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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ふたたびオフィス。

2020年01月20日(Mon) 07:30:46

きょうも全員、帰りが早いな・・・
がらんとしたオフィスのなか。
畑川由紀也は、空々しく明るい室内の照明のなか、独り立ち尽くしていた。
独りきりになると。
夕べの”情事”の記憶が、ありありとよみがえってくる。
息子の親友を相手に、息を弾ませ交し合ったあの熱情の交錯は、
やはり”情事”と呼ぶべきものだったのだろう。
齢に似ない手練手管にひかかって、親子ほど離れた齢の差はあっけなく崩れ去り、
理性のたがをやすやすとはずされてしまった。
まるでレ〇プされたあとのような。
けれども、後味の悪い記憶では、本人もびっくりするほど、なかった。
爽やかな敗北感というものがあるということを。
妻を犯されたことで、初めておぼえたけれど。
今回の記憶も、同じ種類の匂いがあった。

ふと振り返ると。
自分を犯した少年が、そこにいた。
夕べと全くおなじように、ひっそりとした雰囲気をたたえて。
濃紺の半ズボンに、おなじ色のハイソックス。
きのうのハイソックスは、たしかねずみ色だった。
色を選べることは、息子の足許からそれとわかってはいたつもりだったが。
きのうとはわざと色違いのハイソックスを履いてきた理由が、彼なりにあるのだろう。
それは由紀也のことを意識してのものではなかったか――?
寒気に似た昂りが、ぞくりと背すじを突き抜けた。

「小父さん、いい?」
ツカツカと革靴の足音を響かせて近寄ってきた少年は、そのまま由紀也の方に腕をまわして、唇を圧しつけてきた。
なんのむだもない、ごく自然なしぐさだった。
由紀也も同じくらいすんなりと、達也と唇を重ね合わせてゆく。
接吻は、長時間続いた。
舌でなぞる歯のすき間から、錆びたような芳香が洩れた。
なんの匂いだか、察しがついたけれど。
由紀也は憑かれたように、その芳香を愉しみだした。
彼の舌は達也の歯茎をなん度も行き来し、ついさっき彼が体験したばかりの交歓の残滓を探りつづけた。
「わかる?」
唇を離すと、達也が笑った。
由紀也も笑った。
「息子の血を、喫ってきたのだね?」
「はい、そのとおり」
会話の内容のおどろおどろしさとは裏腹に、白い歯をみせたその笑いは、爽やかで人懐こくさえあった。
「息子さんの血の香り、いいでしょう?」
「なんのことか、よくわからないな」
「じゃあ、そういうことにしておきましょう」
達也はあっさりと譲ったが、媚びを濃厚に滲ませたしぐさで由紀也にすり寄ることはやめなかった。
「座りたまえ」
「エエ」
向かいのソファを進めたのに、達也が腰かけたのは由紀也のすぐ傍らだった。
「ぼくの”也”と小父さんの”也”――同じ名前なんですよね、ご縁を感じるな」
「ひとの家の息子の血を吸っておいて、あつかましい」
口の利き方が対等になってきたのを感じながらも、由紀也は達也の差し伸べる太ももをさすり始めた。
半ズボンの舌から覗く達也の太ももはツヤツヤとしていて、女の子の膚のように滑らかな手触りがする。
運動部で鍛え抜かれたことは、滑らかな素肌を傷つけることがなく、むしろ輝きを増す結果をもたらしていた。
吸い取った血液が達也の膚の輝きに作用していたのだが、まだそこまでのことを由紀也は知らない。
「手触りの良い肌だ」
「小父さんに触られるのは愉しい」
達也も拒否しなかった。
むしろすり寄るように身を寄せて、太ももを中年男の欲情にゆだねていき、
年端のいかない子供が頑是なくおねだりをするようなしぐさで、彼の口づけをせがんだ。
熱い口づけが、なん度もなん度も交わされた。

「息子の血はお口に合ったかね」
由紀也が訊いた。
達也はそれには答えずに、鞄から紙包みを取り出した。
包みのなかには、ハイソックスが二足入っていた。
どちらも履いたあとのもので、少年の指につままれて、ふやけたようにだらりと床を指してぶら提げられる。
片方はねずみ色の、息子が朝登校するときに履いて出たものだった。
もう片方は濃いグリーンに黄色のラインが入った、達也のユニフォームの一部だった。
こちらも由紀也には見覚えがあった。
息子といっしょに観戦した試合で、達也は短パンの下にこのストッキングを履いていた。
「どちらもヤスくんの血ですよ」
達也はニッと笑う。
「ぼくのストッキングも、ヤスくんに履いてもらったんです」
自分の愛用しているストッキングを保嗣に履いてもらい、ふくらはぎを咬んだのだという。
「そういうことをして、楽しいの?」
真面目な顔をして問う由紀也に、達也は声をあげて笑った。
「やだなあ、小父さん。楽しいに決まってるじゃん。ぼくとヤスくんとがいっしょになった記念に、永久保存するつもりなんだから」
息子の恥ずかしい証拠が、目のまえの少年の手に握られている。
「これをねたに小父さんを脅迫して生き血をねだる――なんて、どう?」
達也の顔は笑っていたが、目にはしんけんな輝きをたたえている。

さっきから達也は、息子のことを「ヤスくん」と呼んでいた。
由紀也はまたひとつ、達也との距離が近まったのを感じた。
「じゃあ、悦んできみの脅迫を受けるとしようか」
由紀也が寛大にもそう告げると、達也は「やったぁ」と、無邪気な声をあげた。

「まだ家に帰らないほうがいいですよ」
達也はいった。
「吸血鬼の小父さんが、和江のところに行っているから」
耳もとに囁いたみそかごとが、由紀也の鼓膜を妖しくくすぐる。
自分の妻を呼び捨てにされたことにも、不愉快を感じない。
それだけ彼との距離が近まったということなのだろう。
いまわしいはずの事実をむしろつごう良く受け止めた彼は、達也を抱きしめながら、こたえた。
「じゃあ、すこしゆっくりしていこうね」
「悦んで♪」
達也は由紀也にしなだれかかるようにして、なん度めかの接吻をねだった。

「ぼくの血を吸いに来たんだろう?」
「小父さん、鋭いな」
達也がわざとらしく由紀也をもち上げた。
「きのう小父さんの血を吸って、ヤスくんの血がどれほど美味しいか、想像がついたんだ。親子の血は似るからね」
「それはなによりだった」
「あと、小父さんの靴下の咬み応えも♪」
達也はウフフと笑った。
「じゃあ、今夜も咬み剥いでもらおうかな。きみが来ると思って、新しいのをおろしてきた」
さりげなくたくし上げられるスラックスから、愛用しているストッキング地のハイソックスに透けた脛を覗かせた。
きょうのハイソックスは、黒だった。
「色違いだね」
「黒は嫌いだったかな?」
そんなことはない、と、達也はつよくかぶりを振った。
「小父さんの靴下の色と合わせようと紺を履いてきたけど、行き違いだったなって思って」
「それは残念なことをした」
由紀也は、いつか達也と示し合わせて同じ色の靴下を履こうとおもった。
「でも、きょうの和江さんも、黒のストッキング穿いてたよ、夫婦でおそろいだね」
達也はこんどは、由紀也の妻のことを和江さんと呼んだ。
そんな濃やかな気遣いにもかかわらず、無邪気に笑う達也が打ち解けた表情と裏腹なおそろしいことを告げるのを、由紀也は聞き流すふりをしようとした。
けれども想像力が彼の努力を突き崩した。
目のまえで神妙に控えているこの息子の親友は、吸血鬼が妻を犯すときの手引きをし、吸血後の後始末までするアシスタントを勤めているという。
「どんなふうにやっていたか・・・きみは視たの」
「うん、ヤスくんといっしょに」
「じゃあ、どんなふうにしたのか、再現してみてくれる・・・?」
由紀也がたくし上げたスラックスを、ひざ下を締めつける口ゴムがみえるまでさらにいちだんとたくし上げると、達也はフフっと笑った。
「じゃあ、するね」
「ウン、どうぞ」
淫らな唾液を帯びた唇が、通勤用に履いた薄手のナイロン生地越しに圧しつけられるのを、由紀也はぞくぞくとしながら見守った。
圧しつけられた唇は、たんねんに唾液をしみ込ませながら、薄いナイロン生地のうえを這いまわり、いびつに波立てて、くしゃくしゃにずり降ろしてゆく。
くるぶしまでずり降ろされた靴下を、由紀也がふたたびひざ下まで引き伸ばすと、達也の唇がふたたび、凌辱をくり返してゆく。
二度、三度とつづけられた前戯のすえ、由紀也のハイソックスは破られた。
「なるほど・・・いやらしいね・・・」
ぽつんと呟く大人の声に、「もっと・・・」とせがむ囁き。「いいよ」と応える呟き。
ふたつの影はひとつになって、じょじょに姿勢を崩してゆく。
ジッパーをおろされて前を割られた半ズボンから、赤黒く逆立った茎をつかみ出すと、由紀也は唇で押し包むように咥え、露骨にしゃぶりはじめた。
「ああああああ・・・」
眉を寄せて呻きながら、達也は由紀也のなかに白熱した粘液を放出した。
親友の父親に対する遠慮は跡形もなく消し飛んで、びゅうびゅうと勢い良く、注ぎ込んでいった。
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