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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「キミのお義母さん、イカスなぁ」

2019年11月25日(Mon) 06:12:59

「キミのお義母さん、イイなぁ。イカスなぁ」
そういってやまなかったのは、幼なじみのK。
男色と年増女に目のない変態だ。
もっとも本人はいたって知的な紳士で、女相手だけではなくたれに対しても思いやりが深い。
表向きの顔で蟻地獄に引き込むタイプだ。
(ただし本人は、「これももうひとつの俺の真実」といってやまないのだが・・・)

Kが妻の母を褒めたのは、場所もあろうに披露宴の席上のこと。
なん度もビールを注ぎに来ながら、「あまり飲み過ぎるなよ」といって、
人目に立たないようになみなみと注がれたコップの中身を足許のバケツに捨てさせてくれた。
うら若い新婦にはあまり関心がないものか、ちらと目をくれて黙礼を交わすだけ。
その視線はとにかく、親族席の筆頭に座る義母に注がれている。
もっともそのころは義父もまだ元気だったから、「やめとけ、やめとけ、場所柄をわきまえろ」
と、新婦が中座したときには小声でたしなめたりしたものだ。

その義母が、身も世もないほど嘆いてすっかりふさぎ込んだのは。
オシドリ夫婦で知られた義父が、寝たきりになってしまったときのこと。
やつれ果てた彼女の方が、夫よりもさきに逝ってしまいそうなありさまに。
妻も俺もたいそう気をもんだのだけれど。
しょせん外野というものは、なにもできない仕組みになっているらしかった。
そんな時だった。Kが俺のまえに現れたのは。

Kが吸血鬼だということは、妻も俺の口からきいて知っていた。
年増好きのKが、俺の叔母や、人もあろうに母の血さえ吸って、
ついでに男女の関係さえでかしていることすら、もうばればれになっていた。
俺でさえ。
中学のころからKに色目を使われて。
母の服を持ち出して身代わりになって、やつの一物を味わわされていた。
先に体験したのが男だったから、しばらく俺はそちらのほうから抜けられなくなって。
結婚してやっと、ノーマルな方向に回帰しかけたというわけだ。

「Kにお義母さんを逢わせてみないか」
俺の提案に、妻はちょっとだけ渋い顔をしたけれど。
母の身の上を案じる気持ちの方が優ったのだろう。
気乗りのしない顔をしながらも、「あなたの好きにして」と言ってくれた。
「逢わせる」とは、誘惑させること。
Kが気が優しくて根っから紳士的なことも妻にはわかっていたから、「無茶はするまい」と思ったのだろう。
事実そうだった。

「義母を誘惑して良い」と俺からのお墨付きをもらったKは、いそいそと妻の実家に通い始めた。
気の利いたお土産を持って行ったり、いっしょに義父の看病をしたり、
時には通いでやって来るケアの人に義父を任せて、義母を映画や展覧会、催事などに連れ出していた。
正体が吸血鬼だということも打ち明けて、
じつは貴女の血を目当てにこうして通ってきているのだと、ぬけぬけと本人に告れるまでになっていた。
「ねえ和夫さん、どう思う」
ある程度の信頼を勝ち得ていた義母か「Kさんから迫られている」と打ち明けられたとき。
「献血だと思って相手してやってくださいよ」
と、俺は内心湧きかけていた嫉妬の情を押し隠しながら、義母にこたえた。
「ストッキングを穿いた脚を咬みたいって仰るのよ。いやらしいわよねえ?」
淑やかな義母の口からこんな言葉が洩らされることに衝撃を覚えながら、俺はいった。
「ストッキング破らせちゃったら、一直線かも知れないですよ」
義母が堕ちたのは、それからすぐのことだった。
その日新調したばかりのスーツをばっちりとキメた義母は、
Kを家に招び寄せると、夫が寝入ったのを見計らって、「ちょっとだけなら献血、応じられる」といい、
スカートをちょっとだけ、たくし上げて、
ストッキングのうえから吸いつけられる唇を、息をつめて見守った。
ァ・・・
小さな悲鳴が洩れる下で、義母のストッキングは、鋭くひとすじ走った裂け目を、みるみるうちに拡げていったという――

不思議なもので。
寝たきりだったご主人は見違えるほど恢復して、以前と変わらないようになっていて。
義母は三日にいちどはおめかしをして、夫に快く送り出されてKと逢いに行き、
教師の妻としては不似合いな場末のホテルや、Kのねぐらに引き込まれて、長年尽くした夫を裏切るようになっていた。
義父も義母の回春を、薄々知っていたようだけれども。
根っからの愛妻家の彼は、妻の不貞を咎めようともせずに、
今までどおり妻を愛しつづけ、たまに現れるKのことさえ歓待した。

やつがどうして義母に執心したのか、いまになってわかるような気がする。
年増女が好きで同性愛嗜好な彼が、
ほんとうに欲しかったのは俺だったのだ。
だから俺の母や叔母を堕とし、俺を女として犯し、俺の義母まで狙ったのだ。

妻が乗り気ではなさそうな理由も、わかっていた。
自分の恋人を、実の母に取られてしまうと思ったからだ。
そう――
俺が初めて女に目ざめたのは、妻のおかげだった。
新婚初夜を処女妻として明かした妻のところに、「そんな事だろうと思って」といいながら姿を現したKは。
俺のまえで妻を犯し、新郎以外の男と夢中で交わり始めた妻を目の当たりにして、初めて男としての本能に目ざめていったのだ。
はからずも処女を捧げた相手に対し、妻はどこまでも純情で。
逢瀬を遂げるのを見て見ぬふりをする夫の寛大さを悦んで、しぜんと夫に尽くす妻となっていった。
それが罪滅ぼしに由来するものだとは知りながら。
濃やかな心遣いを示す妻に、俺は寛大さで報いていった。
二人の息子と二人の娘に恵まれたけれど。
長女と次男は、Kの種だと、両親ともに自覚している。

義父が復活したのもきっと、Kのおかげなのだろう。
「若い彼のことを視ていると、発奮するね」
あるとき義父は、俺にそう語った。
妻の貞操と引き替えに、健康を取り戻した――
決して小さな大証ではなかったはずなのに。
ワンマンだった亭主が寛大な夫に生まれ変わることで、
若作りに着飾った妻を情夫に抱かせ、自分でも愉しむようになった日常を、決して呪いはしていないらしい。

きみは奥さんと仲良く暮らしている。
お義母さんも元気になったご主人と夫婦円満。
ボクはボクで、嫁も姑も手に入れた。
八方丸く収まった・・・よね・・・?
妻から借りた服で女の姿になって、ベッドのうえで囁かれて。
俺は強く肯き返してしまっていた。


あとがき
一人の男性の妻と母とを二人ながら犯すお話は、いくつとなく描いていますが、
一人の男性の妻と義母とを二人ながら抱かれてしまうお話は、意外に描いた記憶がありません。
カテゴリは「嫁と姑」にしていますが、すこし本質は違うのかもしれません。
「年増好き」というのは「俺」に投げたKの陽動に過ぎなくて、
そのじつさいしょに狙ったのはKの奥さんだったのでしょう。
新婚初夜に、まず新婦が抱かれていますから。
そして、その愛情込めて抱いた新婦の母親にも、興味を抱いて、どんな女性なのか識りたくなった。
初対面から「これは」と思いつつ、さいしょはご主人に遠慮したのかもしれません。
義母にホコ先を向けたのは、ご主人が倒れた後――というのも、Kの律義さを感じます。
お義母さんが貞操堅固で、ご主人が元気なうちは手を出すことができなかったのかもしれませんが。。
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