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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ぼくの彼女だけが、彼になん回も逢われてしまったわけ。

2019年10月21日(Mon) 07:19:07

学校時代の同窓生のなかに、吸血鬼になった男がいた。
ぼくたちの住む街は吸血鬼と共存していたので、ぼくの周りの友人たちは、
彼が自分の母親や姉妹を襲って血を吸うのを、とめだてしたりはしなかった。
彼は処女の生き血を好んだので、結婚の決まった同級生のなん人かは、
許嫁を彼に紹介して血を吸わせ、花嫁の身持ちを占ってもらっていた。
けれども彼は、幼なじみに許嫁を紹介されると、たいがい1度か2度生き血を吸っただけで、それ以上深入りすることはほとんどなかった。

ぼくの場合も、結婚が決まると母に勧められるまま、彼に許嫁を紹介することにした。
母はごく若いうちから彼に血を与えていて、もちろん身体の関係もあった。
セックス経験のある女性を餌食にするときには必ず犯すといういけない習性を、ほかの吸血鬼同様彼も持っていたのだ。
周囲でも母親や結婚した姉や兄嫁を吸われた友達はなん人もいたし、
かなり以前から母がスカートのすそを乱しながら彼の相手をしているところをのぞき見していたので、
それはごく当然のことだと思っていた。

どうやら母は、息子以上に親密になった彼のために、息子の嫁までプレゼントする気になったらしい。
ぼくは母のせかされるまま、彼女に事情を告げて同意を得ると、結婚することになったから彼女を紹介したいと、彼に電話をかけていた。
場所は彼の家が選ばれた。
初めての訪問に緊張した彼女が、真新しいストッキングのつま先を彼の家の廊下の古びた床にすべらせたとき、
なぜかゾクッとした昂りを覚えた。

彼は女性の脚に執着が強く、
首すじを咬んだ後は決まって、ストッキングを咬み破ってふくらはぎから吸血する習慣をもっていた。
彼はぼくの未来の花嫁に対しても、作法通り首すじを咬んで、
貧血でくらくらとした彼女のためにソファを進めると、腰かけた足許に唇を吸いつけていった。

あなたがいっしょだったから、血を吸われるのは怖くはなかったけど。
人前でストッキングを破られるほうが恥ずかしかった――
初めての体験にちょっと涙ぐみながらも、彼女は気丈に声を張って、ぼくにそんな苦情を言いたてた。
けれどもそのうちに、「なんだか身体がじんじんしてきた」と呟くと、
もしもあちらのご希望があるようなら、もう一度くらいならストッキングを破らせてあげても良い――と、言ってくれた。

意外だったのは、彼女がいちどで済まなかったことだった。
ほかの友人たちの彼女は、たいがいいちど招ばれただけで終わったのに。
彼女は3日にいちどは呼び出されて――それが健康を損ねることなく献血を続けるための限界だった――時にはぼくにも黙って彼との逢瀬を重ねるようになった。
彼とは学校時代いちばん仲の良いほうだったので、ぼくの嫁だからことさら仲良くしたがっているのか?と自分を言い聞かせようとしたけれど。
どうやらそういうことだけではなくて(それももちろんあったと彼は後で話してくれたけど)、
彼女そのものが気に入ったらしかった。
ぼくもまた、のんきなもので、彼がぼくの未来の花嫁を気に入ってくれたことを嬉しく思っていたし、
ふたりが仲良くすることをむしろ歓迎していた。

てっきり彼女の純潔もヨコドリされてしまったのでは?と思いながら――
ぼくはそんな状況さえも、マゾヒスティックな気分で愉しんでしまっていた。
むしろぼくのほうから、許嫁の純潔を捧げてしまおうかかとさえ思ったし、
さすがにそんなことは彼女の手前口に出すことも遠慮したけれど、
ぼくにナイショの逢瀬を遂げてきたと感じたある日などは、彼女の純潔をプレゼントやったつもりにさえなっていた。

挙式を数日後に控えたある日、彼はぼくを呼び出して言った。
今までゆう子さんの処女の生き血を愉しませてくれてありがとう。
じつは、みんなが紹介してくれた許嫁たちのなかで、彼女だけが処女だった。
だから、ついつい美味しい血をせがみ続けてしまったんだ。

きみもよく知っているだろう?
セックスの経験のある子に当たると、相手が友だちの彼女でも、ぼくは犯してしまうんだ。
だから、ほかの女の子たちは1度か2度しか逢わなかった。
なん度も常習的に犯してしまうのは、せっかく嫁さんを紹介してくれた彼らにに悪いからね。
でもきみの彼女は違った。
だから彼女のことはまだ犯してはいないし、きょうまでずっと、処女の生き血を愉しませてもらっていたんだ。
でも、もうじきお二人は結婚するんだね?
僕はきみの花嫁を処女のままお返しするよ。
どれだけ、我が物にしてしまおうかと思ったけど・・・
そこまでしたらだれのお嫁さんだかわからなくなりそうって彼女に言われたからね。
でも・・・結婚してからも、彼女に逢ってかまわないかい?
・・・・・・かまわないよね?・・・・・・

ぼくはゆっくりと大きく、頷き返していた。
きっと彼女も別の機会に同じことを告げられて、結婚してからも逢う約束をしているはず。
いまのぼくがそうしているように、ゆっくりと大きく頷き返して・・・
ふたたび彼と目線を合わせたとき。
マゾヒスティックな歓びが、どす黒い稲妻のように、ぼくの胸を小気味よく切り裂いていた。
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