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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

妻を縛りつけた樹

2019年10月05日(Sat) 20:52:30

人間と吸血鬼の共存が可能になったとしても、
彼らに一方的に襲われて、片っ端から血を吸い取られるだけではないか――
ひそかにそう思っていたわたしだが、予想通り日ならずして、家族もろとも犠牲になる日がやってきた。

その日わたしは、早朝のランニングをしていた。
吸血鬼は夜訪れるもの、という先入観を捨てきれなかったわたしは、彼らがわたしの走路を遮るなど予想もしていなかった。
どうして彼らが真っ先にわたしを狙ったのか、さいしょはわからなかった。
彼らは、わたしの履いているハイソックスに目をつけたのだった。

手近な公園に連れ込まれたわたしは、三人の吸血鬼に組み伏せられた。
彼らのチーム・ワークは抜群だった。
わたしのことをベンチに抑えつけると、三人が三人とも、ほぼ同時に咬みついてきた。
ひとりは首すじに、ひとりは二の腕に、もうひとりはふくらはぎに。
チュウチュウと音を立てて生き血を吸い取られながら、わたしはしだいに陶然となっていった・・・

ふと気がつくと、彼らはいちように涙を流している。
意外な反応に思わず、どうしたのか?と、問いかけていた。
彼らは先週からわたしの自宅の隣家に棲みついていて、ふだんはあいさつ程度の言葉は交わしていたのだ。
彼らのひとりがいった。久しぶりに人の生き血にありついたので、と。
もうひとりがいった。ご主人の血が意外に若々しくて、予想以上に美味かったので、と。
さいごのひとりがいった。貴男の履いている靴下の舌触りが、ひどく気に入ったので、と。
律儀に応えをかえした彼らは、ふたたびわたしのうえにかがみ込んできて、生き血を貪りはじめた。
すでにベンチから転がり落ちていたわたしは、芋虫のように転がりながら、彼らのなすがままに血を吸い取らせてしまっていた。

奥さんと、年頃の娘さんが2人いますね?
たたみかけてくる彼らの目が、歓びに満ちていた。
家族には手を出さないでくれと懇願したが、受け容れてもらえなかった。
ひとりがわたしの家に走って、妻を呼んできた。
血の撥ねた芝生の上にわたしを見出した妻はびっくりして、その瞬間男たちの貪欲な猿臂に巻かれてしまっていた。
チュウチュウという音が、今度は妻に覆いかぶさった。
彼らが既婚女性を相手にするときには、性的関係を結ぶ習性があるときいていた。
失血にあえぎながらわたしは、妻が傍らの樹に縛りつけられて、
三人の男に代わる代わる愛されてしまうのを、目の当たりにするはめになった。
妻は、薄い黄色のカーディガンにえび茶色のスカートを着けていた。
日頃からきちんとした人で、肌色のストッキングを脚に通していた。
それが不幸にも、彼らの目を刺激してしまったのだ。
彼女の足許は男どもの舌にいたぶられ、淡いナイロン生地はみるみるうちに皴を拡げ、みるかげもなく咬み剥がれていった。

「さゆりと喜美香の血も、ご馳走してあげましょうよ~」
妻がわたし以上にイカレてしまったのも、無理はない。
夫の目の前で三人の男に凌辱されたのだから。
男の味を思い知らされてしまった妻は、さいしょのうちこそ抗っていたが、
やがて自分から気前よく身体を開いて、生き血を振る舞い始めて、
しまいには着慣れた洋服を皺くちゃに着崩れさせながら、夢中になって腰を使い始めてしまっていた。
破れ果てたストッキングをつま先から抜き取られながらきゃあきゃあとはしゃぐ妻の傍らで、
わたしは携帯で自宅に電話をかけていた。
たまたま出たのが長女だった。
いま父さんも母さんもお隣さんに襲われて、仲良くなったところだ。
これからうちに招待することにしたから、そのつもりでいなさい――
長女は結婚を控えていたが、感情を消した声で、待っているから気をつけて帰って来てね、と、こたえてくれた。

落花狼藉は、帰宅後が本番だった。
長女は22、次女は17.
3人の吸血鬼のうち2人は、処女の血を欲しがっていた。
お互い顔を見合わせると、それぞれの相手を決めたらしく、
わたしの二の腕を咬んだ男は長女を、わたしと妻の脚を咬んだやつは次女を追いかけまわした。
キャーっと相次いで娘ふたりの叫び声があがり、逃げ込んだ隣の部屋で2人とも咬まれてしまったのがいやでもわかった。
妻はうっとりとして、娘たちの叫び声に聞き入っていた。
「素敵・・・」と絶句しつつも、発育のよいふたつの若い身体から血液が旨そうに吸い出されていくのを気配で感じ取って、ひどくウキウキとはしゃいでいた。

次女はその場で犯された。
長女は結婚を控えているからと懇願して、凌辱を免れた。
案外と優しいやつだな、と、わたしは妻を振り返り、
妻は長女に、ほんとに良かったの?タカシさんには内緒にするから、あなたもして頂いたらあ?なんて、たしなめていた。
次女にも彼氏はいたのだが、有無を言わさず犯されてしまったので、お姉ちゃんずるいと口を尖らせた。
長女は口ごもりながらも、「だって喜美ちゃんかわいいけど、あたしはそんなことないから、せめて処女だけはタカシさんのためにとっておきたかったの」と、いった。
喜美香は「さゆりちゃんかわいい!」と姉を褒めて、「そんなら許す」といった。
そして、自分を犯した吸血鬼を上目遣いで睨んで、「彼には内緒だからね」といいつつも、血の流れた太ももを再び、開いていった。

娘たちを追いかけようとしなかったやつは、妻に執心だった。
夫婦ながら首すじを咬まれていたので、言うことを聞くしかなかった。
娘たちがそれぞれの勉強部屋にこもって、改めて相手を始めたとき、
彼は夫婦の床を我が物顔に占拠して妻の上におおいかぶさった。
妻は自分の情夫が女の洋服を引き裂くのを愉しむ習慣を持っていると知ると、
よそ行きのスーツに着替えて、荒々しくまさぐる掌に、ゆだねていった。
「主人の前です、お止し下さい」とかいいながら、わたしのほうをチラチラ盗み見しながら、襲われることを愉しみ始めていた。
制止する言葉やしぐさが、情夫をいっそう燃えたたせると思ったからだった。


3人はひと月というもの、我が家に入り浸った。
しかし、わたしたちが失血で身体の不調を訴え始めると、初めてしまった、という顔をして、
身体が治ったころにまた来ると言い置いて、家からも隣家からも姿を消した。


公園のベンチに腰かけながら、わたしは妻と、わたしが家で淹れてきたコーヒーを愉しんでいた。
2人が座るベンチは、わたしが最初に襲われたときに、正気を喪うまで生き血を吸い取られた場所。
目のまえにそびえる樹は、呼び出された妻が縛りつけられて、代わる代わる犯された証し。
夫婦の床を占拠されているあいだ、わたしはコーヒーを淹れるのを習慣にしていた。
彼らは血の愉悦からさめて正気にかえると、ふつうの人間と変わらず飲み食いし、知的な会話も通じることが分かったから。
妻や娘を襲っている吸血鬼のためにコーヒーを淹れる。
わたしは卑屈な気分になるよりもむしろ、そういう被虐的な気分を愉しむようになっていた。

「いなくなると、寂しいもんだわね」
妻はコーヒーを口にしながら、つぶやいた。
コーヒー通の妻は、わたしの淹れたコーヒーを、味も香りも愉しみながら、ゆったりと口に含んでいく。
首すじにつけられた痣ふたつが、少しだけ薄くなっていた。
けれども色白の肌からは、まだまだくっきりとした情欲の痕跡は執拗に残っている。

長女は、吸血鬼に襲われたことを彼氏に打ち明けたという。
「振られるの覚悟ですべて話した」とあとで母親に告げたそうだが、彼氏もこの街の人間だった。
結婚の決まった彼に操を立てて処女を奪うのは見逃してもらったと聞かされると、彼女を優しく抱きとめたという。
「今夜、彼のところに泊ってくる」
と告げて、ひと晩家を留守にした長女。
翌日には彼氏と連れだって吸血鬼の家を訪問し、3人の吸血鬼に惜しみなく若い血を与えたという。
いちどモノにした彼女を提供する羽目になった彼氏は、吸血鬼たちに「気が進まなかったら座をはずしても良い」といわれたが、
ゆったりとほほ笑んで、最後まで見届けていきます、とこたえたという。
そして、未来の花嫁が吸血鬼3人に愛され尽くしてしまうと、「ふつつかでした」と頭を垂れる長女を抱き支えて、家までエスコートしたという。

次女の場合も、彼氏にばれてしまった。
処女を捧げることを強いた男が、次女の彼氏のところに出向いていって、「きみの恋人はいい身体をしている」と、無神経極まりないことを告げたのだった。
次女の彼氏からパンチを10発ほどももらった後、ふたりは不思議なことに、意気投合した。
「処女を奪られたのは許すとしても、そこは観たかった」という彼氏に、
「さいしょは視ないほうが良いのだ」ともっともらしくアドバイスする吸血鬼。
妻は隠れて聞きながら、笑いをこらえていた。

血液を抜かれて空っぽになった血管が、きょうも疼いている。
脱力した感じが居心地よくもあり、なにか飽き足らない予感も渦巻き始めている。
「あなたもほかの人を襲っていらっしゃいよ」
妻が傍らで、白い歯をみせた。
血を抜かれ過ぎて半吸血鬼になったわたし――
今は時おり、自分や家族の血を吸った彼らと連れだって、街の住人の家にお邪魔することもある。
聞けば彼らももとは普通の人間で、吸血鬼に妻や娘、母親を寝取らせることでいまの”特権”を得たという。
寝取られる愉しみを覚えてしまった男たちは、周囲にも同好のものを増やしながら、自らの欲望を満たしてゆく。


振り仰ぐと、目のまえの樹は赤く染まった葉に彩られている。
妻が縛りつけられたときには濃い緑色だったのに、「もう秋なんだな」と、ふと思う。
「あの樹の葉っぱの色は、きみの血の色かな」
と妻を振り返ると、
「あのとき真っ赤になって恥じらった、私の頬の色ですよ」
そんな返事が、かえってきた。
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