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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

選択肢 ~姑崩し。~

2020年06月13日(Sat) 17:36:38

まえがき
何日もかけて描いていたら、しょうしょうくどくなりました。^^;
飛ばして次に移っても差し支えはありません。(笑)
要約して言っちゃえば、帰宅した姑さんの意思形成にかかわるくだりです。


久しぶりに息子夫婦の家を訪問してみれば、
そこは吸血鬼に支配された家庭と化していた――

中学にあがった孫の達也が真っ先に咬まれ、
その達也の手引きで嫁のさと子が咬まれ、
さと子は年端も行かぬ息子の意のままに、
当家の嫁としての名誉を振り捨てて吸血鬼の情婦となり果てて、
いっとき吸血鬼の館に略奪されたあと、
さいごに一家の主人であるべき息子の幸雄までもが、
妻敵(めがたき)の毒牙に淫して、
恥を忘れて愛妻の貞操喪失を歓び、
帰宅した妻と間男との交際を追認する血の奴隷に堕ちていた。

人妻が吸血鬼の相手をするときは、
いかなる貞淑な婦人であれ、吸血鬼の愛奴に堕ちるこの街で。
さと子もこの街の主婦としての人並みの役割を果たしていた。

そんな事情を夢にも知らずこの街を訪れた姑は、
未だ微かに若さを秘めた生き血を求められ、
折り目正しく着こなした正装を無体に弄ばれて、
この街の主婦が強いられる義務を、心ならずも果たす羽目に陥った。

いちどはすべてを秘して帰宅を果たしたものの。
人知れず首すじに残された痕は妖しく疼き、
恥知らずにも二度目の逢瀬を欲する想いに抗し得ず、
一週間と経たぬ間に、良人に偽り街を再訪。
嫁に侮られまいと取り繕った高飛車な態度とは裏腹に、
別人のようにおどおどとした物腰で想い人と再会を果たし、
夫に対する後ろめたさにためらいつつも、
素肌に許した牙にすべてを忘れ、陶酔の淵に酔い痴れてゆく――

女の残された選択肢は、ただふたつ。
吸血鬼はその机下に女をいざない、唆す。
眼の前に拡げられた紙片に、恥ずかしいほどハッキリ描かれる選択肢に、
良人に対して犯した罪に怯える女は、半ば目を覆いつつも、応じていった。

①都会に帰る貴女についていってご主人の血を吸って殺害、
 弔う貴女の喪服姿をもう一度襲う。
②やはり、ご主人は生かしておく。

柳子はためらいなく、①を棒引きして、②にマルを付けた。
「柳子さんは、やはりご主人想いなのだな――身体は奪われても」
「よけいなことをおっしゃらないで」
柳子は柳眉を逆立てたが、
力づくなやり取りが過ぎた後、ふたりのあいだではかろうじて会話が成立している。
「では、つぎの選択肢と参ろう」
さっきのメモ紙を吸血鬼は惜しげもなく破り捨て、つぎのページにペンを走らせる。

①ご主人には黙秘して、熟女の血を愉しまれ犯されるという服従関係を、
 このまま楽しく継続する。
②やはり、黙って良人を裏切りつづけるのは、良くないと思う。

柳子はためらいなく、①を棒引きして、②にマルを付けた。
「”楽しく”は、よけいですわ」
「事実であろう」
露骨な指摘に女は諾とも否とも答えなかった。
「貴女は善い方なのですネ。ここはご婦人によって、考えが分かれるところなのですよ」
吸血鬼はいった。
修羅場になるのが怖いご婦人、気の小さいご婦人は、話さないほうを択ぶのだと。
そういうご婦人は自分の期の血ささに逃げ込んで、良人に対する不実を重ね、
最初は少額だった借金が利子をつけて支払い不能に至るように、
戻れない下り坂を転げ落ちてゆくものなのだと。
さりげなく口にした言い草だったが、
意外に真心がこめられているのを、敏感になり過ぎた鼓膜が感じ取った。

けれども――と、彼はいう。
②を択ぶものには、別の試錬があるのだと。
「ご主人は健在。
 そして愛する妻の不貞行為を告げられている。
 しかもその不貞行為を受け容れ承知しながらも、
 妻が自らを裏切りつづけることを、阻むことは許されぬ。
 これはひとつの、生き地獄ではありますまいか」
吸血鬼はにんまりと笑う。
「あまり露骨なことをおっしゃらないで」
柳子がふたたび柳眉を逆立てるのを、吸血鬼は完全に無視した。
反対に、柳子の厚くのぼせ上った脳裏には、
吸血鬼の冷やかな声色が、なぜか心地よく沁み透る。
柳子の動揺には目もくれず、吸血鬼はまたも選択肢を書き出した。

①ご主人には自分の口から話をする。
②自分で言うのは恥ずかしいので、だれかに告げ口してもらう。

柳子はしばらくためらってから、②を棒引きして、①にマルを付けた。
「そうだとすると、ご主人の判断が問題だ。いったいどう出てくるだろうか」
吸血鬼はそういうと、さらに選択肢を書き出した。

①ご主人は立腹、柳子は家を出てこの街に移り、献血奉仕をする娼婦となる。
②なんとかご主人に納得してもらうような努力をする。

柳子はもはやペンを握っていなかった。
「もちろん、主人に承諾していただきますわ」
とっさに出た声だった。
「さすれば、ご主人に御身の重ねる不倫を納得させると仰せになるのだな」
「エエ勿論でございます」
売り言葉に買い言葉。
思わず返した切り口上に、さすがに言い過ぎたと後悔しながらも。
その後悔の念のよぎる面差しを面白げに見つめる視線に、尖った視線をぶつけ返していた。
もう、後には引けそうにない――
そう思い詰める夫人に救いの手を差し伸べるように、吸血鬼は口を開く。
「もしも不幸にして、ご主人の説得が不首尾のときには――どうぞこの街にお戻りになって、此処にお住まいになられるがよい」
吸血鬼はおだやかに、女の逃げ場所を確保してくれた。
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