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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夫婦の寝物語。

2020年05月15日(Fri) 09:00:30

間島幸雄(42)は貧血を起こして、夫婦のベッドで仰向けになっていた。
つい、さっきまで。
吸血鬼になった息子・達也(14)の相手をしていたのだ。
達也の相手をするときは。
女の姿になることにしている。
少しでも息子を、悦ばせたい一心で。
やはり男の吸血鬼は、女性を襲いたいものだから。

さいしょは妻の服を借りていたけれど。
妻が自分の服を着て、自分も息子の相手をするようになると、
彼は自前の婦人服を持つようになっていた。
夫の女装用品を、妻は甲斐甲斐しく、すべて揃えてくれた。
自分の不倫を認めてもらった、彼女なりの礼儀だった。

いまもまた。
幸雄は息子相手に、女として振る舞って。
血を吸い取られ、股間を割られ、息せき切った刻を共にした。
股間の奥に注ぎ込まれた若い体液の名残りが、まだ太ももに生温かく、へばりついている。
指に絡めた濃厚な粘り気を口に含むと、若さへの羨望がチラと胸をかすめていった。


1年まえ。
家族を伴って赴任してきてすぐに、
この地に棲まう吸血鬼に、一家全員が襲われて、生き血を吸い取られていた。
息子の達也(14)は、生き血を吸い尽くされて吸血鬼になった。
きっと、若い血は美味しかったに違いない。
けれども、妻のさと子(40)だって、越してきた当時はまだ30代。やはり美味しかったに違いない。
なにしろ、血を吸われたその晩に、男女の関係まで結ばされてしまったのだから。
(セックス経験のある女性はほぼ例外なく犯されるとは、あとから聞かされた)
それなのに、吸血鬼になったのは、達也だけ。
よほどの相性のある者だけが、選ばれるのだという。
たしかに――そうでなければ、街じゅう吸血鬼だらけになってしまうではないか。

生き血を吸われた妻は、吸血鬼に拉致されて、その邸に棲み込まされて、
一週間というもの、すべてを教え込まされていた。
事を表ざたにしないために、表向きの平静を取りつくろいながらも。
妻恋しさに、妻の服を身に着けて女装しているところを、
生き血を求めて自宅に侵入してきた吸血鬼に眠らされて、女として犯された。
男との経験は、初めてだった。
禁断の麻薬を味わってしまった彼は、
妻の身代わりに、自分と同じように妻の服をまとった息子のことを、やはり女として犯していた。

吸血鬼との交際を認めることを条件に、妻は一週間で戻ってきた。
物分かりのよい彼女は、夫と息子との関係を、視て視ぬふりをして過ごすようになった。
自分の情事を夫が視て昂るようになったのを、むしろ好都合だと考える女になっていた。


寝室の頭上を照らす灯りが眩しい。
どうやら今夜の貧血は、すぐにはひかないものらしい。
いつもよりしつようだったのは。
息子が日常的に餌食にしている同級生の畑川一家が、家族旅行に出てしまったせいだろう。
いまごろは。
若くて健康な睡眠を、貪欲にむさぼっているに違いない。
まあいい。明日の会社は休めば良い。
もともとが。
家族もろとも吸血されることに同意して選んだ赴任地だった。
仕事らしい仕事は特になく、しいて言えば健康な血液を提供できるための体調管理が、仕事といえば仕事。
オーナー経営者は、自分の生まれ故郷に、なにがしかの貢献をしたかったらしい。
社員やその家族の生き血を提供することが、健全な貢献かどうかは、わからないけれど。

がたり。
寝室のドアが、ノックなしに開けられる。
けだるく動かした目線のかなたに、妻のさと子がいた。
吸血鬼に犯された彼女は、この街に来てから若返ったようだ。
仮面夫婦だった都会での日常とは裏腹に、彼女の表情は、家にいるときも以前とちがって豊かになった。
「あなた、だいじょうぶ?」
うふふ・・・と笑いながら、猫のようにしなやかに、幸雄の傍らにすべり込んでくる。
こんなしぐさは、若いころでもしなかったはず。
「ああ、さすがに疲れたよ」
「ダメねぇ、あなた」
狎れきった雌猫のように鼻を鳴らして、さと子は夫を冷やかした。
「今夜は無理かな?」
と、自分から誘ってくることも、都会では考えられないことだった。
「そばにいて」
とだけ、短く返すと、
「そぅお?」
といって、しなだれかかるように身を寄せてくる。
性欲を満足させる夜を過ごすことができなくても、夫と寄り添おうとする妻としての優しさを、彼女は取り戻していた。
この街で。
妻は、なん人の男を識ったことだろう?
それなのに。
世間体や外聞とをかなぐり捨てた彼女は、仮面夫婦の仮面もいっしょに、脱ぎ捨てたようだった。

彼女は勝手に、寝物語を始めている。
「面白い話、聞きたい?」
「なんだね?」
「うちの両親のこと」
「ああ、もちろん」
「来週ね、父の誕生日なの」
「ああ、そうだったね」
「それで、うちに招んでお祝いしようと思うの」
「良いじゃないか」
「誕生日のプレゼントに、私をあげてもいい?」
「えっ」
どういうこと・・・?と訊き返すのは、もはや野暮というものだろう。
「父ったらね、昔から私のこと、抱きたがっていたのよ」
「でも、お義母さんもいっしょに招ばないわけにはいかないだろう?」
すでに幸雄のなかで、妻が実父と寝ること自体は、認めてしまっている。
なに、妻の情夫がもう一人増えるだけのことだ――
妻の応えもよどみがない。
「エエもちろん、母も招ぶわ」
「それは問題だ」
で、私にどうしろと・・・?と訊きかけた鼻先をかすめるように、
さと子はしなだれかかった夫との距離をさらに縮め、さらに身体を密着させた。
「再来週がね、2人の結婚記念日なの」
「いつもいっしょにお祝いしてたよね」
「そうなの。いつも一緒だから、父がかわいそうで・・・だから今回は、別々にお祝いしてあげようと思うの」
「長逗留になるのかな」
「そうね、そのつもり。だってぇ・・・うちだって、それくらいかかったじゃないの」
幸雄には、さと子が言わんとしていることがやっとわかった。
「お義母さんに、吸血鬼と逢わせてあげるというのかね?」
「そうよ」
さと子は、こともなげにこたえた。

父の誕生日には、私の肉体を。
結婚記念日には、母の愛人を。
ふたりに、プレゼントするの。
あなた、どう思う・・・?
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