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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

息子の呟き

2019年07月01日(Mon) 07:41:58

妹が高校にあがったとき。
母さんはひと周り大きい制服を、取り寄せていた。
ぼくに着せるためだった。

それは、ふたりの身代わりに吸血されるときの衣装として、用意された。
ぼくにとっては、ある意味ご褒美だったかもしれない。
幼いころから、女の子の着る洋服に、憧れていた。
恐る恐る脚に通した、母さんのストッキング。妹のハイソックス。
ドキドキしながら腰に巻いた、母さんのスカート、妹のスリップ。
でももう、そんなふうにこそこそしなくたって、かまわない。
いまはおおっぴらに、女の子の服を着て、妻の華恵を伴って実家に帰る。
妻もまた、ぼくの女装を認めてくれている。
ぼくが彼との交際を認めた見返りに――

おそろいの制服を着た妹は、さっきからぼくの足許を舐めまわしている。
ひざ小僧の下までぴっちりと引き伸ばしたハイソックスが、ひと舐めごとにずり落ちてゆくのを、
ぼくは落ち着かない思いで眺めていたけれど。
妹が楽しそうにくり返すままに、好きにいたぶらせてしまっている。
「兄さんどう思う?母さんの背徳・・・」
妹の口から「背徳」なんて言葉を聞こうとは、つい最近まで夢にも思わなかった。
「父さんは”交際”って言っているみたいだね」
「そうか、”交際”なのか・・・」
父さんは、吸血鬼と母さんとの関係を、そう呼んでいる。
たしかにふたりはいやらしい関係を結んでいて、時折ぼくも覗いて愉しんでしまっているのだけれど――
ふたりの間に流れるものに、まじめな感情が交錯しているのを、認めないわけにはいかなかった。
だからぼくは、中立を守って「お付き合い」と呼んでいた。
優しい父さんにも、義理立てしたかったから。
けれども、純潔な血をまだその身にめぐらせている加代子には、まだ早すぎるのかもしれない。

そのくせ、「背徳」という言葉に、どきりとしてしまう自分もいる。
「お義姉さまも背徳。母さんも背徳・・・」
妹が生真面目な顔をして、指折り数える背徳の数。
「ぼくの背徳。加代子の背徳」
ぼくは加代子の指をとって、もう二本、丁寧に折ってゆく。
「加代子が”背徳”って呼びたいのなら、ぼくも加代子と話すときはそう呼ぶね」
加代子はウフフと笑って、自分の表情をごまかすためにもういちどぼくの足許にかがみ込んで、脚を咬んだ。
ハイソックスのしなやかな生地に、生暖かい血潮がしみこんでゆくのが、むしょうに心地よい。
「こんど、同じクラスの子、引き入れちゃおうかな」
口許にぼくの血をあやしながら、妹は素直な顔つきで微笑んだ。
ぼくも妹と目線を合わせて微笑んで、唇と唇とを、重ね合わせていった。
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