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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

あなたはどちらに並ぶ? ~成人女子の場合~

2019年11月19日(Tue) 07:17:18

「処女の子」
「そうではない子」
吸血鬼たちが採血に訪れる同じ学校でも、
大人の女性たちだと事情が少しだけ複雑だ。

どちらの行列に並ぶのか。
28にもなってまだ処女の行列に並ぶのは恥ずかしい――と囁く女子事務員。
それなりの経験はあるけど、婚約者の手前正直には並べない――と漏らす、来年結婚を控えた女性教師。
うそをつく率は、少女たちよりも大人たちのほうが高そうである。


「やだー、先生たら、処女卒業~!?」
「そうではない子」の列に並ぶ担任の教師を、2人の教え娘が大きな声で祝福する。
先週までは「処女の子」の列にいた大島みな子教諭(仮名、26)が、初めて「そうではない子」の列に並んだときのこと。
長い黒髪を恥ずかしそうに揺らしながら恥じらう大島教諭をつかまえて、セーラー服姿の2人は代わる代わる、
「おめでとー!」「やったね!」「これでアタシたちの仲間っ♪」
と、まるで姉の悪戯を見つけた悪い妹のようにさえずり続けた。

ちなみにこの学校の師弟の制服は、セーラー服ではない。
「たまたまきょうは、”セーラー服の子集合!”の日だったんです。
 だから、中学の時の制服を着てきました」
先生の処女喪失を派手にお祝いした2人の生徒の一人、奏(かなで)若菜さんは言う。
「え~、私身体入らなくなっちゃったから、お母さんに新しいの買ってもらった」
と口に両手を当てるのは、クラスメイトの黒島華(はな)さん。
この学校では、父兄も子女を対象とした吸血行為には理解があり、協力的らしい。
「初々しいほうがヨロコブから、わざとらしく履いてきた」というおそろいの白のハイソックスは、
ふくらはぎの咬み痕に、吸い残された鮮やかなバラ色の血潮を光らせている。
二人とも、彼氏持ち。
けれども初体験の相手は、彼氏ではないという。
その話題になったとたん、2人の”先生攻撃”が再開した。
「ねえねえ、先生はどっち?婚約者?吸血鬼?」
「痛かったでしょ~?それとも、最初からもう良かった?」
「あたしは痛かった」「あたしは良かった」
秘密の経験を共有した女子どうしは、会話のはずみ方も尋常ではない。
セックスを経験して間もない女子生徒たちの好奇心に輝いた瞳は、
先生があらいざらい話すまで決して視線をはずすことはないのだろう。


「初めて”そうではない子”の列に並びました!」
そういって目を輝かすのは、庶務課に勤める半井(なからい)美由紀さん(仮名、24)。
彼氏はいたものの、高校生のころに初体験を吸血鬼に捧げてしまっていた美由紀さんは過去を打ち明けることが怖かったという。
ところが、先週になって状況は急展開。
「ふたりでいるところを、あのひとに襲われちゃったんです」
昏倒寸前まで血を吸い取られた彼氏の前、首すじを吸われ、ストッキングを咬み剥がれながらふくらはぎを吸われてゆくうちに、
吸血鬼に誘導されるまま「まんまといつものペースに」。
――そう言いながら嬉しそうに恥じらうということは、彼氏さんも昂奮しちゃったの?
帰社が水を向けると、
「恥ずかしいこと言わないでください!」
と、怒られてしまった。
後ろめたい秘密が、カップルで共有する密かな愉しみにすり替わって、
美由紀さんは今週末もまた、吸血鬼の待つ公園で彼氏と待ち合わせるという。


「私は”そうではない子”ですよ、当然――」
いつも威厳たっぷりの校長夫人の高城寛子女史(49)も、この列に並ぶときだけは少しだけ恥ずかしいという。
「主人がこういう学校で、教え子の生徒さんをはじめいろいろな方々の血液を提供する勤めをしておりますから、
 私だけ無傷というわけにもまいりませんでしょう?」
まだ少しでも若いうちに血液を提供してほしい、せめて四十路のうちにって説得されましてね・・・
プライドの高い名流夫人の誉れ高い寛子女史はそういって、憂い顔にあきらめの表情を漂わせて、複雑な感情をよぎらせる。
さすがにインテリ女性ともなると、貞操喪失にも抵抗があったのか――
記者のそんな下世話な質問を、
「まるで、ほかの殿方相手のセックスをお許ししているのが当然なお話しぶりですわね」
とさりげなくかわしながら、それでも思い切ったように口を切る。
「してます。すべて主人の希望です」
キッパリと告げたそのすぐあとに、博子女史はつけ加えた。
「でも、愉しんじゃってますよ」
いままでの堅い表情とは裏腹な、なんとも言えない艶やかな笑みに、毒酒に酔ったような気分にさせられた。


少数ながら、「処女の子」に並ぶ職員も数名いた。
列の最後尾に並ぶ、制服姿の3人組。
初冬の陽射しのなか、ちょっとだけ寒そうに袖口を指でつまんで縮こまっているのは、肌寒さのせいばかりではなさそうだ。
「あ、この子初めてなんです。で、どうしても怖いから一緒に並ぼって誘われて・・・」
当校での勤務が二年目の尾高奈々子さん(仮名、23)の古風な色白のうりざね顔が、日常的な貧血のせいか蒼白く写る。
「ウソー!自分から並ぼって連れてきたじゃない!」
そういって奈々子さんの肩をどやしつけたのは、同期の友村かれんさん(仮名、23)。
もとスポーツ少女の大きな黒い瞳を、優雅なセミロングの茶髪の下で悪戯っぽく輝かせる。
小麦色の肌が陽射しに生き生きとした艶を放つ。
「私の方が体力あるから、いっしょに並んでいても色っぽいでしょ?」
そういって、記者にわざとらしいウィンクを送った。
「新人で、この街に来て間もないんです。そりゃ吸血鬼怖いのって当然よね」
お姉さん気分で横目に見られた前村加奈さん(20)は、今年短大を出たての新卒。
「新卒というか――秋に来たから旧卒だよね」
活発なかれんさんは、遠慮なく突っ込みを入れた。
事情ができて入社したばかりの会社も辞めて、家族もろともこの街に移り住んできたという加奈さんは、
この街に来てたった一週間で、母親に吸血鬼の交際相手ができたと語る。
「そのひとが実力者で、この学校に私を紹介してくれたんです。
 父は母を吸血鬼の恋人にされちゃってかわいそうだったんですが、
 ”お前まで母さんの彼氏の相手をすることはない、自分の相手は自分で見つけなさい”って言ってくれたんです」
なかなか複雑なご家庭のようではあるが――
「いつもは黒の着圧ハイソックスなんですが、それじゃだめだからって、黒の透けるストッキング穿いてきました。
 脚を咬まれちゃうのにストッキングなんてって思ったのですが・・・」
「それくらサービスしなさいよって叱ってやりました」
と、またもかれんさんがしゃしゃり出る。
「あたしも言ったんです」
控えめに発言するのが、色白のうりざね顔の奈々子さん。
「2学期に入ってから、軽く1ダースは破かせてあげてるよって」

当地の吸血鬼は、長い靴下を履いたふくらはぎを好んで狙うという。
「咬み破って楽しむんですって。絶対、エッチですよね」
生徒を対象にした「ハイソックスの子集合!」日や、「オトナの女子集合!きょうはストッキング・デー」など、
着用する靴下をモチーフにした吸血イベントもたびたび行われている。
うりざね顔の奈々子さんは、意外なくらい几帳面だ。
初体験のとき以来、咬まれた靴下の数を勘定しているという。
「処女は、50足めの人にあげることにしてるんです」
静かにほほ笑む奈々子さんに、「それってかなりアバウトだよね?」とかれんさんに突っ込まれながらも、
「あたしもかれんに負けないように、お嫁入り前に初体験済ませるから」と笑った。
「この学校で処女の血は貴重です。事務員で処女だと珍しがられて、重宝されます。
 だから入ったばかりの加奈さんには、少しでも長く処女でいてもらいたいですね」
ひっそりと笑う奈々子さんの笑みには、不思議な説得力があった。


当記事の末尾に出てくる友村かれん(仮名、23)は、記者の彼女である。
出逢ってからまだ一か月。けれども彼女の好意で取材を許可されたのだから、感謝しなければならない。
肉体関係はまだない。
そして処女の列に並んでくれたことに、ちょっとだけ安堵を覚えた。
けれども取材の過程で、並んだ列がうそだということがわかってしまった。
「バレちゃったネ」
あとで彼女はそういってフォローしたが、間違いなくわざとばらしたに違いない。
「複数相手してるの。初体験の人ともまだつながってる。それでもあたしと付き合う?」
挑発的な瞳の輝きを、あきらめ切れるわけがない。
記者はきっと、来週のデートの約束をすっぽかさないだろう。
彼女を日常的に吸血鬼に喰われる日々を、愉しめるようになるために。


あとがき
調子に乗って描いていたら・・・
超長くなってしまいました・・・ (^^ゞ
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