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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

嫁も姑も、堕ちてゆく。

2019年09月08日(Sun) 05:49:15

組んづほぐれつの痴態だった。
男は口走った。
子供が学校にあがるのを、待ち焦がれていたんだと。
これであんたもおおっぴらに、ストレス解消できるんだと。
女もこたえた。
そ、そうね、待っててもらって良かったわ。
貴男と逢うためなら、主人を裏切るのなんて、何でもないわ。
主人を裏切るのが愉しいの、スッとするの。
あなた、許して。あたし淫乱な女なの。
と、男に股間を突かれながら、口走っていた。
すべてが夫の目のまえの出来事だった。

妻の情夫に血を吸い取られた若い夫は、力の抜けた身体に苛立ちながらも、どうすることも出来なかった。
けれどもそのいっぽうで、どうすることも出来ない状況に置かれたことに、不思議な安堵を覚えていた。
抗拒不能な状況だからこそ、妻の痴態を目で愉しんでしまっても許されたから。
妻は夫の目のまえで、主人を裏切るのが愉しいのと口走り、
夫は娼婦と化した妻の痴態を激しい嫉妬にかられながらも、
視ることで愉しんでしまっていた。

嵐が過ぎ去ると、吸血鬼は夫を介抱し、夫は妻を犯した男のために、コーヒーを淹れた。
存分に血液を摂取してしまうと、彼は人と同じ飲み食いを愉しむことができたのだ。
あんたの淹れるコーヒーは旨いな、と吸血鬼はいった。
お気に召して何よりだと夫も応えた。
情事を遂げたすぐあとには、
あんたの奥さんはいい身体をしているなと吸血鬼がいい、
お気に召して何よりだと夫が応えていた。
さっきそんな会話を交わしたばかりだった。
男ふたりのあいだには、奇妙な友情が育ちはじめていた。

夫が訊ねた。
あんたは妻のことが好きなのか?
低い声色に恐る恐るの気持ちがこめられているのを、吸血鬼は敏感に感じ取った。
自分の家から妻のことを連れ去られてしまう日が来るのを、恐れている声色だった。

違うね、と、吸血鬼はまっすぐに応えた。
たんなる身体目当てだ。
三十前後の人妻の熟れた生き血と、締まりの良いあそこが欲しいだけだと。
侮辱するようで済まないが、と、吸血鬼はつけ加えた。
夫がいちばん恐れているのが、自分の家庭から妻がいなくなることだと、わかり尽くした目をしていた。

わざと露骨な応えかたをした吸血鬼の本意は、夫に素直に伝わっていた。
夫もまた、吸血鬼の気遣いを素直に感謝しているようだった。
少しだけほっとしている、と、夫は呟くように応じた。
あんたは強いし、テクニックも最高だ。
あんたに抱かれた妻がぼくとの時以上に昂奮しているのも、はたから視ていてよくわかっている。
きっと、相性も良いのだろう。
悪い相手に出逢ってしまったと、さいしょは思った。
でもあんたは多分、ぼくに解いてやることのできない妻のストレスを、きっとなんとかしてくれているんだろう。
ぼくはあなたを認めている。
悔しいけれど認めざるを得ないという気分はあるけれど、
それでもすすんで認めようと思っている。
唯一の気がかりは、きみに妻を奪われてしまうことだった。
でも、きみにその気がないことを、夫として安堵している。
身体目当て、歓迎ですよ。
この状況は、吸血鬼に魅入られるくらい魅力的な妻を持っているからなのだと、あきらめることにしています。
ぼくは、家内がぼくを裏切り続けることを希望している と。
治子がいままでどおり、ぼくの苗字を名乗りつづけてくれるのなら――


夫の告白をすぐその傍らで、
妻は大の字に仰向けになった姿勢のまま、
失血で空っぽになった頭で、夫の告白をそれでも満足げに聞き入っていた。



真っ昼間から臆面もなくたずねてくる吸血鬼を、治子の姑、絵美の夫はきょうもおだやかに迎え入れた。
絵美はいつものように、よそ行きのスーツをきちんと着こなして、情夫の訪れを待ち焦がれていた。
田舎住まいの吸血鬼が、都会育ちの婦人のたしなみである洗練された装いを辱しめたがっていると知りながら、
きょう彼女が袖を通したのは、夫が結婚記念日にプレゼントしてくれた濃い紫のスーツだった。

夫のために永年守りと通してきたはずの貞操を喪失して、はや1年が過ぎていた。
その貞操喪失記念日に、彼女は夫が結婚記念日にプレゼントしてくれた服を着て臨んだのだ。
夫ももちろん、自分が妻のために買ったその服を、妻がことさら選んだことに気がついていた。
けれども彼は気を悪くすることはなく、むしろ妻の選択を悦んでいるようだった。
長年連れ添った妻の貞操を、親しい友人のために無償でプレゼントしたと思うことにしていたから。

たまたまその日の絵美は、身体の調子がすぐれなかった。
けれどもせっかくの記念日を空しくするつもりはなかった。
彼女は顔色のわるさをいつもより濃い化粧で補った。
そこまでの配慮には気が回らなかった夫は、色っぽいねと妻をからかった。
絵美は夫の鈍さを咎めるつもりはなかったので、イタズラッぽくほほ笑み返し、肩をすくめてみせただけだった。

自分のために着飾って出迎えた絵美をひと目みて、吸血鬼はすぐに絵美の体調を見抜いた。
そして、きょうじゃなくても良いんだよ、と気遣った。
夫は頭に手をあてて、きみたちがうまく行く理由がよくわかったよと言い、自分の鈍感さを認めた。
そして、私は早々に退散しよう、せめて夫としての体面を守りたいからね、と、妻を情夫と二人きりにしてやろうと気を利かせた。
お気遣いはありがたいが、きょうにかぎってはご主人には出かけてもらいたくないと、吸血鬼はいった。
怪訝そうに情夫の横顔を窺う妻に、吸血鬼はいった。
きょうはきみのことを征服した記念すべき日なのだから、ぜひご主人にも祝っていただこう。
え?いやですわ、そんな。
絵美は戸惑い、恥じらった。
夫のまえではいつも淑やかで奥ゆかしい婦人でいなければならないだと思っていたからだ。
うろたえる絵美を横顔で受け流して、吸血鬼は夫にいった。
きょうはご主人のまえできみの血を愉しみたい。
趣味のよくない趣向であるのはじゅうじゅう承知しているが、きょうはぜひにもご主人にお付きあいいただきたい。
いかがですかな?
仕方ありませんな、と、夫はいった。
家内が迷惑に感じないのであれば、甘んじてこの罰ゲームをお受けしましょうと。
いちおう選択の余地は認めてくれてはいるものの、こたえはひと通りしか許されていないと、察しきった声色だった。

きみの身体の具合を思いやらなかったから、罰ゲームだね。
夫はそういって、絵美に笑いかけた。
絵美も困ったようにだが、笑い返していた。
妻の貞操喪失記念日を祝うのに、これほど適切なイベントはないと、夫は思った。
そして、せめて妻の羞恥心を和らげてやるために、わざと罰ゲームといったのだった。
彼は彼なりに、自分の目の前で妻と戯れたがるというけしからぬ嗜好に、好意的に応じようとしていた。
絵美も吸血鬼も夫の配慮に感謝していた。
吸血鬼は、ではさっそくご好意に与ろうといい、
絵美もまた、貴方がそう仰るのならと、夫を前にした吸血に応じることにした。

差し伸べられた妻の首すじに、情夫の赤黒く爛れた唇が、ヒルのようにねっとりと吸いつけられてゆくのを、夫は胸をズキズキさせながら見入ってしまった。
男は絵美の血を少しだけ吸い、吸い取った血潮をわざと少しだけ、ブラウスに滴らせた。
純白のブラウスにたらたらと滴らされた薔薇色の雫の色の深さが、夫の眼を狂おしく染めた。
絵美、大丈夫か?
夫は妻を気遣った。
絵美はゆるやかにかぶりを振って、せめてもう少しだけ、お愉しみいただきたいわと応えた。
ひと口啜っただけで彼女の体調を察することのできる情夫が遠慮してしまうのを怖れているかのようだった。
彼女はひざ下丈のスカートを、ほんのすこしだけたくしあげた。
下品にならない程度にひざ小僧をあらわにして、黒のストッキングに染めた太ももを覗かせた。
都会妻のたしなみを、夫のまえで辱しめられてしまうのですね・・・?
こたえの代わりに、痴情にまみれた唇が、熱く熱く圧しつけられた。
妻の足許になん度もなん度もくり返される接吻に、夫は吸血鬼の妻に対する執着のつよさを、感じないわけにはいかなかった。
ストッキングのしなやかな舌触りを愉しみながら圧しつけられて、都会妻のたしなみとされた装いは、くまなく辱しめられていった。

一時間後。
長い長い痴態だった。
かばうような緩やかなまさぐりを全身に染み込まされて、
妻が日ごろの淑やかさをかなぐり捨てて、めろめろに堕ちてゆくいちぶしじゅうを、
夫は嫉妬に溺れながらも見せつけられつづけた。
妻と情夫とのアツアツの刻を見せつけられるのが、きょうのつとめだとわかっていたので。
体調のわるさを押して、なん度もくり返される突貫を、さいしょは控えめにやがてだんだんと熱っぽく受け入れてゆく。
妻と他の男性との愛情豊かなセックスを見せつけられることに、さいしょは辟易し、少しばかり嫉妬に苛立ち、さいごは夢中になってしまっていた。
情夫の腕のなかで夢中になっている妻と、いまの自分の夢中さかげんとは、もしかしたらいい勝負かもしれないと思うほどだった。
絵美は情夫の腕のなかで昂りつづけ、
絵美の夫は絵美を視ることで昂りつづけた。

夫婦のベッドのうえ、夫ならぬ身にすべてを許し抜いてしまったあと。
放心しきって仰向けになった絵美の傍らで、吸血鬼は夫に告げた。
わしは絵美を愛している。
けれどもおふたりが離婚することまでは望まないと。
夫もいった。
家内を愛していただき、夫として感謝している。
貴方が身体目当てでなく家内に接してくれているのは、さいしょから感じていた。
だから貴方のための献血で、家内が健康をそこねることはないのだとわかってからは、ふたりの仲を妨げようとは思わなくなった。
これからも家内のことを頼みます。
当家の名誉を汚すことを気遣うことなく、家内との逢瀬をお愉しみになってください。
これが夫としての偽らざる希望です。
嫁も姑も犯されてしまう。
けれども女たちはうろたえながらも状況に順応して、吸血鬼の娼婦と化してゆく。
嫁も姑も寝取られてしまう。
けれども夫たちは不平を鳴らすことなく状況に順応して、視て愉しむ歓びにめざめてゆく。

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