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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

帰宅した母娘 ~血液交換会~

2019年07月01日(Mon) 06:25:59

ただいまぁ。
玄関口に響くのは、娘の加代子の声だった。
真っ暗だった部屋に灯りが点けられ、ほんの少しだけ疲れを滲ませた制服姿が浮かび上がる。
白のベストに淡いブルーのプリーツスカート。
ハイソックスは中学のころの真っ白から、濃いグレーに変わっている。
「母さん、まだかぁ・・・」
独りごちる加代子の背後に、黒い影がひっそりと立った。
親としては、教えてやりたい。
親友としては、黙っていたい。
そんなジレンマに陥るひと刻。
けれどもそもそも、霊魂だけになってしまったわたしには、なんの手出しもすることはできないのだが。

だしぬけに背後から羽交い絞めにされた加代子が、キャッと短い悲鳴をあげる。
羽交い絞めにした腕はツタのように伸びて、学校帰りの制服姿をあっという間に緊縛してゆく。
白い首すじに吸いつけられた唇に力がこもり、娘はもういちど、悲鳴をあげた。
――近所迷惑にならないていどに。
ちゅうっ・・・
ヒルのように這いまわる唇から、バラ色のしずくがかすかにこぼれて肩先にしたたり、
くつろげられたブラウスの襟首にシミを拡げる。
「あッ、ヒドい」
加代子はひと言呟くと、白目を剥いて脚をふらつかせた。
男は娘を抱き支えながらも、なおも容赦なく、血液を摂取しつづけた。

ただいまぁ。
玄関先に、妻の昭代の声が響く。
部屋の灯りで娘の先着を感じた声は、明らかに娘に向けられていた。
「あら、加代子はシャワー?」
応えのないのをかすかにいぶかる声とともに、妻は白の半袖のブラウスを着けた上半身を現した。
濃い紫のロングスカートを微かに揺らしながら、淡いグレーのストッキングを穿いたつま先を、
たった今惨劇の起きたリビングの床にすべらせてゆく。
立ち込めるほのかな血の香りに、母親は敏感に反応した。
「あのひとに、血をあげてるの?」
なんともおぞましい科白だが、女たちが日常的に吸血を受けるわが家では、ごくありふれた出来事になりつつある。

「あッ!」
昭代が呻いたのは、
制服姿のまま半死半生であえいでいる娘を目の当たりにしたのと、
巻きつけられた猿臂の力強さと、どちらのせいだったのだろう?
娘と同じ経緯で、母親もまた首すじを咬まれ、容赦なく生き血をむしり取られていった。
いつになく飢えていた彼は、獲物として狩った母娘を相手に、捕食行為のような吸血に耽ってゆく。

じゅうたんの上に伸べられた、二対の脚。
娘は制服のチェック柄のプリーツスカートの下に、通学用の濃いグレーのハイソックス。
母親は濃い紫のロングスカートの下に、淡いグレーのストッキング。
母娘から獲た血液で、わずかに顔色を取り戻した男は、愉しむゆとりを取り戻している。
今度はふたりが脚に通した靴下をいたぶりながら、愉しむつもりなのだ。

やつはこれ見よがしに舌なめずりをくり返したあと、
まず娘のふくらはぎにとりついた。
発育の良いふくらはぎに、ハイソックスのうえから舌を這わせ、唇を吸いつけ、牙をずぶずぶと埋め込んでゆく。
わたしの視線を十分に意識した仕打ちだった。
濃いグレーのハイソックスには、みるみる赤黒いシミが拡がった。
男はそれでも、かすかにうごめく脚を抑えつづけて、掌の下でよじれてゆくハイソックスをしわ寄せながら、吸血をつづけた。

昭代はかすかに意識を残していた。
男がもういちど、娘の首すじに唇を吸いつけて、しつような吸血に耽るのを、恨めしそうに睨んでいる。
「安心しろ、お前の血ももう少し、吸ってやるから」
あまりにも見当違いな言い草に抗弁しようとする妻もまた、グレーのストッキングの足許に、卑猥な唇の刻印を捺されてゆく――
ぴちゃ、ぴちゃ・・・
くちゃ、くちゃ・・・
几帳面な昭代は、装いを辱められることに人一倍敏感だった。
淡く透き通るストッキングによだれをしみ込まされ、
弄りまわされてしわくちゃにされ、
牙で咬み剥がれて蹂躙されてゆくのを、
悔し気に見おろしつづけていた。

「娘さんのハイソックスは、なかなか美味い。
  高校にあがって、ハイソックスの色も変わったけれど。
  ちょっと色っぽくなったんじゃないかな」
男の言い草は明らかに、妻のプライドを逆なでしていた。
「あんたのストッキングは、娘さんのより破きやすい。
  そこがまた、なんとも言えず良い」
男が口にしているのは、母娘の足許を彩るナイロン生地の強度の問題だけではない。
「あんたの下腹は緩いな」
そう言いたいのに違いない。
夫として抗議したかったが、その前に男がいった。
「わかっている。奥さんは貞操堅固だ。
  エッチな身体が敏感過ぎるだけなのだ。
  だから今夜も、あんたの前で昭代を抱く」

長い夜は、始まったばかりだった。
わたしは冒される妻の艶姿から、視線を外すことができずに立ち尽くし、
貧血から立ち直りかけた娘までもが、薄眼を開けて成り行きを見守る。
「明日もお勤めなのよ・・・」
昭代が弱々しい声色で抗議すると、
「じゃ、息子夫婦を呼べばいい」
男はぞんざいに、指図を下した。


華やいだローズブラックのワンピースの華恵の後ろには、娘と同じ制服姿。
女装姿が板についてきた息子は、学校帰りの少女に見まごうようになった。
親として悦んで良いことなのかどうか――
けれども息子は、娘に成り代わって吸血を享けることを、むしろ悦びはじめていた。

「華恵さん、ごめんなさい」
「兄さん、ゴメン」
昭代は嫁の華恵に。
加代子は兄に。
むしゃぶりついてゆく。
華恵はきゃあきゃあとはしゃぎながら、新調したワンピースを惜しげもなく血浸しにしていったし、
息子は、妹とおそろいのハイソックスの脚に妹が咬みつくのを、理解ある同級生のように見つめつづけていた。

親族同士の血液の交換会。
慢性的な貧血と引き替えに得た吸血能力を得た母娘は、身内の血液にうっとりとなって、ひたすら啜りつづけてゆく――
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