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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

【寓話】恋慕の証明

2020年07月17日(Fri) 20:37:04

ある男の婚約者が、吸血鬼に襲われた。
彼女は処女の生き血をたっぷりと摂られて、
そのうえ初体験まで遂げられてしまった。
彼女は婚約を解消してほしいと愛する人に願ったが、
男は相思相愛の恋人を手放そうとは思わなかった。
そして吸血鬼に直談判をして、
「婚約者の純潔はわたしのほうから差し上げたことにするから、
 これ以上彼女に構わないで欲しい」
と願った。
吸血鬼は律儀に約束を守り、第一子ができるまでは女に手を出そうとはしなかった。

二人の間に生まれた娘は、美しく成長した。
彼女は母親とうり二つだった。
吸血鬼はその娘に執着し、十六の齢に初めて血を吸った。
娘は両親に、吸血鬼に襲われたことを話したが、相手のことを嫌いではないので、どうか怒らないで欲しいと頼んだ。
母娘ながら血を吸われてしまった男は、しかし吸血鬼が心底自分の妻に恋慕していることを知り、
娘の婚約者には吸血鬼が通って来たら見てみぬふりをすることを勧めて、
自分も手本を見せるため、吸血鬼と妻との交際を許し、夜になると自由に通わせるようになった。

※昨日脱稿、本日あっぷ
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