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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

文化部生徒の献身。

2020年01月12日(Sun) 10:00:46

「ゴメン、明日試合なんだ」
間島達也(17、仮名)は、自分の血を欲しがって現れた吸血鬼を前に、手を合わせた。
「明日だったか――それではしょうがないな」
吸血鬼はあきらめ良く、懇願する少年から目線をはずした。
「すまないね、明日の試合のあとなら、相手するから」
達也は手にしていた紙袋を吸血鬼に押しつけると、足早に立ち去っていった。

「振られちゃったね、小父さん」
穏やかで温かい声色が、背後からあがった。
吸血鬼が振り向くと、そこには達也のクラスメイトの畑川保嗣(17、仮名)がいた。
保嗣は制服姿だった。
濃紺のブレザーに、グレーの半ズボン。その下は半ズボンと同じ色のハイソックスといういでたち。
この街に吸血鬼が現れるようになってから、学校の制服が一新されて、男子もハイソックスを着用するようになっていた。
文化部所属の保嗣の足許は、肉づきがたっぷりとしている。
達也のもつ無駄のないしなやかな筋肉とは違って、女のようなふくよかさをたたえていた。
――この子なら、女子の制服も似合いそうだな。
吸血鬼はふと思った。

「教室、行こうか」
「いや、君の家がいいな」
評判の美人である保嗣の母親を思い浮かべて、吸血鬼はにんまりと笑う。
色白で透き通った皮膚は、母子共通のものだった。
「いやらしいね、小父さん」
保嗣は露骨に顔をしかめたが、いやだとは言わなかった。

「ただいまぁ」
間延びした息子の声色の背後に、黒影のように付き従ってきた男の姿を横目にして、
保嗣の母はただ、おかえりなさい、と返しただけだった。
「あとでお部屋に、お紅茶持って行くわね」

「紅茶が入るのに、数分くらい・・・か」
保嗣の勉強部屋でひとりごちる吸血鬼に、「15分かな」と、さりげなく訂正した。
数学の得意な彼は、こういう訪問に慣れてくると、献血をしながら頭上の壁時計に目をやって、平均時間を測っていたのだ。
自分の体調と提供可能な血液の量、それに一分間あたりに吸い出される血液の量を割り算して、所要時間を計算する。
几帳面なのかもしれないが、その几帳面さはどこかいびつだ――と、吸血鬼はおもった。
もちろん、自分のことは棚にあげて。

「さ、いいよ。十代の男子高校生の生き血、たっぷり愉しんで・・・」
保嗣は腹這いになると、グレーのハイソックスの脚を吸血鬼の前に差し伸べてゆく。
放課後、真新しいハイソックスに履き替えたらしい。
脚のラインを映して微妙なカーブを描く真新しいリブが、ツヤツヤとしている。
うふふふふふっ。
男はくすぐったそうに笑み崩れると、笑みに弛緩した唇を、ハイソックスのうえから擦りつけてゆく。
足許を緩やかに締めつけるしなやかなナイロン生地に、生温かい唾液がおびただしくしみ込んでくるのを、
少年は苦笑いしながら迎え入れた。
達也のやつも、こんなふうにされているんだな――と、吸血鬼のもう一人の恋人のことを思い浮かべながら。

20分後。
保嗣は失血に蒼ざめて、息も絶え絶えになっていた。
ひざ下までぴっちりと引き伸ばされていたハイソックスは半ばずり落ちて、吸い残された血潮に濡れている。
あちこちにつけられた咬み痕は、赤黒い斑点をあやしていて、吸血鬼のしつようさを母親の視線にあますところなくさらけ出している。
息をのんだ母親は、すでに首のつけ根に食い入る牙のために、ひと言も口をきけなくなっていた。
侵入者は、息子のハイソックスだけではなく、自分がいま脚に通している肌色のストッキングまで狙っている――
そうわかっていながら、もうどうすることもできない。
「ヤスくん、視ちゃダメよ・・・」
ひそやかな声を無視して、保嗣は姿勢を崩していく母親から、目線をそらそうとはしなかった。
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