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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

初会。

2020年01月14日(Tue) 07:20:50

授業中の保嗣を空き教室に呼び出した吸血鬼は、きょうは彼のことを咬もうとしなかった。
保嗣を引率してきた教師がへどもどと媚びるような薄哂いを残して立ち去ると、
彼は一歩だけ保嗣のほうへと近寄って、紙包みをその手に手渡した。
吸血鬼はなにも言わなかったが、いつもよりもすこし厳粛な顔つきが、保嗣はなにが起きたのかを察することができた。
「ここで待ちなさい」
そう言い残して吸血鬼は立ち去っていった。

きょうはぼくの代わりに、だれを襲うのだろうか?
両刀使いで知られた彼のことだから、相手が男子生徒とは限らない。
同級生の女子生徒だろうか?それとも隣のクラスの担任を受け持っている女教師だろうか?
よけいな想像は、入れ代わりに開かれる教室の引き戸の音で破られた。
引き戸の向こうには、達也が立っていた。
ひどく顔色が悪かった。

保嗣の足許を彩るのは、達也の履いていた濃いグリーンのスポーツ用ストッキング。
脚のラインに沿って流れるリブはまだ真新しく、教室に射し込む陽の光を受けてツヤツヤとした微かな輝きをよぎらせている。
色白で豊かな肉づきの太ももが、血に飢えた達也の欲情をそそった。
アッと声をあげるいとまもなく、達也の唇は保嗣の太ももに吸いつけられていた。
唇の裏に隠された鋭い牙が、白い皮膚を切り裂いて、奥深く埋め込まれた。
達也の自分にたいする情愛と執着とを自覚しながら、保嗣は親友の吸血行為を受け容れてゆく――

数刻後。
うつ伏せの姿勢のまま、保嗣は呟いた。
「満足できた?」
達也が無言でうなずくのを気配で察すると、また訊いた。
「ぼくの血は美味しい?」
やはり無言の肯定がかえってきた。

自分の履いていたスポーツ用のストッキングを保嗣に履かせて、咬んでゆく。
一種のナルシシズムだろうか?
保嗣にたいする形を変えた執着だろうか?
多分その両方なのだろう。
達也の愛用のストッキングを履いた保嗣に自分の影を重ねて、保嗣の血を吸う。
そうすることで、自分自身の血を吸っているような錯覚に囚われたのだろう。
それと同時に。
装いを変えることで達也に近寄せた保嗣を抱くことで、ふたりの距離感をいっそう縮めようとしたのだろう。

もっと・・・
保嗣はうめいた。
達也の唇が保嗣のむき出しの素肌に這い、再び吸いはじめた。
唇はじょじょに身体の上のほうへと這い進んでいって、
さいごに保嗣の唇をとらえていた。
ふたりはむさぼるように互いの唇を吸い合った。
まるで吸血鬼の兄弟のように。
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