って、ベッドに身を沈めるとき。
きれいに洗濯されたシーツはきっと、華恵の爛れた情事に擦り合わされたのだろうと想像して、独り布団のなかで昂っていた。
そういう夜ほど濃密な夜になることを、華恵はひっそりと笑いながら受け入れていった。

やがて花沢の奥さんが、夫の浮気に感づいた。
「弱ったな・・・家内がわしときみの奥さんとの仲を、疑っているのだよ」
呼び出された高級料亭の密室で、彼はそう言って困り顔を作った。
そして、きみからもただのプロジェクトの打ち合わせなのだと、家内に話してもらってはくれまいか?と、
ひどくムシの良い依頼さえ託されたのだった。

妻の華恵を日常的に抱いている男を弁護するため、ぼくは花沢の奥さんに連絡を取った。
手にしたメモは、花沢の筆跡。
奥さんを寝取ってほしいと頼まれたご主人に託されたような錯覚をおぼえながら、
豊かな声色をした五十代のご婦人を、そのご主人とぼくの妻との不倫現場へといざなう連絡をしたのだった。
もちろん、花沢の思惑とは、裏腹に。

組んずほぐれつの濡れ場の最中に、わが家の夫婦の寝室のドアが、だしぬけに開け放たれた。
ドアの向こうには、憤怒に満ちた花沢夫人――
花沢が仰天したのは、いうまでもない。
けれどもそのつぎの瞬間、今度は花沢夫人が驚きうろたえる番だった。
背後からだしぬけに羽交い絞めにされた彼女は、華恵のもう一人の情夫に、首すじに食いつかれていったのだ。
「な、奈々恵・・・っ!?」
よそ行きのスーツの襟に赤黒い液体を滴らせる妻の姿に、花沢は顔色を変えて起き上がろうとしたが、
それを引き留める華恵の腕は意外に強く、彼はベッドから起き上がることができなかった。
不覚にもまぐわいを再開してしまった夫の手の届かないところで、
長年連れ添った夫人は、よそ行きのスーツに血を撥ねかせながら、熟れた生き血を餌食にされていった。

いままでものにしたご婦人のなかでは、最年長だね。
ぼくが声をかけると、彼はうれし気にウィンクを返してきて、口許に撥ねた血を手の甲で拭った。
ご主人も首すじに同じ咬み痕をつけられたまま、ぼう然として座り込んでいた。
「わかっていると思うが、これからは奥さんを餌食の一人に加えさせていただくよ。
 その代り、華恵の肉体はいままでどおり愉しむがいい。
 ご主人も寛大なひとだから、あんたを妻の愛人の一人として歓迎すると言っている」
ぼくの気持ちまで勝手に代弁した彼は、
まだ腕の中にいる花沢夫人の胸元をブラウスの上からまさぐりながら、
なおも首すじから血をすすった。
花沢夫人がそのまま、ストッキングをみるかげもなく咬み剥がれたうえ、
薄茶のタイトスカートを腰までたくし上げられながら犯されていったのは、いうまでもなかった。
ぼくは父さんよりも年上の花沢を妻の愛人として歓迎する約束をさせられて、
それでも花沢とまぐわう華恵から、目を離せなくなってしまっていた。
花沢はぼくと、あいまいな笑みを浮かべながら握手を交わして、去っていった。
自分のしでかしている不倫を、不倫相手の夫と自分の妻とが認めてくれる見返りとして、
長年連れ添った妻が吸血鬼の奴隷に堕ちてしまったことは、果たして彼にとって有利な取引だったのか、高くついた火遊びだったのか。


華恵のもう一人の不倫相手は澤松といって、華恵の取引先の重役だった。
華恵は彼のことを花沢よりは信用していて、自分が吸血鬼の愛人になったと告げていた。
相手の吸血鬼とは愛し合っていて、夫も関係を認めてくれていて、良好な関係を築いていること、
夫は貴男との関係も薄々勘づきながらも黙認してくれていること、
だから澤松と吸血鬼とは、いわば同じ女性を好きになった同好の士という関係だと思っていることを伝えたのだ。

澤松は実のある男だったので、まず華恵の健康状態を心配してくれた。
当座、失血死の危険がないことを聞かされると、それでも献血の頻度が多いことを気にして、
採血のためだけなら、ぼくの家内にも頼んでみると申し出たのだ。
澤松夫人は控えめな女性で、夫のことを愛していていた。
夫が外に愛人をこさえてくることにも、苦情を申し立てることはなかった。
けれども澤松はそのことをひどく苦にしていて、「せめてあいつも浮気のひとつくらいしてくれていれば、まだ気が休まるのだが」と、
ムシの良い感想を漏らすのだった。
華恵の情夫のための献血相手を澤松夫人に依頼する話は、澤松と、華恵と、わたしとのあいだでとんとん拍子に進んだ。

いちぶしじゅうを言い含められたうえで、よそ行きのスーツ姿の澤松夫人を家に迎えたのは、早くもその二週間後だった。
澤松夫人は折り目正しくぼくにお辞儀をした。
そして、主人が大変ご迷惑をかけていると伺いました。妻として申し訳なく思っております、といった。
澤松夫妻はぼくの両親と同じ年恰好だったけれど、ぼくは夫人に対する思慕をほんの少しだけ覚えていた。

献血の儀式は、家の一番奥の日本間で遂げられた。
そこには床がのべられていて、ジャケットを脱いでブラウス姿になった夫人は、あお向けに横たわることになっていた。
けれども夫人が寝そべってお相手をするのはふしだらであるからと固辞したために、
その部屋で立ったまま、吸血を受けることになった。
わたしたちは部屋から引き取り、隣のリビングに移ることにした。
そして、二つの部屋を隔てるふすまを開け放っておいて、
「気になるようなら、様子を窺うこともできますよ」と、澤松氏に告げた。
澤松氏は丁寧に感謝の言葉を返しながらも、半開きになったふすまに背を向けてソファに腰かけた。
わたしたち夫妻と澤松氏とが華恵の淹れたお紅茶をたしなんでいるあいだ、
彼は澤松夫人を相手に、熟れた血潮に酔いしれていった。

その日澤松夫人は、夫以外の男から女の歓びを初めて識った。

こと果てたのちも、澤松夫人はなにごとも怒らかかったかのように、穏やかな笑みを浮かべるだけだった。
栗色の髪の生え際に、首すじの咬み痕が赤黒くにじんでさえいなければ、なにも起きなかったのかといぶかるほど、
彼女はさりげなく佇んでいた。
澤松夫人はご主人に、おだやかに微笑みかけながら、いった。
「これは献血というよりも、恋愛ね」
「そうかもしれない。
 きみがほかの男の味を識ってしまったことは夫として悔しいけれど、
 きみにもぼくと同じように、自由に生きてもらいたい。
 子供たちも大きくなったのだから、限りある人生を愉しむように」
「子供達には手を出さないでね」
賢妻である澤松夫人は吸血鬼に、さりげなく区切りをつけた。
「そうさせてもらいます」
吸血鬼は夫人の手を取って、手の甲に恭しく接吻を重ねた。
「このひとは、熟年女性殺しなんですよ。母もやられました」
ぼくがいうと、「まぁ、そう」と、澤松夫人は柔らかく微笑んだ。
「お母さまを、どうぞおたおせつに」
夫に庇われながら丁寧に会釈を返しながら帰宅していく澤松夫人は、どこまでも奥ゆかしかった。


あとがき
華恵というよりも、華恵の浮気相手の奥さんのお話でした。。 ^^;
ひさびさに入力画面じか打ちで描いたので、変なところがあったらごめんなさい。
m(__)m
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放送の途中ですが・・・ネット記事から:「新郎が花嫁の不倫を結婚披露宴で暴露」
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