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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

吸血マンション ~弐号室~ 住人 丹川優一 めぐみ 優香(3)

2019年10月21日(Mon) 06:11:14

あしたの午後。
勤務中にちょっとだけ時間を作って、小生の宅にお越しください。
玄関に鍵はかけないでおきますから、ご自由にお入りください。
家内もろくろく、応対はできないと思いますが――
あとはお二人で、話をされると良いと思いますよ。
もちろん無理にはおすすめしませんが。

市間々の言う通りに、丹川は勤務先を抜け出して、自宅の隣家である彼の家の前にいた。
なかに入るのに、ちょっとだけ勇気が要った。
けれども、意外なくらいにすんなりとドアノブをまわし、中に入ってしまっていた。



初めて貞操を奪われた日のことは、いまでも鮮明に憶えている。
市間々夫人はちょっぴり意地悪そうなほほ笑みを浮かべて、彼のことを引き合わせた。
――こちら、わたくしの愛人ですの。吸血鬼で、若い人妻の生き血を欲しいと仰るので、それであなたのこと招んだのよ。
あわてふためく間もなく、だしぬけに抱きすくめられ、首すじを咬まれてしまっていた。
「あァーッ!」と思いきり叫んでしまった後、しばらくのあいだの記憶が飛んでいる。
われに返ったとき、さっき自分を咬んだ吸血鬼は、市間々夫人を抱いていた。
夫の初七日に装った喪服を着崩れさせて、露わになった乳首を口に含ませて、市間々夫人は悦に入っていた。
首すじからは吸い残された血潮がしたたり、ブラウスの襟首を汚していた。
丹川の家とさして変わらない俸給で質素な生活をしていたはずの夫人は、
値の張りそうなブラウスを汚されても、まるで顧みていないようすだった。
ひざ小僧の下までずり降ろされた、破けた黒のストッキングが、ふしだらな皴を寄せていて、
夫人がとうの昔に堕落しきってしまっていることを物語っている。
自分の穿いているストッキングも、同じようにあしらわれる――めぐみはそう直感して、身を固くした。
市間々夫人を抱きすくめていた吸血鬼がコチラを振り向くのが、同時だった。

ああっ、やめて、やめてえっ!
めぐみは泣きじゃくりながら喪服のブラウスのボタンをはずされ、
ブラウスをそぎ落とすようにして胸元から取り去られていった。
ふくらはぎに咬みつかれ、市間々夫人のストッキングと同じようにむざんに咬み破かれながら、引きずりおろされて、
ショーツを脱がされた股間にまさぐりを入れられたときにはもう、理性を喪失していた。
わが身をめぐる熟れた女の生き血が、相手の男の喉をゴクゴクと鳴らすのを耳にしながら、めぐみは犯された。

それから数日は、放心状態のまま過ぎた。
夫はなにも気づいていない様子だった。
夫婦の営みは、その間ずっとなかった。
年頃になりかけた娘の目を気にして、そういう機会を意図的に避けていたのだ。
むしろそのことが、身体に刻印された秘密を探り当てられる危険から遠ざけてくれたことを、めぐみはひそかに感謝した。
そして勤めに出てゆく夫と、登校していく娘を送り出して自由の身になると、
気がつくといそいそとおめかしをして、隣家のドアをたたいていた。
そこではすでに先客が、その家の主婦を押し倒していて、
めぐみはその次に待っている凌辱を、ためらいもなく受け容れていた。
市間々夫人と二人肩を並べて、代わる代わるよそ行きの衣装を堕とされ、ストッキングを穿いた脚をいたぶられるのが、日課となっていた。

その日も夫を送り出してしばらくすると、めぐみはよそ行きのスーツに着かえて、市間々の部屋のドアを開いていた。
市間々夫人は夫婦の床のうえでへらへらと笑いこけながら、吸血鬼とまぐわっていた。
もはやなにも隠し立てをする必要のない関係になっていた。
めぐみは、市間々夫人の血に濡れた唇で自分の唇を覆われるのを感じた。
いつものように積極的に吸い返してやると、市間々夫人の血潮の芳香が、甘酸っぱく鼻腔に満ちた。


玄関をノックしようとした手を引っ込めて、丹川はそのままドアノブをまわした。
ドアはすんなりと開いた。
玄関の向こう側は、外気とは別の種類の空気が、饐えた匂いを漂わせている。
リビングのじゅうたんのうえに、市間々夫人が長々と寝そべっていた。
首すじから流れた血が、見慣れた地味なカーディガンにも点々と散っていた。
ひざ丈のえび茶色のスカートは腰周りまでまくり上げられていて、
引き破かれた肌色のストッキングはひざ下までずり降ろされている。
目のやり場に困った丹川は、ふと奥の部屋に視線を転じた。
市間々夫人は正気を喪っていたが、外部からの侵入者の気配を感じるとふと目線をあげて、丹川を見た。
夫人は白い歯をみせてニッと笑い、アラ丹川さんの旦那様ようこそ、と、呟いた。
そして悪戯を見つけられた悪童のような、照れくさそうな笑いを浮かべて目を瞑った。

動かなくなった夫人の姿に促されるように、丹川は隣室を覗き込んだ。
視てはならないものを視た――
そう思った。
妻のめぐみの肢体が、市間々夫妻の床のうえで、自分以外の男の肉体と戯れていた。
迫られた挙句の情事であることは明白だったけれども、
その情事を重ねた末に、妻もまた愉しみはじめてしまっていることも、同じくらい明白だった。
手足をからめ合い、息を弾ませあって、唇と唇を熱っぽく重ね合わせていた。
妻はふとこちらを見、あわてたような顔になって一瞬身を固くしたが、
それでも止まらない男の動きに、自分の腰の動きを重ね合わせてゆく。
もう視られても構わない――そんな態度だった。
とっさに怒りに腹が冷えたが、つぎの瞬間股間が熱く昂るのを覚えた。
十年以上連れ添ったはずの女は、それくらいに卑猥極まりない振舞いを、ひとの家の床のうえで果たし抜いてしまっている。


十数分後。
すこしだけ待ってほしい。
妻を犯している男はちょっとだけふり返って、そういった。
身づくろいをする間くらいは、待ってやろうと思った。
同時に、情事を済ませて身づくろいをする妻の様子を目にするのも憚られた。
いったん身を引きはしたものの、女も男もなかなか部屋から出てこようとはしなかった。
ばかね。
背後で市間々夫人の声があがった。
冷ややかそうで、同情のこもった声色をしていた。
も少しだけ、見逃しておあげなさいよ。奥さんまだ若いんだから。
ふふふ・・・
市間々夫人は、意地悪そうに笑った。
ふすまの向こうからは、不貞をはたらく男女がふたたび、組んづほぐれつしている気配が伝わってきた。
丹川はふたりが満足するのを待った。股間がどうしようもなく熱くなっているのを、ひた隠しにしながら。


奥さんをお借りしています。
吸血鬼は悪びれずに、そういった。
娘さんに聞こえないように楽しみましょうよ――そういったら奥さんは同意してくれました。
賢いご婦人ですね。
娘さんがお年頃になると、ご夫婦の営みもしづらいことでしょうな、お察しします。
けれどもね、奥さんも女ですから――ご不自由なぶん、私が場を作って差し上げました。
時おり貴方も、お勤めから抜け出して見えられると良い。
いっしょに愉しみましょう。
こちらのお宅のご主人も、時おりそうしていらっしゃいますからね・・・

あなた、ごめんなさい。
妻のめぐみは、さすがに蒼ざめながら、謝罪の言葉を口にした。
けれどもしおらしく造られたその表情の裏側に、確固とした意思があるのを、丹川は直感した。
許してくれなくてもいい。それなら離婚してでも、私はこの人と添い遂げる。
でも今なら、私も妥協してあげる、貴方の顔を立てて、私の浮気を許すチャンスを与えてあげる――妻の顔にはそう書いてあった。
妻の顔に書かれた、自分のために用意された科白を棒読みするように、丹川は呟いていた。

家内がお世話になっています。
息抜きのひと刻を与えてくださっているようで――
わたしも目が覚めるような気分です。
お申し出には賛成です。
といいますか、改めてわたしのほうから、お願いさせて下さい。
知らないうちに奪られてしまった・・・というよりも、そのほうが納得がいきますので。
家内の貞操を、貴方様に無償でお譲りいたします・・・
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