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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

堕ちた病院 未亡人婦長と吸血鬼の恋・番外編

2019年12月02日(Mon) 07:48:43

はじめに
今年のまだ陽気の良かったころに描いていた、「未亡人婦長と吸血鬼の恋」シリーズの番外編です。
いま見たら、連載開始は5月23日でした。8月まで長丁場になって、その間泛んだ別のお話は、しばらくお蔵入りにしていましたっけ。
(^^ゞ


昭代の勤め先である病院の院長は、美澤という男だった。
齢のほどもわきまえず、若い女には目がないたちで、
いまだに若い看護婦を無人の病室に呼び入れては手籠めにしているという。
若い看護婦に限らず、病院の看護婦はほぼ総なめの実態――
そのなかには息子の嫁となった看護婦まで、含まれていた。
もちろん婦長をしている昭代がその標的とならないわけはなかった。

わるいことに。
彼の病院は、昭代の夫が生前務めていた会社の重要な取引先でもあった。
「ご主人の立場は私次第でどうにでも」
院長の殺し文句は、じつにわかりやすかった。
心ならずも院長の欲望に従った妻は、二度目以降はあくなき彼の欲望に屈したのだった。
昭代のなかでは、初めての不倫だったというけれど。
彼女は院長との交際を前向きにとらえて、「セックスだけではない、もっとまじめなお付き合いをしましょう」と、映画や美術館にも、自分から誘うようになった。
夫の大口の取引先との、家族ぐるみの付き合いという隠れ蓑をまとって。
昭代は夫の勤務中に、院長と示し合わせた逢引の場に、よそ行きのスーツをまとって足しげくかよった。
ふたりの仲は、もちろん秘密。
生真面目な夫を傷つけまいとする配慮を忘れずに、昭代はせっせと不倫に精を出して、夫を裏切りつづけた。
内助の功が償いになるのだろうか?と思わないことはなかったけれど。
数ある院長の情婦のなかで、もっともレディとして尊重されているという実感が、
昭代を院長との不倫から遠ざけさせなかった。

その夜の院長はいつになく、荒々しかった。
どうなすったんですか?
昭代は訊いた。
訊かなくても、こたえはわかっていたけれど。
そう、新しい女をモノにしたとき、院長はいつもこんなふうに、荒々しいのだ。
昂奮の余燼が、さめやらないのだろう。
そしてそういうときには必ずといっていいほど、昭代を相手に選ぶのだった。
相手はきっと、看護学校を出たての子――
真面目ですじの良い子だが、そういう子に限って男性経験があるものだ。
「やっぱり処女ではなかったようだ」
院長の独り言は、犯した女を咎めるものだった。
「いい気なものですね」
まるで古女房が夫の火遊びをたしなめるような口調で、昭代は応じた。

夫が亡くなったあと、昭代は吸血鬼と出逢って交際を始めた。
院長とは同時進行だった。
生真面目な昭代だったが、不倫を掛け持ちすることに、不思議と罪悪感は感じなかった。
相手だって自分の奥さんを裏切っているのだし。
吸血鬼はなん人もの人妻や娘を牙にかけているのだし。
彼女はしばしば、院長と逢ったその足で、吸血鬼のねぐらへと脚を向けるのだった。
下着とストッキングだけは、替えを用意して。

その夜の吸血鬼は、いつになく荒々しかった。
そういう時には決まって、新しい獲物をモノにしたあとのことだった。
きっと、昂奮が収まらないのだ。
どこかのだれかと似ている――と、昭代は思った。
「いま、なにを考えていた?」
「あたしのもうひとりの恋人のこと」
「俺に抱かれながら、不埒なものだ」
自分の不埒を棚に上げて、男はいった。
「そうね――でもそのひとって、あなたとよく似ているの」
きょうの獲物はどういう女(ひと)・・・?
女は訊いた。
「あんたの勤め先から出てきた、若い看護婦だ」
「看護学校出たての子ね?」
「そうかもしれんな。あろうことか、病院でセックスしたすぐあとだったようだ」
「相手は院長よ」
「たいしたことだ」
「あなたとはウマが合いそう」
「あんたの病院を、征服したい」
「またその話?」
「ああ、その話だ」
仲間がおおぜい、飢えている。なんとかしてやりたい。
俺がまだ人間だったころ、妻のことを襲わせてやったくらい、仲の良い連中なのだ、と、男はいった。
「不思議なたとえね」
昭代は笑った。
「私のことも襲わせる気?」
「俺の特別な女だといえば、犯しはしても鄭重に接するはずだ」
そうかもしれない――と、昭代はおもった。
彼らには彼らなりの礼儀やけじめがある。そんな感じが、彼の抱擁を通して伝わってくる。
「うちの病院、看護婦多いわよ。いまどきの病院は看護婦不足のところが多いんだけど」
「好色な院長に取り入ろうとする、さもしい女が多いというわけだな」
「院長の息子の若先生が、いい男なの」
「じゃあ女どもは、そっちが目当てか」
「院長のお手当てが目当てのひともいるわ」
「院長の女を横取りするには、どうすればよい」
「そんなこと、自分でお考えになったら?」
「なあに・・・」
男はほくそ笑んでいる。
もうきっと、あらかた見当はつけているのだろう。

男の狙いは、昭代にとって意外なところにあった。
院長夫人だった。
堅物で知られた、齢59にもなるそのご婦人を、男はみごとに篭絡していた。
院長夫人もまた、ためらいながらも、初めての不倫に応じていった。
地元の名士である院長は、夫人の不適切な交際を、むろん好まなかったが。
醜聞が拡がるのを恐れて、夫人と吸血鬼との交際を黙認することにした。
吸血鬼はいつものように、院長が夫人をプレゼントしてくれたのだと自分に都合よく解釈をして、娘たちの目を気にする夫人のために、しばしば夫人を病院に招いた。
院長のはからいで空けられた、病棟の一番奥の病室が、2人の濡れ場になった。
娘の目を気にしないで済むためには、むろんべつの方法もあった。
吸血鬼はためらいもなく、それを実行に移した。
病院で女たちの足許から抜き取るのは白のストッキングと相場が決まっていたはずが、
院長夫人の肌色のストッキングや、娘たちの学校帰りのハイソックスが交じるようになった。
妻の貞操や娘の純潔を台無しにされるのを横目に、院長はせっせと看護婦たちを篭絡し、愉しい夜は、ときには昼を過ごしていた。
昭代が言ったとおり、二人は似た者同士だったので、ウマが合ったらしい。
お互いはお互いの獲物に無用の口出しをせずに、まるで当番制のように、獲物を取り替え合いながら、病室のベッドを濡れ場にしていった。
院長の息子は生真面目な男で、彼のおかげで病院がもっているようなものだった。
父や新来の患者が看護婦たちや、自分の母親や妹たちまでも病室に引き込むのも、視て視ぬふりをして、本業に熱中した。
病室に引き込まれる看護婦たちのなかに、自分の妻が混じっていることは、吸血鬼が来る前から視て視ぬふりをしていたので、
若い嫁が父の親友と良い仲になることも、しいてとがめだてしようとはしなかった。

病院が吸血鬼たちの楽園と化すまでに、一箇月とかからなかった。
あとからあとから入り込んでくる吸血鬼に、院長はさすがに辟易したけれど。
病室に呼び入れられた夫人がおおぜいの吸血鬼たちに輪姦されて悦ぶところを目にしてしまうと、すぐにおとなしくなった。
その病院に勤める看護婦の頭数プラスアルファの数の女たちは、あっという間に吸血鬼と院長と共有物と化していた。
余分な人数は、院長夫人や若先生の奥さん、それに院長の娘まで含まれていえる。
若先生も娘婿も、吸い取られたばかりの血を首すじにあやしたまま、
妻たちが吸血され犯されるありさまを、ただすくみ上って見ているだけだった。

昭代も、彼の仲間のなん人かのお相手をした。
すっかり操は汚れてしまったが、いまさらどうでもいいことだった。
あのひとのために汚したというのなら、亡き夫もきっと許してくれる。
そんな確信があった。

情事を終えて帰宅した真夜中過ぎ、昭代は決まって夫の写真に手を合わせる。
「あなた、視てたでしょ?」
優しく咎める言葉つきに、夫の写真はちょっと申し訳なさそうな笑みを泛べるだけだった。


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