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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

遭遇。

2019年12月19日(Thu) 08:03:46

街なかで、妻とすれ違った。
「あなた」と向こうから、声をかけてきた。
首すじにつけられた咬み痕が、まだほんのりと血潮をあやしていた。

連れの男性とも、軽く会釈を交わした。
妻はいつもより、若づくり。
齢も10歳以上は若く見える。
夫の前で腕を組んで通り過ぎる後ろ姿――
真っ赤なひざ上丈のタイトスカートのすそから覗くふくらはぎが、グレーのストッキングになまめかしく映える。
これからどこへ行くのか?
夫といえども、それを問うのは野暮になる。

自宅近くの商店街。
道行く人のなかには、顔見知りも多かったけれど。
だれも見とがめるものはいない。
有夫の婦人が夫以外の男性と恋に落ちることも、
吸血鬼が人妻の生き血を好んでたしなむことも、
この街ではごくありふれたこと。

「お互いが納得できるのなら、いいじゃない」
妻が抱かれているるところを初めて視てしまったときに感じた、禁断の昂り――
恥辱の記憶として口にしたことを、妻は真顔になって補ってくれた。

帰宅したわたしを待ち受けていたのは、妻からの留守番電話。
「ごめんなさい。遅くなりますので、晩ご飯はどこかで済ませてくださいね」
格好の良い脚に通されたストッキングは、いまごろ彼氏の唇になぶられて、見る影もなく剥ぎ降ろされているころだろうか。

それではわたしも、出かけよう。
妻の彼氏に覚え込まされた吸血の魅惑に、生えかけた牙が疼く。
歳の差婚をした同僚の新居。
お嬢さんが中学に入学したばかりの上司のお宅。
お母さんを紹介してくれたハイソックス少年の家。
きょうはどのお宅に、お邪魔しようか?
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