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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血鬼を受け容れた街の記録。

2019年09月30日(Mon) 09:19:14

はじめに
ひところ描きためていたもののあっぷです。
上記のテーマで散発的に描きつづけていたのですが、読み返してみるとひとつのストーリーとしてそんなに破たんはしていないようなので、一括してあっぷしてみます。
吸血鬼と和解して、人命の保証と引き替えに彼らに市民の血を自由に吸わせることになった街の日常を、いろんな目線から語ってみようと思ったのですが・・・まあ似たり寄ったりの目線にしかなっていないみたいです。(苦笑)
途中途中に描いた日付を入れています。かなり前後しながらも、ぶれないお話を描こうとしていたみたいです。
「構想」としていますが、その実ほとんど変えていません。


タウン情報

○○市は、吸血鬼との共存を目指すため、来月1日から「吸血鬼親善条例」を施行、吸血鬼の受け入れを積極的に促進する。
近年吸血鬼による襲撃被害が続出していることに対応した措置。
具体的な施策は、居住地のあっせん、子女の公立学校への正式な受け入れ、暫定戸籍の整備、供給する血液を確保するための血液提供者の募集など。
吸血鬼の子女を対象とした学校への受け入れには、一部の私立学校も追随する見通し。また、血液提供の希望者には、市からの一定額の謝礼が支給される。
すでに吸血行為を体験した市民は少なくなく、市の担当課は、新規の血液提供者を大々的に募集する必要はなく、日常生活への影響は軽微であるとしている。
なお、この措置を受けて、吸血鬼側は人命を損なう恐れのある吸血行為を今後控えることを表明した。


校内だより  「吸血鬼受け入れのお知らせ」

来月1日から、当校は吸血鬼の生徒を受け入れます。
転入学に際しては、教職員、生徒及びその父兄をみだりに吸血の対象としないことが条件となっているため、生徒や父兄の皆様に必要以上に危害を及ぼす事態は発生しないものと思われます。
生徒、父兄の各位においては冷静な行動を取るようにお願いする次第です。
なお、転入者との親睦を深めるため、当校では生徒・父兄を対象に吸血鬼のために血液を提供する希望者を募集します。
年齢は13歳から60歳まで。健康な方で、男女を問いません。
面接は随時受付け、採否は本人のみに通知し、秘密は厳守されます。
生徒の安全を確保するため、各位の積極的な応募を希望します。


タウン情報 「変わる学校 父兄の協力求める市」

市内の学校では、吸血鬼受け入れについて父兄の間で不安が広がり、一部の生徒には転出の動きもみられた。
ただし、すでに吸血鬼は市内で日常的に活動しており、顔見知りの吸血鬼がいるという市民や吸血鬼の出入りを受け容れているという家庭も少なくないことから、動揺はむしろ限定的であるとも伝えられている。
反対に、「実態が不明であったものが明らかにされることで日常生活上の不安がなくなる(公立高校の父兄)」といった声もきかれ、同級生の吸血鬼のためにクラスの約半数が血液の提供を希望している学校もある。
市の担当者によると、「今回の措置は、すでに市内に浸透している少数弱者を保護するためのもので、吸血鬼と市民との平和的共存が趣旨。市民の皆さまは決して動揺することなく隣人との和解、懇親を心がけてほしい」と話している。


校内だより

当校では来月から、血液を求めて来校する方々への奉仕を充実させるため、当番制を導入することになりました。
月初以降、下記の順番で吸血鬼を対象とした奉仕を実施します。

3年1組 2組 3組 (各出席番号順)
1年生のうち希望する生徒
教職員 (担任については、生徒引率時に奉仕を行う)
2年1組 2組 3組 4組 (各出席番号順)
3年生のうち希望する生徒
教職員 (担任については、生徒引率時に奉仕を行う)
1年1組 2組 3組 4組 (各出席番号順)
2年生のうち希望する生徒
教職員 (担任については、生徒引率時に奉仕を行う)

来校する吸血鬼は日によって増減があるため、進度は未定です。
奉仕が1週間以内となった生徒を対象に、父兄の皆様には個別に通知いたしますので、
ご子息・ご令嬢の体調管理にご留意いただき、当日はストッキング・ハイソックスを着用の上登校させるよう指導をお願いします。

(描き下ろし)


タウン情報 「”被害”ではなく”親善” 微妙なケースも」 

吸血鬼親善条例が施行されて、きょうで約1ヶ月となる。一部で懸念された混乱はなく、市民の間には平穏な日常が保たれている。

去る17日、下校途中の女子中学生3名が転入したばかりの吸血鬼の集団に襲われ、吸血、暴行される出来事が発生したが、その後被害に遭った女子生徒とその家族、女子生徒と交際中の男子生徒らとの間に和解が成立。3名の女子生徒は吸血鬼との交際を受け入れた。被害に遭った女子生徒の交際相手である男子生徒は、「彼女が犯されてしまったのは残念ですか、今では状況を理解し前向きに受け容れています。彼女が血液を提供するためにお相手を訪問するときには、彼女の負担を減らすために二人で行くようにしています。母も協力してくれるので、心強いです」と話している。

また、条例が施行された当日の1日には、帰宅途中の三十代の夫婦が吸血鬼と遭遇して、夫婦とも失血のため昏倒した事案も発生している。一時、夫が全治2週間の負傷、妻が複数の吸血鬼による性的な暴行を受けたと伝えられたが、その後吸血鬼と夫婦との間に和解が成立。夫は「性的な関係は生じたが、"暴行"ではなかった」と証言し妻もそれを認めたため、これも事件として取り扱われていない。加害者の吸血鬼と夫婦はその後親しく行き来しており、大きな問題は生じていないもよう。

このようなケースは他にも少なくとも数件発生しているが、「直後に和解が成立したケースは事件として取り扱わない(吸血鬼親善対策室)」という市の方針から、深刻な紛争には至っていない。
トラブルの多くは条例の施行後に市内に転入した吸血鬼によるもので、いずれも旧来からの居住者である吸血鬼が和解を仲介しているという。こうした市の対応には、「丸投げではないか」と一部から疑問が提起されているが、吸血鬼親善対策室は「担当部署では旧来から居住している吸血鬼に協力を仰ぐため、彼らとの意思疎通に腐心している。彼らと懇親を結ぶためにほとんどの職員が自身はもとより夫人や子女の血液を自発的に提供するなど誠実に取り組んでいる」と反論、理解を求めている。


生徒の提出作文(上記男子生徒による作文。卒業文集より転載)

彼女を吸血鬼に捧げたお話

ぼくの彼女は、ぼくが3年の2学期のとき、吸血鬼に犯されました。
当時彼女は2年生。同じ課外クラブてま知り合いました。
そして、(親にも内緒だったのですがら)彼女が1年の冬休みに、ふたりは初めて結ばれました。未熟者どうしの関係だったから、文字通り"手探り"のセックスをくり返す日々。友だちには早すぎると言われましたが、毎日が夢中でした。確かに早かったかもしれませんが、お互いにお互いを"最初で最後の異性"だと、いまでも思っています。

結ばれて半年ちょっと経った9月から、市が吸血鬼との親善条例を施行して、ぼくたちの学校にも吸血鬼がおおっびらに出没するようになりました。けれども、彼らはもともと生徒や父兄、先生や職員のあいだに紛れ込んでいたし、来賓として学校に堂々と出入りしている吸血鬼までいたので、条例じたいにそんなに違和感を感じていませんでした。時おり先生がたが、あらかじめオーケーしている生徒たちを空き教室に集めて来賓の吸血鬼に応接させたり、自分たちも手本わや見せたりしていました。それも順番に予防接種でも受けるような身近な感じがしたので、彼女とも「いつか咬まれちゃうかもネ」って話したこともありました。セックスの経験のある女子は咬まれたときに犯されることも聞いていましたが、ぼくたちの学年でそうした女子がほとんどいなかったので、あまり実感がありませんでした。(なんとなくは、警戒してたけど)

彼女が友だちと連れだっての下校中に吸血鬼に襲われたときいたのは、そんなある日のことでした。教えてくれたのは、母でした。ぼくたちの学校ではPTA のつながりが強いこともあり、こういう情報は早いのだと、母は言いました。話題が話題なので、ぼくにその話を切り出すときも母はおっかなびっくり、腫れ物に触るような態度でしたが、ぼくはむしろ「とうとう"順番"が回ってきてしまった」という気持ちでした。当時の新聞を読み返すと、「彼女が犯されてしまって悲しい」と書かれてありますが、いまの記憶では、むしろ、「ずっきん♪」ときてしまった部分のほうが大きかったような気がします。

彼女がどんなふうに抵抗したのか、
どんなふうにねじ伏せられたのか、
どこを咬まれてどんな感じがしたのか、
彼女を咬んだ吸血鬼は彼女の血を気に入ったのか。
彼女のほうではどうなのか?

気になって仕方ありませんでした。
すぐに彼女に会いに行きました。
彼女の家には、彼女以外にだれもいませんでした。
彼女は一人きりで泣いていたようでしたが、ぼくを家に入れてくれると、「ヤられちゃった♪」と、照れくさそうに笑いました。それからぼくたちは、長いことセックスに耽りました。
ぼくしか識らなかった身体には、彼の痕跡がありありと残されているような気がしました。ささいな仕草とか声とかが、いつもと違っていたからです。
けれどもぼくは、恥ずかしいことにそうしたことにさえ昂奮してしまって、「ユウちゃん、あたしのこと犯されて昂奮してるでしょ?」と図星を指されからかわれてしまいました。
なによりほっとしたのは、彼女のぼくに対する態度が変わっていないことでした。
吸血鬼とのセックスが気持ち良いあまり夢中になって、ぼくとのことを忘れられてしまっていたら、それこそ悲しかったですが、そんなことは全くありませんでした。
「咬まれたり犯されたりしているあいだ、ずっとユウくんのこと考えていた。怒られちゃうかな、嫌われちゃったら悲しいなって」と、彼女は言ってくれました。やっぱり彼女は最初で最後の女(ひと)なんだと思い、やさしく抱きしめてあげました。
これからのことも、彼女とじっくり相談しました。
彼女を襲った吸血鬼とは言葉を交わすことができて、「きみは彼氏のことを本気で愛しているようだから、仲を裂くつもりはまったくない。むしろ仲良くしなさい」と言われたそうです。それでも吸血鬼は彼女のことをあきらめたわけではなくて、つぎの週のおなじ曜日に逢おうと約束していました。彼女も、その約束は守るつもりだと言いました。
彼女が犯されているあいだ、ずっとぼくのことを考えていたのは、ぼくにすまないと思ってくれたからではあったのですが、そのなん分の一かは、「楽しんじゃってごめんなさい」だったのです。
そのときぼくはほんのちょっぴりだけムッとしましたが、いまでは違います。
彼女と同じ吸血鬼に咬まれて気持ち良いし愉しいと感じてしまいましたから・・・
彼女の生き血を奪われたことに対しても、ぼくは吸血鬼に嫉妬していました。そしてなによりも、

彼女はどんなふうに抵抗したのか、
どんなふうにねじ伏せられたのか、
どこを咬まれてどんな感じがしたのか、

そんなことが、とても気になっていたのでした。
吸血鬼が彼女の血を気に入ったことや、
彼女も吸血鬼のことを憎からず思っていることは、すでに忌々しいほど、わかってしまっていたのですが。。

ぼくは彼女に、これからすぐに彼に逢おうと言いました。
ぼくもいっしょに咬まれてあげると言ったら、彼女はホッとしたように頷きました。
びっくりしたのは、ふたりで出かけるときに彼女が、それまで着ていた目だたない普段着からよそ行きの服に着替えたことでした。
気になる男性のまえでは、すこしでも綺麗でいたいという女心を、意識しないてまはいられません。
ぼくとのデートのときも、彼女はいつもおめかししていました。だから、その日の彼女のおめかしも、ぼくといっしょに出かけるためではあったはずですが、同時に自分を咬んでモノにした吸血鬼のためなのだと感じたのです。

そんなぼくの気分を、彼女はしっかり見抜いていました。
わざわざ、「あなたたち二人のためにおめかしするんだよ」と、言ったのです。
その上には、「これからは」の接頭語がついているの?とぼくが訊くと、
「ヤーダ、国語の優等生!」とからかわれて、はぐらかされてしまったけれど。。

彼女のうら若い血を奪われたことに嫉妬を覚えたぼくは、当然のことながら、彼女を犯されたことにも嫉妬を感じていました。
けれども、好奇心のほうがまさってしまったのです。
ぼくは、ぼく以外の男に彼女がどんなふうに反応するのか、気になって仕方がなかったのです。

目のまえで彼女を咬まれ、犯されたときの感想ですか?
それはちょっと勘弁してください。(この作文を読んだ皆さんが、一番知りたいことだろうけど)
いま、ぼくにそのときの心境を正直に描きとめる力はありません。
ただいえることは、彼女が吸血鬼に咬まれに行くときにはなるべくぼくがエスコートして、2回に1回はその場に立ち会っている・・・ということだけです。
それでも、時には彼女はぼくに内緒で彼と逢ったりしているらしく、そのことをあとで彼から聞かされたりすると、かなり妬けてしまうのですが・・・

(ここまで7月28日~8月3日構想)



地元新聞

「ハイソックスを着用している健康状態の良好な男女生徒、若干名を募集します。該当する生徒は、302教室に集合してください」
「ストッキングを着用している健康状態の良好な女子生徒、若干名を募集します。女子の制服とストッキングを着用した男子生徒もOKです。該当する生徒は・・・」
授業中の教室に流れる校内放送に、教師も生徒も一瞬発言を控えて聞き入る姿が、地元の中学・高校で頻繁に見受けられるようになった。
校内に来賓として現れる吸血鬼に向けての対応である。
中学2年のクラスを受け持つ鹿村京子教諭(32、仮名)は語る。
「こういうとき、教師も指定されている場合には、率先して生徒を引率するんです。初体験の生徒や経験の少ない生徒の不安を取り除くために指示されました」
引率する教諭は、応接前に生徒の服装をチェックすることが定められている。
ストッキングを穿き慣れない女子生徒の足許を入念に点検し、ストッキングのねじれを直す姿などがよく見受けられるという。

鹿村教諭の受け持ちのクラスの生徒は、すでに全員が吸血鬼への応接を体験している。
「最初に漏れのないよう、出席番号順に呼び出されましたから、全員が体験者です。担任はその都度生徒を引率しました。クラス持ち回りだったので、貧血で倒れることはかろうじてありませんでした」
セックス経験のある女性が吸血の対象とされるときには、性的関係も結ぶことになる。秋に結婚を控える鹿村教諭にそのあたりの事情を取材すると、
「質問は生徒の引率のことだと聞いたのですが」と、やんわりと回答を拒否された。
ちなみに生徒たちに取材すると、鹿村教諭の最近のあだ名は「娼婦」だということである。

●●高校2年の林田直樹君(17、仮名)と井尾谷佳織さん(17、仮名)は、周囲にも認められた相思相愛のカップル。林田君によると、
「募集の放送がかかったときには、彼女と2人で行くようにしています。知らないところで何をされているのか心配しているよりも健全なので・・・エエ、井尾谷さんは処女なので、そちらのほうは心配ないので。ただ、彼女は吸血鬼の間でも人気があるので、目のまえで吸血されると嫉妬しますけどね」と、はにかむ。
井尾谷さんによると、最近彼女を特に指名する吸血鬼が2~3人できたという。
「”またあの人だね”って、彼と言い合いながら教室に行くんです。犯される心配はないのですが、ブラウスを脱がされたりハイソックスをずり下ろされたりといったことは普通にあるので、彼がやきもちを妬くんです。彼氏の前で乳首を舐められたときにはさすがに恥ずかしくて、対応に困りました」と、こちらも照れ笑い。
嫉妬しているところをばらされた林田君は笑って彼女を小突いていた。
「好きですから、嫉妬するのは当たり前です」と、笑いにも屈託がない。
「高校を卒業するまでには処女を卒業します」という井尾谷さん。「お相手はどちらに」という記者からの質問に、「微妙ですね」と意味深な反応が返ってきた。
「彼女の初体験を見せつけられるほうにも、最近興味があるんです」と語る林田君。
井尾谷さんの純潔の行方は、たしかに「微妙」な状況にあるようだ。

市内の中学・高校の中には当番制を採用している学校もあるが、詳細の対応については「市では一元的な指導は行わず、学校ごとに一任している(吸血鬼親善対策室)」としている。

(ここまで8月25日構想)



地元新聞 「冠婚葬祭の実態も一新 吸血鬼向けにリニューアルされる施設」

市内の結婚式場「しあわせホール」は施設を一新、来月1日から再オープンした。
今回の新装の眼目は、吸血鬼の出席者への対応。花嫁が披露宴の席上ウェディングドレス姿で襲われるケースが多発していることから、ホールのスペースを従来よりも2割~3割程度拡張し、出席者全員が吸血され犯される花嫁のあで姿を展観できるよう配慮された。
新郎、新婦の母親や新婦の友人代表も同時に襲われて交接を遂げられるケースが多いため、ホール中央に男女数組が交接できるスペースを設ける。吸血鬼の出席者を多数受け入れる披露宴の場合、交接の対象者が拡がり宴がエスカレートするケースもあり、「中央スペースの広さは従来の披露宴での実例を参考に設計したが、様子をみてさらに拡げることも検討する(式場担当者)」という。
失血により体調を崩した出席者のための応急対応に備えた救護室や、披露宴で生まれたカップルのための個室も用意される。披露宴で吸血の対象とされるのは既婚女性が多いため、カップル用の個室には夫など家族の控え室も用意されているという。「吸血鬼と二人きりになった奥さんのことが心配というご主人は毎回多いので、控え室付きの個室は1ホールにつき40室と多めに設置している。野外での交接を希望するカップルや、個室が行き渡らない場合には庭園をご利用いただけるよう、外部との境界には高い壁と植え込みを設けている(同)」
実際に野外の庭園の利用頻度は高く、「皆さんに視られながらのセックスで、いままでのマンネリ気分が一掃された(結婚歴10年以上のご夫婦)」や、「開放的な気分になって、彼氏以外に抱かれても抵抗なく受け入れることができた(来月結婚を控えた彼氏と同伴した独身女性)」といった声もきかれている。
「吸血鬼が増えたこの街でも、年配者の方々を中心に"妻を吸血されたり犯されたりするのは恥ずかしく不名誉なこと"ととらえる人がほとんど。ご令室やご令嬢を吸血の対象として提供を強いられるそうした方々への配慮も怠らず、吸血鬼と人間との親善が生まれる場となるよう努めたい(式場担当者)」といわれるように、まだ意識の古い男女も少なくないが、そのぶん「個室の利用頻度は予想以上に高い(同)」ともいわれ、新規の設備は有効に稼働しているようである。
当日の花嫁と花婿以外にも、多くのカップルが結ばれる場として、地元結婚式場の果たす役割は大きい。

(ここまで7月27日構想)


地元新聞 「吸血鬼に支配された結婚式場 ”歓び”に目ざめる招待客」

「しあわせホール」で、市外からの利用が増えている。
市民の結婚式に参列した経験のある男女がリピーターとして訪れているようだ。
その中の一人である園かなさん(23、仮名)は語る。
「初めて来たのは、友人の結婚式でした。その場で吸血鬼に襲われて以来、病みつきになってしまって、あまりつきあいのない人の結婚式にもすすんで出席しています。彼氏はいますが、ここの存在はまだ秘密にしています。将来結婚するときには、ぜひ利用したいです。彼氏のお母さんが厳しい人なので、ぜひここの流儀に慣れてもらいたいと思っています」
「複数の吸血鬼と関係ができてしまったので、言いにくくって」と本音を漏らしたかなさんは、屈託なく笑う。
すでに性的な関係を結ぶ特定の吸血鬼も複数いるというかなさんの顔に、曇りはない。

都会で大手企業の重役を務めるFさん(53)も、知人の披露宴に出席して被害に遭ってから、家族ぐるみで式場を積極的に訪問するようになった一人だ。
甥の結婚式に家族で参列したことが、Fさんの運命を変えた。
Fさんの過去を長男のHさん(27)が代弁する。
「従兄の結婚式には、わたしも妻を伴って参列しました。当時新婚三か月だったのですが――ご承知の通りの展開となりまして、妻も披露宴に居合わせた8人の方に犯されました。吸血するのは当然吸血鬼の方々なのですが、乱交タイムになると普通の人間の参列者も加わるんですね(笑)。そのうちのなん人かとは、妻がわたしの時よりも燃えている感じで・・・かなり妬けました。
母は厳しい人なのですが、それでもお1人だけ経験しました。吸血鬼のなかに仕切っている人がいて、”大勢は駄目”というタイプの女性を見抜くんだそうです。たしかに、妻が体験したようなことは母には不似合いというか――ですから父の隣に座っていた人(あとで吸血鬼だとわかりました)がしきりに父にお酒を勧めていて、日ごろ気難しい父が意気投合しているのが意外でした。
人妻を狙うときの最適任者は、ご主人とウマの合う人だそうですが、母の相手は父との相性で選ばれたみたいです。そのまま奥の部屋に手を引かれていって・・・ですから、”決定的瞬間”を目にしたのは、父だけなんです。
妻がなん人めかの男性と夢中で交わるのを前に目のやり場に困っていると、その前に妻をモノにした別の男性から声がかかって、奥であなたを呼んでいるからと・・・披露宴の広間に隣り合わせにいくつも小部屋があるのですが、母はその中のひとつにいました。ちょうど入れ違いに出てきた父が、”あまり視るものじゃないよ”とたしなめるように呟いたのは憶えているのですが、そこで母が父とは別の男性に抱かれていました。よく気づかいをする人で、心のつながりができているなと感じるようなセックスでした。身持ちの堅い母までもが堕ちてしまうのだと思うと妻の行状にも初めて納得がいきました。
それから妻のところに戻ると、わたしも乱交の仲間に加わったのです。妻の両肩を抑えつけてほかの男性に促したり、わたし自身もまたがっちゃったり・・・妻にはあとで軽く叱られましたけどね」
さいごは照れくさそうに首をすくめたHさんも、奥さんともどもかなり楽しんだようだ。
その時のご縁で吸血鬼1人、人間の男性2人と親密になったHさんの妻は、いまや「しあわせホール」の常連。交際相手の男性と示し合わせて、直接関係ないカップルの結婚式にも参列してお祝いをするという。「人の少ない披露宴だと、私たちのようなエキストラの招待客も歓迎されます。人数が多いとその分、場が華やぐからだそうです。私も若い女性の中にカウントしてもらえるので、そこそこうれしいですね。そこでお嫁さんが犯されるのを鑑賞してから、ダンナを裏切るんです(本人談)」という。
それでも夫婦仲が安泰なのは、「しあわせホール」への参列がいつも夫婦同伴であるところに現れていた。
息子夫婦の暴露を受けて、Fさんもようやくひと言だけ、重い口を開いた。
「遺憾ながら、家内のお相手は家内ととてもお似合いです。それが、重役夫人の名誉を汚すことを認めた理由です」


地元新聞 「黒のストッキングはお好き? 冠婚葬祭場でも”吸血・不倫の舞台”を演出する”ダミー法事”が続出」

市内の結婚式場「しあわせホール」の隣接施設で冠婚葬祭場である「やすらぎホール」が、18日に改装を終えた。
従来通り実際の冠婚葬祭の場としても利用されるが、今後は「ダミーの法事」を軸に営業を展開するという。
同ホールを経営する「かしこ祭典」の梶間代表はいう。
「吸血鬼が街に侵入するようになってから、礼装姿のご婦人が襲撃を受けるケースが増えた。彼らは特に黒のストッキングを着用したご婦人の脚に好んで咬みつく習性をもっているので、喪服姿のご婦人が大勢集まる当ホールで吸血鬼向けの営業を企画した」という。
一部には「不謹慎だ」という声もあがるが、同社では「実際の式典とは別日に企画される等一定の配慮をしている(梶間代表)」と強調、受注件数も順調に伸びているという。
最初に企画されたのは、喪服女装の愛好会によるもの。
「淡い毛脛の浮いた男性の脚が黒のストッキングに装われて、独特ななまめかしさを帯びており、吸血鬼たちにも相当の人気のある企画(同社)」といわれる。
実際の法事の二次会としても活用されている。
「親族間では血の味が似通うことから、吸血鬼の間でも需要がある」といわれる。昨今では親戚同士の集まりは敬遠されがちであると伝えられるが、妻を寝取られる嗜好を持つ夫たちの間では喪服姿の夫人を同伴して活動するケースが少なくなく、「親戚づきあいは苦手ですが、やすらぎホールだけは別。今は”聖地”です」と断言する利用客も増え始めている。

(描き下ろし)


地元新聞 「市の経済にも大きな好影響」

市の経済状況をはかる市内経済白書がきのう公開された。白書によると、一部衣料品店の売上が対前年比20~30%増と、目立って好調である。
特に婦人服はフォーマルウェアを中心に対前年比40%と異例の伸びを示した。
「吸血鬼に襲われるご婦人が増えたことが大きいですね」と語るのは、創業70年のA洋服店。街の中心街のアーケード化から年々売上不振にあえいでいたが、ここにきて完全に息を吹き返したという。
「吸血鬼親善条例ができてから、ご婦人が真っ昼間から大っぴらに襲われるケースが目立って増えました。彼らはよそ行きのきちんとした服装の女性を好むので、勤め帰りや冠婚葬祭帰りのご婦人が好んで襲われるようです。学校帰りの途中を中高生が制服姿で襲われることも多いですね。ご婦人方がご主人や親御さんに内緒で親密な関係になった吸血鬼と逢う場合、事前に服を買うことが多いのですが、出先で唐突に難に遭い破れたブラウスの胸を抑えて駆け込んでくるご婦人も少なくありません。服はかさばるから持ち歩くわけにもいかないし、襲うときにはできれば前もって報せてほしいというのが本音ではないでしょうか(同)」
長期的に低迷してきてストッキングの売上も大幅に伸びた。ストッキングの売上が前年同期比50%増となったB用品店では、「吸血鬼がご婦人を襲うときには、ストッキングを穿いた脚に好んで噛みつくので、今では予備のストッキングを2~3足持ち歩いているご婦人がほとんどです。公立学校でもストッキングの着用を推奨しているので、一時は皆無に近かった女子中高生の需要も増えました」と語る。
「OLさんが愛用している着圧式のハイソックスも人気があるようです。また、学生さんの間ではハイソックスの人気も根強く、"毎週3~4足は破かれてます"という強者もいます。男子生徒の間でもハイソックスが流行していて、彼女を同伴して血液の提供に行く生徒さんが履いているようです(同)」と、ハイソックスの売上も順調だという。
意外にも、ストッキングを買う男性も増えているという。襲われた妻のために購入するケースばむろん多いが、それ以外にも"好んで穿いている男性が増えている"という。「奥さんを庇って身代わりに女装して血液を提供しているうちにはまってしまって、奥さん以上の頻度で身なりを整えて出かけて行くご主人もいるみたいですよ(同)」
ストッキングの嗜好が、市民の性嗜好にも大きな影響を与えつつあるようである。

(ここまで8月25日構想)
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コメント

凄い、凄すぎる。
ひとまず読みましたが、また読み返します。

さっと読んだ中で、「ダミーの法事」というのに惹かれました。葬儀でもないし本当の法事でも無くて、冒涜する故人もいない。
わたしのようなブラックフォーマル好きにとっては、なんとも嬉しい企画ですよね。
葬祭関係やアパレル関係が潤う点でも、「ダミーの法事」が認知されるのを願ってしまいます。
by ゆい
URL
2019-09-30 月 17:07:55
編集
>ゆいさん 長編をお読みくださり、ありがとうござます。
「長い、長すぎる」と言われなくて良かったです。(笑)
随所に自分なりのツボを埋め込んだつもりなのですが、やっぱり長いですね~。
(^^ゞ

ご指摘いただいた「ダミー法事」は、今朝入力画面を読み返した後で思いつき、きょうになって加えた部分です。
本物の法事とは別日程でやるとか、かなりな配慮をしているあたりも、個人的にはツボなんですよ。^^
ほかに柏木が仕掛けたツボは、こんなところです。

◇市が専門の部署を設けて吸血鬼の受け入れを推進しているところ。
子女の受け入れとか、血液提供者の募集とか・・・あとの箇所にあるように、職員の妻や娘は真っ先に餌食になっているみたいですね。^^

◇交際中の中学生が襲われたくだり。
男子生徒がさりげなく、「母も協力してくれる」と言っています。
はい、お母さんも息子のために、さりげなく犠牲になっているようです。^^

◇おなじくだりで夫が、「性的な関係は生じたが、暴行はなかった」と証言しているところ。
はい、何事も和姦な世界でした。
(^^ゞ

◇当番制の採用
わざわざクラスの順番を描いたり、教職員を入れ込んだりしたあたりとか、
ストッキングを穿きなれない子のために足許をチェックして直してやる担任の先生の姿とか。
あとのほうで出てくる独身の女教師は吸血鬼に犯されたことで、処女ではないことを全校生徒の前で証明してしまっているあたりとか。

◇結婚式場の諸設備のなかで、「(夫の前での吸血&セックスのための)個室が行き渡らない場合は、庭園をご利用いただく」という箇所。
この結婚式場では公然と「あおかん」ができちゃうことを、さりげなく入れ込んでみました。

◇花嫁・花婿以外のカップルが結ばれるとした後で、実例をつけたところ。
交際中の彼氏に内緒で、エキストラ参加しているOLさん。
「複数の吸血鬼と関係ができてしまったので、(彼氏に)言いにくくって」と「屈託なく」笑っていたりします。

身持ちの堅い重役夫人も、知人の結婚式で巻き込まれてしまいます。
「この人輪姦は無理」と判断されたために1人だけがお相手をして、
その代わりじっくりと蕩かされちゃっています。

妻も母も姦られちゃった若い男性が、妻を中心の輪の中に参加して、あとで軽く叱られちゃったり、
夫を軽く叱ったはずの若妻さんがエキストラ招待客の常連になって、「犯される花嫁を鑑賞してからダンナを裏切る」とあっさり告白していたり。
人それぞれ、いろんなかかわり方をさせてみました。

◇景気の良くなった洋品店が、「ご婦人が真っ昼間から大っぴらに襲われるケースが目立って増えました。彼らはよそ行きのきちんとした服装の女性を好むので、勤め帰りや冠婚葬祭帰りのご婦人が好んで襲われるようです。(中略)出先で唐突に難に遭い破れたブラウスの胸を抑えて駆け込んでくるご婦人も少なくありません」なんて、かなりなことを淡々と分析しているくだり。

ダミー法事は二通りあって、純粋に喪服&喪服女装が好きな人の同好会的なありかたのものと、吸血鬼に生き血の味を気に入られた人が、味の似た血を持っている親族を正規の法事以外でもかり集めて、同時に多量の血液を提供したりするというのも、ありだと思っています。
以前に「分身の術」のお話にコメントをいただいた、
「同時に吸われる」
というやつです。

今回のお話は長いので、かいせつを兼ねたレスにしてみたのですが、
やっぱ長すぎましたかね。。。
(^^ゞ (^^ゞ
by 柏木
URL
2019-09-30 月 22:51:52
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