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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

塗り替えられた記憶に基づく日記。

2020年07月20日(Mon) 07:38:47

7月15日 曇
(中略)
夜22時、約束を守って外出。(制服着用)
いつもどおりに、ご奉仕。
人助けをする満足感。そして、えもいわれない快感。
制服着用にまつわる、ほんの少しの後ろめたさ。(詳しくは書けない)
自分の血をその人と共有することに、不思議な歓びを感じる。

深夜の未成年の一人歩きは、法律的に良いことではないらしい。
後ろめたいことはなにもないつもりだけれど、家の近くまで送ってもらう。
家に入れてもらいたいと言われるが、深夜なので謝って断る。
あとで調べたら、いちど彼を家にあげてしまうと、いつでも出入りできるようになるらしい。

家族を起こさないように部屋に戻り、就寝。


7月18日 晴時々曇 この季節にしては涼しい一日。
(中略)
夜22時、小父さんと約束した公園に行く。ぼくの生き血を愉しんでもらうために。
こんなふうに、日記にもあからさまに書くことができるようになったのが、心から嬉しい。
詳しくは書けないでいたけれど、今夜はすべてを描いてしまおう。
もはや、ママにこの日記を見られてもだいじょうぶなのだから。

このところずっと、3日に一度、
この街に棲みついて間もない吸血鬼の小父さんを相手に、
ぼくは献血活動を行っていた。
家族に心配をかけたくなかったので、黙って深夜に家を出て、小父さんに逢っていた。

小父さんはぼくの通っている学校の制服を気に入っていたので、
いつも制服を身に着けて、いつも学校に履いていく通学用のハイソックスを履いた脚を咬ませてあげていた。
小父さんは、首すじも大好きだけれども、
丈の長い靴下を履いたふくらはぎや太ももを咬むのも好きだから。

ハイソックスを咬み破られることは、クラスメイトを裏切るような、後ろめたい気がしたけれど、
逢瀬を重ねるにつれて、それがえも言われない快感になっていた。
むしろ、禁忌を侵すことが小父さんを満足させることで、
ぼくも歓びを覚えるようになっていた。
ママに知られないようにハイソックスの入手先を調べたことも、
少しばかり社会勉強になったかも。

そして今夜は、小父さんが以前から欲しがっていた、
ママが一度脚に通したストッキングを制服の半ズボンの下に穿いて、逢いに出かけた。

夜風が薄々のストッキングの脚にそらぞらしくて、歩いているだけでドキドキした。
ママのストッキングにまつわる後ろめたさと、初めて脚に通した薄地のナイロンのしなやかさとが、
ぼくの心のなかで、きょうの行為をよしとするかどうかの、綱引きをしていた。
どこかで、ママといっしょに夜歩きをしているような錯覚も芽生えて、ゾクゾクとした昂りさえ感じていた。

小父さんはぼくが貧血を起こすと、自分がまだ満足していなくとも、しいて血を摂ろうはしない。
自分の顔色が蒼いままでも、ぼくをかばおうとするのだった。
だから、小父さんの希望は可能な限りかなえてあげたくなるのだ。
ママのストッキングを咬み破らせてあげることは、
ママを小父さんに売るようでドキドキしたけれど、
むしろそんな気分が、言葉に言い尽くせないほどの快感になった。

このごろのママは、ぼくが内緒で小父さんに献血しているのを、なんとなく感づいているような気がした。
小父さんに若い血を愉しんでもらう行為は慈善事業だとぼくは思っているけれど、
ママに打ち明けることはできずに、心の中でひっかかっていた。
不行儀なことを嫌うママのことだから、夜の外出を禁止されてしまいそうで。。

いくらぼくのお小遣いで買っているからとはいえ、
学校指定のハイソックスに赤黒い血のまだら模様を着けてしまうことには、
きっと露骨に顔をしかめるだろう。
あのじんわりと血が滲むときのなま温かさですら、いまのぼくには快感になっているのだけれど。

小父さんは小父さんで、どうやらママに逢いたがっているようだ。
あからさまに口に出してはまだ言われていないけれど。
それできっと、ぼくにママのストッキングを穿かせて、愉しんでみたくなったのだろう。
ぼくはママの身代わりになったつもりで、ストッキングの脚を小父さんのまえに差し伸べた。
小父さんは舌をふるいつけて、ママのストッキングを唾液で濡らし、
くまなく唇を吸いつけて、ヒルのように蠢かせて、薄地のナイロン生地をよだれまみれにしていった。
ぼくたちはふたりして、ママを辱める遊戯に熱中した。

血を吸い取られた後、ぼくたちは初めての口づけを交わした。
ぼくの身体から吸い取られた血潮の錆びたような芳香が、ぼくの鼻腔の奥まで浸して、
小父さんはこんな味のするぼくの血を愉しんでいるんだと実感した。
いい匂いだね、と、ぼくがいうと、小父さんは嬉しそうに笑い、きみにもそれがわかるようになったのだね?と、いった。
ぼくはぼくの血をいちど吸ってみたいと、ふと感じた。
男女を通じて、キスをするのは初めてだった。
ファースト・キスの相手が小父さんであることに、ぼくは誇りと嬉しさと、両方を感じた。
まるで恋人同士の男女の口づけのように、ぼくたちはなん度も、口づけを交わした。
小父さんも、きっと、夢中になっていたと思う。
それは血を吸われるのにもまして、ぼくたちにとって至福のひと刻だった。

「あなたたち、なにをなさっているの!?」
誰何の声が、鋭い稲光のように耳を突き刺したのは、そんな最中のことだった。
振り向くと、そこにママがいた。
ママは目を吊り上げていて、明らかに怒っていた。
ぼくはヒヤッとして、小父さんの背中に回していた腕を慌ててほどいた。
そのときはじめて、ぼくは小父さんの背中に腕をまわしていたことに気づいたほど、ぼくは夢中になっていたのだ。

小父さんの動きは、素早かった。
すぐさま身を起こしてママに飛びかかると、黒マントでママを包み込むようにして、抱きすくめてしまったのだ。
ママはいつも家で着ている純白のレエスのブラウスに、空色のロングスカートを穿いていた。
その姿がすっかり隠れるくらい、小父さんのマントは大きかった。
まるで、ママの姿ぜんたいが、闇のなかに埋没したようだった。
小父さんは目にもとまらぬ素早さでママの首すじを咬んで、じゅるうッ・・・と音を立てて血を吸った。
そして牙を引き抜くと、バラ色のほとびがびゅうッと飛び散った。
ママの身体から吸い取られた血潮は、純白のブラウスに点々と散って、不規則なまだら模様を描いた。

ママは口許を抑えてうろたえたが、小父さんは容赦しなかった。
もういちど、首すじにつけた傷口に唇を吸いつけると、さらにキュウッ・・・と音を立てて、ママの血を吸った。

キュウッ、キュウッ、キュウッ・・・

ひとをくったような音をたてて、ママの生き血は吸い上げられ、むしり取られた。
小父さんはさりげなくママの立ち位置を移していって、
貧血を起こしたママが尻もちをつくと、そこはベンチの上になっていた。
「お召し物を汚すといけませんからな」
小父さんはいつもの落ち着いた、紳士の声色に戻っていた。

ぼくは、ママに手を出さないで!死なせないで!と、小父さんの背後に取り付いて訴えていた。
けれども、その心配はなかったのだ。
小父さんは、ママを死なせるどころか、着ている服を汚すことにさえ、気を遣ったのだ。

「でも、ブラウスは汚れてしまいましたわ」
「赤の水玉もようが、チャーミングだ」
小父さんの言い草は詭弁だと思った。
真っ白なブラウスに不規則に散らされた血潮はむしろ毒々しく、ホラーな感じがしたからだ。
けれどもママはゆったりとほほ笑んで、
「貴男がそうおっしゃるのなら、きっとそうなのでしょうね」
と、あえて異を唱えようとはしなかった。
いつもの気が強くて潔癖で、少しでも気に入らないことがあると眉を逆立てるママだったけれど、
この穏やかさ、従順さはきっと、よそ行きの態度に違いないと思った。
親戚の結婚式などでは、別人のように優雅にほほ笑んで、やさしい声色でころころと笑ったりするくらいだから。

ママはぼくのほうを振り返ると、破けたストッキングを通したままの足許を見つめた。
ぼくはどぎまぎとしてしまった。
けれどもママはそれでもゆったりとしたほほ笑みを消さずに、いった。
「いいのよ、タカシ。ストッキングがよくお似合いね。時々ママのを穿くと良いわ」
いいの?と、ぼくが訊くと、
「その代わり、ママの箪笥の抽斗に、黙っておイタをするのは止して頂戴ね」
といった。ぼくは、一言も無かった。

「あなたは学生らしく、ハイソックスを。
 ママは女らしく、ストッキングを。
 脚に通して、その脚を並べて、しばらくご奉仕しましょうね。」
ママは用意の良いことに、通学用の真新しいハイソックスを携えてきていた。
破けたストッキングは、小父さんが脱がせてくれた。
自分がせしめるために――とわかっていたけれど、ぼくはありがとうを言いながら、唯々諾々と脱がされていった。

ママと2人、肩を並べて芝生にうつ伏せに寝転がると、ママはぼくの掌を、自分の掌で包み込むようにして、握った。
温かな体温が伝わってきた。
「冷たい手をしている」
と、ママはいった。
「まだ大丈夫?」
とも、気遣ってくれた。
「ぼく、小父さんにぼくの血をあげたいんだ」
ぼくがそう応えると、
「あのひとも、そのつもりのご様子ね」
と、いった。

さいしょに、ぼくのハイソックスのふくらはぎに。
それから、ママのストッキングの足許に。
小父さんのしつような唇が吸いつき、舌が這いまわる。
空色のロングスカートをゆっくりとはぐり上げ、ママの足許に唇を吸いつけるのを目にして、
そしてその唇が、薄いナイロン生地を咬み剥いで、裂け目が上下に走り、拡がってゆくのを目にして、
ぼくは失禁しそうなくらいに、昂りを覚えていた。
ぼくがはっきりと記憶しているのは、そこまでだった。

まさかとは思うけれど。
そのあと、ぼくはたしかに、
ママのはだけたブラウスのすき間から、
なだらかな乳房の隆起をかい間見たような気がする。
そんなはずはないと思いながらも、いまもその幻影に悩まされている。

小父さんは、それから先、ママになにをしたのだろう?
けれどもぼくはいつの間にか家のベッドのなかにいて、
階下のリビングに降りてゆくと、ママがいつものように、パンケーキを焼いていた。
「早くおあがりなさい。学校に遅れてしまうわよ」
という口調も、いつものままだった。
確か夕べも、「たっぷりとおあがりください」と、小父さんに言っていなかったっけ?
でも、新聞を片手に無表情に朝ご飯を食べているパパの様子をみていると、
とてもそんなことは口にすることはできなかった。

パパが出勤してしまうと、ママがその時だけは、いつもと違うことをいった。
「さっきもパパの前でなにも仰らなかったから、わかっているとはおもうけど――
 夕べのことは、パパには内緒ですよ」
ママは艶やかに笑っていたけれど、目だけは笑っていなかった。
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