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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

鎖のように

2006年07月24日(Mon) 06:47:20

ごめんなさい。
妻はハッと我に返ると。
拝むように手を合わせ、謝罪をつづける。
口許にも。ブラウスの胸元にも。
ぬらぬらと光らせているのは、私から吸い取った血――― 。

あの子がね。
指さす彼方にあるのは、かつて私の息子だった男。
いまはしずかに瞳を蒼白く輝かせ、夫婦の有様を見つめている。
わかっているよ。
友だちに血を吸い取られ、屍鬼に堕ちた息子。
夜な夜なたずねてきて、ほとほとと、扉を叩く。
妻は切なさに耐えきれず、家の扉を押し開いていた。
密会は、ほんの数夜―――。
そのわずかな隙に、妻の体内を流れる血液は、ほとんどが息子のものになっていた。
それでも、いいんです。
俯きながらも、妻の語調はしっかりしている。
おいしかったんでしょう?
幼な児をいたわるように、うずくまる息子の頭を撫でて。
さぁ。もっと。
妻は居ずまいをただすと、息子と向き合って。
スッと近寄せられる唇に、みずからうなじを傾けてゆく。

ちゅ、ちゅ・・・っ。
さっき妻が、私に対して立てた音。
随喜のなか、頬ずりせんばかりに、身を寄せて。
受難を受難とも受け止めないで。
もう、息子のなすがまま。
嬉々として、生き血を吸い取らせてゆく。
四十半ばの熟女の血は、さぞや美味かったことだろう。
息子は手の甲で口許をぬぐい、
ぬぐったものを妻の胸になすりつけ、ブラウスを赤黒く染めた。

細く白い腕が、闇の向こうに手招きしている。
さあ、いらっしゃい。だいじょうぶよ。父さん怒ったりしないから。
母親に招び寄せられた娘は、
いつも学校に着てゆく、紺のジャンパースカートに黒の長沓下を履いていた。
闇夜に、白百合の花びらが揺れるように。
戸惑いに頬を揺らす娘。
肩まで垂れた黒い髪の毛が、そのうごきに合わせていちだんと揺らいだ。
若々しい。いつの間にか少女に育っていた娘。
その娘さえ、兄の腕の中身を投げかけて。
ちゅ・・・・・・っ
母とおなじ音をうなじにすべらせてゆく。

さぁ、あなた・・・
妻に促されるままに。
身はひとりでに、闇をすべってゆく。
行き着いた真下には、目を瞑った娘。
胸元を引き締めているリボンを、震える手で解きはなって。
あらわになった白珠のような胸に、生え初めたばかりの牙を突き立ててしまっていた。
もっとも禁忌とすべき行ないを。
妻と息子は手に手を取り合って、いちぶしじゅうをみとどけていた。
ほんの、つかの間。
父娘を襲った、衝動の嵐―――。
娘は一瞬、身じろぎして。苦痛に身を引きつらせ。
それでもすぐに、安心しきったように、背中に腕をまわしてくる。
まるで、恋人同士のように。
重たい濃紺のスカートのなか、かすかにぬるぬるとするものは。
うなじに流れるものとおなじくらい紅い、ひとすじの糸。
ぎこちなく合わさる腰と、腰。
傍らでは妻と息子が、私たちとおなじ行為に耽りはじめてゆく。

一条の鎖のような。
まがまがしい連環に身をゆだねて。
昏く落とした灯火の下、獣のにように。
代わる代わる、血を啜りあう。
いつかそのなかに、息子の恋人や娘の婿。
それに彼らの姉妹や親たちまでもが加わるまで。
血の交歓は夫婦のあいだ、親子のあいだ、秘められながら。
音も無くひそかやに、交わされつづける・・・
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