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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

喪服に網タイツ。

2019年09月05日(Thu) 07:39:03

ある街のご婦人たちが、いっせいに網タイツを穿くようになった。
それは、この界隈では、吸血鬼の愛人になったことを意味していた。
夫たちは頭を抱えたが、どうすることもできなかった。
そしてほとんどの夫たちが、妻と吸血鬼との交際を、すすんで受け容れるようになっていった。


ある法事に参列した母親と娘が、そろって網タイツを履いてきた。
母娘は生活の糧を得るために、いちはやく吸血鬼たちに自らの血を差し出したのである。
多くのご婦人たちは、顰蹙の目でふたりを見た。
「吸血鬼を相手に娼婦のようなふしだらなことをした」という、非難の視線でもあった。
けれどもつぎの瞬間、縮みあがったのは、黒ストッキングのご婦人たちのほうだった。
母娘の連れの数名の男たちが吸血鬼であることを、ひと目で気づいてしまったらである。
ストッキングを穿いたご婦人の脚に好んで咬みつくという、けしからぬ趣味を持った彼らにとって、
ご婦人がたのだれもが黒のストッキングを脚に通してくる法事の席は、獲物を手っ取り早く手に入れる格好の狩り場だった。
奥ゆかしい喪服姿の参列者たちは、格好の餌食となったのだ。

故人に敬意を表して、彼らはお焼香が終わるまではおとなしくしていたが、
ひととおりのことが済んでしまうと、法事は吸血鬼の支配を受けることになる。
夫たちは、妻や娘たちが次々と吸血鬼に襲われ咬まれてゆくのを、なすすべもなく見守るばかりだった。
この街ではこういう場合、妻や娘を守ることを禁じられているのだ。

既婚の婦人が吸血鬼に襲われた場合、ほぼ例外なく犯されることになっていた。
体裁を気にする夫たちは、その場をはずすしか、採る道はなかった。
そして、ふすま一枚向こう側で、妻や娘がムザムザとうら若い血液を彼らの養分として吸い取られてゆくのを、
はらはらしながら、やがて昂りを交えて、覗き見するばかりだった。

家族の生命を脅かされることを気遣う夫たちは――実際にはこうした場合その危険は皆無なのだが――その場に留まり、
吸血鬼たちの荒々しい男ぶりを見せつけられる羽目になった。
貞操堅固だった妻たちがあっという間にイカされて、夢中になって、娼婦のように大胆に振る舞うようになってしまうのも。
多くの妻たちは、そんなところを夫に視られたくないはずなのに、
妻の凌辱現場に同席した夫たちは、寺に入ってくる時よりも仲睦まじそうに、寺を去っていった。

生真面目なご婦人たちが漆黒の礼装はふしだらにはだけられ、
薄墨色のストッキングをみるかげもなく咬まれみ剥がされてゆくかたわらで、
すでに堕ちてしまった網タイツの女たちは、こればかりはほかのご婦人たちと同じ漆黒のスカートを大胆にたくし上げ、
網タイツを半脱ぎにして、まがまがしい輪姦に身をゆだねてゆく。
厳粛なるべき法事の場は、娼館のような猥雑な喧騒に満たされた。

法事が終わるころに、夫も妻も、だれもが服従しきってしまっており、
夫たちは自分の妻と吸血鬼との交際をすすんで受け容れて、
妻たちは礼装をしとどに濡らされたお相手に、しなを作って別れを惜しみ、
早い機会の逢瀬を情人と夫とに、恥を忘れておねだりするのだった。

6月17日ごろ構想
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コメント

網タイツ
先日わたくしもとある理由から
網タイツ姿になることがございました

ストッキングとは違う感触
肌を舐めてゆく空気
そして流行りでは無いタイツ姿に
ふと目を留めてゆく男性の視線

ただ一枚の薄物なのに
少しだけいつもと違う
刺激的な時間を過ごすことに
なってしまいました

不思議ですね
by 加納 祥子
URL
2019-09-08 日 14:08:46
編集
ご返信が遅くなりました。
現し世に漬かり切った日々を過ごしておりまして。
ーー;

網タイツ。
かつては巷のネオンに映える衣装とイメージされていたこのファッションも、
一般のご婦人が脚に通す装いとなって久しくなりますね。
それでもやはり、網タイツに脚を通すということは、よほどの時に限られるように思います。
少なくともそれは、華やぎを求められる特別な機会なのではないかと。

祥子さま。
どのような折におみ脚をそのように大胆に装われたのでしょうか?
そちらの方が、気になります♪
by 柏木
URL
2019-09-14 土 23:24:33
編集

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