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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

意外。。。

2020年06月27日(Sat) 09:26:52

この街に住むようになったなら。
自分はもちろんのこと、家族全員が吸血されると聞かされていた。
母は48。妻は24。
当然妻の身辺に、神経をとがらせていた。
けれども意外や、さいしょに狙われたのは母だった。
それも相手は、わたしと同年代の吸血鬼。
勤務先の、取引相手の社長の息子だった。

「いえいえ、お取引とはまた別問題ですから」
むしろそのことは、気にしなくて良いとまで言われた。
「気にしなくてッて言われても、ねぇ・・・」
父と2人で、顔を見合わせた。
定年を前に楽隠居を決め込んだ父は一日じゅう在宅しているから、
長年連れ添った妻が息子と変わらない齢の男に抱きすくめられるのを、始終見せつけられる羽目になっていた。
わたしはわたしで、
「母親を征服した男」
と、毎日顔を合わせる羽目になっていた。

この街の吸血鬼は、既婚女性を襲うと男女の関係まで交えるという。
けれどもしり込みする母を、彼は無理強いしようとはしなかったという。
償うつもりになったのか、せめてものことと、母は彼の気に入るように、よそ行きのスーツ姿で彼と逢うことにしているという。
ストッキングを穿いた脚に好んで咬みつく習性を持つ吸血鬼のために、
真新しいストッキングを毎日のように、脚に通すようになっていた。

「認めてやることにしたよ」
一カ月経って、彼と母との交際を許すと宣言した父は、むしろ晴れ晴れとした顔をしていた。
彼好みの若作りをするようになって、母はみるみる若返っていった。

彼の父親が妻に目を付けたのは、それからすぐあとのことだった。
じつは、最初の顔合わせの時以来ご執心だったという。
けれども慎重な彼は、自分の息子がうちの母にアタックして成功するまで、満を持していたという。
嫁の浮気について夫のつぎにうるさいはずの姑は、浮気相手の息子のために、とっくに”陥落”してしまっている。
ここまで腰を据えられて、敵うわけがあるだろうか?
そもそも、彼らへの献血を承知することを条件に、この街に逃れてきたのだから。

息子が母親を狙い、父親が息子の嫁を狙う。
「ああ、なんといやらしい」
父とわたしは苦笑いを交わしながら、
それぞれの情夫に伴われて夫婦の寝室に引き取る女たちの背中を見送っている。
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