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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

朝の散歩。

2020年06月27日(Sat) 08:18:08

朝。
犬を連れて、散歩に出かける。
このごろは暑い日中が続いていたけれど、
梅雨空もまだ折々顔を出していて、今朝の空も、薄どんよりと高い雲に覆われている。
ハーフパンツの下には、太めのリブが流れるねずみ色のハイソックス。
背すじを伸ばして、リードを提げ、いつものとおり近くの公園に出かけていった。

妻は犬とおそろいのリードを提げて、夕べ遅くに出かけていった。
夕べは漆黒のワンピースに、黒のストッキング――そう、喪服姿で出かけていった。
べつにお通夜というわけではない。
上品なスーツ姿に首輪をされて、吸血鬼の男友だちと、ひと晩愉しい夜を過ごすのだ。
愛犬とお揃いのリードでつながれた妻は、いろんなことを教え込まれて・・・
帰宅すると、若いころの驕慢さを忘れたように、従順な専業主婦にすり替わっている。

犬を放してやると、嬉し気にしっぽを振って、芝生の上を駆けていった。
ベンチに独り腰かけていると・・・やはり今朝も現れた。
この街の吸血鬼は、朝日を浴びても平気なのだ。
脛毛を見せるのが嫌で、ハイソックスを履く習慣を持っていたけれど。
彼らはハイソックスを履いた脚に好んで咬みつく習癖を持っていた。
「いつも悪いね」
と言いながら。
そいつはわたしの足許にかがみ込んできて、
ふくらはぎに痛痒い一撃を加えて、牙を埋め込んできた。
ちゅうっ。・・・
ひそやかに洩れる吸血の音を、
吸うものも、吸われるものも、シンと押し黙って聞き入っていた。
行為の最中。
駆けまわるのを止めた飼い犬は、わたしから数メートル離れた正面で、お行儀よく「お座り」をして、
飼い主の愉しみを見守っている。
這わされた唇に浮いた血潮がハイソックスにじわっとしみ込んで、
濡れた生温かさが、じわじわと拡がっていった。

家に戻ると入れ違いに、制服姿の娘が出てきた。
「お、早いね」
わたしが声をかけると、娘は口をとがらせて、いった。
「きょうは学校じゃないから」
あ、そう。
わたしは間抜けな顔をして、出かけてゆくセーラー服の後ろ姿を見送った。
濃紺のプリーツスカートのすその下、
肉づきの良いふくらはぎを包む真っ白なハイソックスが、真新しいリブをツヤツヤとさせていた。

娘とすれ違って、あの男が追いかけてきた。
やっぱり・・・と思った。
家の門の前で待ち受けると、男はわたしの足許にかがみ込んで、ハイソックスを抜き取ってゆく。
今朝の戦利品をむぞうさにポケットに突っ込むと、
遠ざかってゆくセーラー服姿を追いかけていった。
やつの唇を通して、わたしの血と、娘の血とが、織り交ざって。
干からびた血管を生温かく染めるのだろう。

失血の招いた眠気が、わたしの脳裏を染めてゆく。
さて、もうひと寝入りしようか。
そのあいだに、妻も、娘も、帰ってくる。
二度寝から目覚めたら。
昨夜過ごした淫らな記憶を消し去った顔つきの妻に、いつものようにおはようと挨拶を交し合う。
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