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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

チャレンジャー

2020年01月07日(Tue) 07:32:02

里帰りをしてひさびさに、幼なじみの吸血鬼に会ったときのこと。
彼が突然、獣めいた目つきになった。「見慣れない若い女がいる」
まさか、血を吸いたいとか言い出すなよ・・・と思ったが、案の定だった。
街の女たちなら、彼の正体も欲求のほども知っていて、ほどほどに相手をしてくれるのだが、
他所から来た女では、なかなかそうはいかないはず。
「全くお前は、チャレンジャーだな」
あきれてみせる俺のまえ、
「けれどあの女なら、すべてを失うリスクを取っても良い」
なんて言い出しやがった。
「ちょっと待ってくれ、話をつけてきてやるから」
踊り出そうとする彼をとっさになだめて、女のところに飛んでいった。

駆け戻る俺の背中を見つめながら女は佇みつづけていて、
ふたたび彼を伴い取って返すと、
あいさつもそこそこに彼は女の首すじを噛んでいた。
路上で組み伏せ抑えつけ、気絶した女のうえから起きあがると、彼はいった。
「お前の婚約者だったのか!?」
血を吸った相手の意識を読み取る能力が、困ったところで発揮された。
「お前こそチャレンジャーだな」
彼女の血をしたらせながら感心してみせるヤツの頬ぺたを、俺は軽くひっぱたいていた。
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