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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

勤め帰り。

2020年02月02日(Sun) 09:30:01

勤め帰りの真夜中の道を、独り歩く。
頬をよぎる風は意外に冷たかったが、身体のほてりがそれを程よく中和してくれている。

口の奥に残る精液の匂いが、ほろ苦い。
精液の持ち主は、息子の悪友――もとい、彼氏になる少年。
同性同士で結ばれた関係を認知してもらおうと願う少年の訪問を受けて、
オフィスを穢すようにして、乱れあった余韻が、軽くはぜる息遣いにまだ、残っている。
吸血癖を持つ彼にオフィスで襲われたのは、これが二度目のことだった。

同性愛など異常な営み――と、つい一週間前までは、おもっていた。
まさか自分がそのようなことの虜になるなど、夢想だにしていなかった。
けれども、吸血されてわれを忘れた後のこととはいえ、意識も、記憶も、鮮明に残っている。

熱っぽく求められたことも。
求められることで身体の奥に潜むなにかが燃えあがったことも。
われを忘れて夢中で求めてしまったことも。

相手が息子の同級生であることも忘れて、
半ズボンにハイソックスの制服姿に夢中でのしかかっていって、
相手の好みに合わせて履いた、ストッキング地のハイソックスを、思う存分舌でいたぶらせ咬み破らせて――

一体あの嵐は、なんだったのだろう?
身も心も空洞が空いたようになって、いまは鬱積したものが余さず抜き取られたあとの不思議な爽快感だけが、
四十を過ぎた四肢と脳裏とを、居心地よく浸している。

辿る家路に行きつく先で。
妻は吸血鬼に犯されているはず。
犯される、という言葉には、強制力があるけれど。
じつは妻も同意のうえの関係なのだということもわかってしまっている。
けれども、夫である由紀也の知らないところでなされている行為は、夫の身にとっては「犯されている」のと同じこと。
けれども「妻を日常的に犯される」ということに、奇妙な昂りを覚えてしまっていることもまた、たしかだった。

脚に通した薄い靴下を達也に咬み破られたように。
妻の脚に通されたストッキングもまた、情夫の舌を悦ばせ、剥ぎ堕ちていったのだろうか?
スラックスの下、破かれた靴下が脛の途中までずり落ちているのを、口ゴムの締めつけで感じながら、
ひたすら家までの歩みを進める。
「何食わぬ顔で、洗濯機に放り込んでいくといいよ。和江さんは洗って持たせてくれるから。
 そうしたら、小父さんの靴下、ぼくにくれないか?
 記念に、コレクションさせてもらうから」
餌食にされた靴下を、息子の悪友にコレクションされる――
そんなことにどうして、ドキドキしてしまうのだろう?

由紀也は、家人のだれもが就寝していることを願いながら、ゆっくりとした足取りで家路をたどった。
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