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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

なん年か後。

2020年06月14日(Sun) 11:56:01

なん年か後。
保嗣が、とびきりの美人と結婚した。
相手は、畑川家よりだいぶあとにこの街に赴任してきた家族の長女・優香である。
披露宴の日。
新郎新婦に真っ先にビール瓶を持って行ったのは、いうまでもなく達也だった。
「おめでとう。とうとうミス●●を花嫁にしたね」
達也に少し遅れてお酒を注ぎに来たのは、達也の次に親しい友人と、彼に連れられたそのまた友人。
いずれも父同士が同じ勤務先という間柄だ。
新来の彼は、達也とは初対面である。
保嗣は気楽に、達也を紹介する。
「こちら、間島達也君。中学から同級でね、じつは花嫁の純潔も彼がゲットした」
「え・・・?」
不得要領な顔をした新来の彼はとっさに保嗣の隣席を見やったが、新婦はお色直しのため中座していた。
「お色直しの最中はね、高校時代の同級生にお祝いされているんだよ」
「純白のウェディングドレスに憧れるやつは、やっぱり多いからな」
達也は物分かりの良い顔つきをした。

「支配するみたいに、強引に迫りたい」
保嗣の花嫁の純潔を欲しがる達也は、そういって親友に迫った。
さいしょは保嗣が未来の花嫁として達也の家に同伴したときのこと。
ピンクのスーツを半脱ぎにされながら、優香は強引に達也に血を吸い取られ、虜にされた。
それからしばらくの間は、保嗣に同伴されながら、達也に処女の生き血を捧げ続け、
時には保嗣に黙って二人きりで逢瀬を共にした。
処女喪失は、血を吸い取られた保嗣の眼の前で。
それが、保嗣が花嫁の純潔を譲り渡す条件だった。
「きみの花嫁だからこそ、襲いがいがあるんだよ」という達也に、
「きみが彼女を犯すところをぼくが視ていれば、三人で初体験を共有できるね」とこたえる保嗣。
さいしょは女装姿のまま達也の嫁になろうとさえ想っていた彼にとって、
男として結婚式を迎える前に未来の花嫁の純潔を彼に捧げることに、なんの抵抗も抱かなかった。

保嗣の結婚相手は、二転三転している。
さいしょは達也。
達也の嫁として、支配されながらの新婚生活を夢見た時期もあった。
ところが達也が、「保嗣の嫁を寝取りたい」と言い出したことから、計画は変更に。
つぎに白羽の矢が立ったのは、達也の彼女だった月川ヨシ子だった。
すでに達也の彼女だった段階で、吸血鬼に処女を捧げていた。
もちろん、達也のはからいだった。
もとは達也の彼女。
達也が吸血鬼に捧げたあと自分のものにして、
そのうえで保嗣のところに嫁入りをする――
結婚後はもちろん、吸血鬼とも達也とも、不貞関係を継続する。
そんな隷属的な立場に、保嗣はマゾヒスティックな歓びを覚えた。
「楽しい新居になりそうだね」
そういって目を輝かせたけれど。
ヨシ子はどうしても達也に責任を取らせたいと言い張って、つい先日達也と婚礼をあげたばかりだった。
やがて保嗣の前には、決定的な女性が姿を現す。
それが優香だった。
※月川ヨシ子・・・前作「女装で登校。」(3月15日あっぷ)に登場。

吸血鬼が達也の未来の花嫁の処女をいただき、
達也が保嗣の未来の花嫁の処女を愉しむ。
「まるで食物連鎖だね」――そういいながら、目のまえでくり広げられた、目のまえの花嫁の処女喪失の儀式。
昂りのあまり鼻血を抑えながら、
「おめでとう。すっかり見せつけられちゃったよ」
という保嗣に、
「少し硬いけど、優香さんはいい身体してるよ」
と応える達也。
嬉し、羞ずかしの初体験に舞い上がっていた優香は、細い腕を達也の肩に回して、
「私、もっと花嫁修業したいわ、保嗣くんのまえで見せつけてあげて」
と、自ら大胆に誘っていった。

新郎新婦の席に挨拶にやって来た新来の彼は、そんなことは夢にも知らない。
けれども新来の彼を連れてきた高校の同級生は、あらかたを知っている。
達也と保嗣が男女の契りを結んでいることも。
保嗣が達也に、未来の花嫁を捧げたことも。
そして新婚生活も、不貞の連続に彩られるだろうことも。
なぜなら同級生のほうの彼は保嗣に、自分の彼女を紹介してしまっていたから。

しまったと思ったときには、もう遅かった。
彼女は嗜血癖を身に着けた保嗣の腕にその身を巻かれ、
あっという間に首すじに忌むべき接吻を受けていた。
そのまま親友のまえで、彼女の血をチュウチュウと音を立てて吸い取ると、
「このひとを誘惑する権利をぼくにください」と、目力で親友を説き伏せて、
「い・・・いいだろう」と言わせてしまっていた。
ぐるぐる巻きに縛りつけた親友のまえ、純白のスーツ姿の彼女を犯したのが、つい先週のことだった。

何も知らない新来の彼も、近々結婚が決まっている。
「彼の花嫁の身持ちも、確かめないとね」
親友は、保嗣にそっと囁く。
「今度は、達也にまわしてあげなよ。彼、このごろ処女旱(ひで)りだから」
保嗣の言うとおり、達也は同級生や親友の彼女、従姉妹や従兄弟の婚約者と、
ありとあらゆるつてをたどって処女の生き血を獲てきたけれど、
手近につかまえられる範囲の女性たちは、どうやら姦(や)りつくしてしまったという。
「ウン、そうだね。彼はなんにも知らないみたいだから」

キャンドルサービスで友人席をまわったとき。
達也はそっと、囁いた。
「彼女のカクテルドレス、お似合いだね」
「式が終わったら、襲わせてやるよ」
友人代表と新郎との、おだやかならぬやり取りを、新婦は黙って聞き流してゆく。

「なにも知らない人なら、経験豊富な人の方がいいわよ」
来客の見送りのために立った金の屏風のまえ。
だしぬけに新婦が保嗣にいった。
どうして話を知ってるの?
びっくりしている保嗣はこたえずに、新婦はいった。
「私を篭絡する前に、父も母も達也さんが支配してしまうんだもの。
 言うこときくしかないじゃないの。
 でも、いけない貴方の願望どおり、貴方の眼の前で処女を奪われたとき、
 なんだかちょっと、スッとした。
 だから許してあげるの。
 これからは、いいお嫁さんになってあげる。
 不貞の許可と引き替えに・・・ね♪」
さいごのひと言をきいたのは、真っ先に出てきた達也だった。そして、
「新床で待ってる♪」
という保嗣の囁きに軽く頷いて、素知らぬ顔をして通り抜けていった。
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