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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

体験譚 ~ ご主人も。^^ ~

2020年07月25日(Sat) 21:00:37

息子のタカシが吸血鬼を愉しませるために
半ズボンの下に穿いていった妻のストッキングを脱がされて。
妻が手渡した、通学用のハイソックスに履き替えて。

ふたりは息せき切ってはずむ肩を並べて、手近な芝生の上にうつ伏せになって。
妻は艶やかな光沢を帯びたストッキングのうえから、
息子は通学用のねずみ色のハイソックスのうえから、
それぞれ、吸血鬼の欲情衰えぬ唇を、容赦なく吸いつけられてゆく。

ふたりは各々、唇をふるいつけられるたび、
顔をあげて足許を省みては、眉を翳らせ唇を歪めて、
自分たちの足許を辱め抜く吸血鬼の意地汚いやり口に、非難のこもった目線を送った。
けれどももはやそれ以上は抵抗をせずに、
その喉の渇きを癒すため、自らの生き血を許しつづけて、
その嗜虐心を満足させるため、足許を辱め抜かれて、
やがてどちらからともなく眠そうに目をこすり始め、
深い眠りに落ちていった。

さいごに妻が、頭をガクリと垂れてしまうと。
わたしは生垣から顔を出し、吸血鬼のほうへとまっすぐに歩みを進めた。
息子が何度もこのような奉仕をしているのだから、
ふたりが血を吸い尽くされたわけではない――と、わかっていた。
男はふたりの上に、なおも代わる代わるのしかかり、
獣が自分の児をいとおしむようにその身をなぞるように撫でながら、
なおも血潮を舐め、生々しい音を洩らして啜り取っていた。

どうやら彼は、わたしの家族を、彼なりのやりかたで愛している――
わたしはそう思わずに、いられなかった。


家族が吸血鬼に生き血を吸われているとき、夫や父親がなすべきことは、
まず家族を彼らの魔手から、救い出すことだろう。
それができない場合にはどうすべきか?
家族のために死を選ぶ・・・という道も、否定はしない。
けれどもわたしが選んだのは、
家族ともども血を吸われ、妻や息子の強いられている負担を分かち合う――ことだった。


「やっと出てきてくださったな」
吸血鬼はわたしにいった。
わたしが様子を窺っていることを、先刻承知のうえだったらしい。
それでいながら。これ見よがしに。
彼は息子の制服姿を、文字通り足のつま先まで愉しみ尽し、
妻のブラウスを持ち主の血で彩り、ストッキングを咬み剥いで愉しんでいた。
「妻と息子はだいじょうぶなのか?」
わたしは訊いた。
その気遣いを承りたかった――男はいった。
そして、奥さんも息子さんも、勿論だいじょうぶだ、と、彼はこたえた。
「まだ血を吸い足りないのか?」
わたしは訊いた。
「まことに申し訳ないのだが――」
男ははじめて、わたしのほうへと、向き直った。
「息子さんにはすでにたびたび、奥さんにはきょうはじめて、
 喉の渇きを助けていただいた。
 ぢゃが、今夜に限ってどういうわけか、ひどく喉が渇いてならんのだ。
 いましばらく、お目こぼしをしてくださるまいか」

男はあくまでも、慇懃だった。
そして、体調が切迫していることは、平静を装いながらも急迫する息遣いでそれと知れた。
彼はそれでも、二人に対する気遣いを忘れてはいないらしい。
いとおし気に、気づかわし気に、息子の頭を撫で、妻の肩をさすった。
ふつうの献血のときでも、たまに貧血を起こすものがいる。
そうした場合、しばらく横になっていると血が戻ってきて、元気を取り戻すのがつねだった。
吸血鬼も、それを期待しているのだろう。
わたしはいった。
「貴男の獲る血に、わたしのものも加えてもらえないだろうか?
 男の血ではつまらないだろうけれども、
 夫として、父親として、ふたりのの負担を、少しでも減らしたいのだ」
わたしは恭順のしるしに、スラックスのすそを引き上げた。
男は目を光らせて、墨色に染まるわたしの足許に見入った。
わたしがその晩、妻の後を追って家を出る時脚に通したのは、
会社から支給されていたストッキング地のハイソックスだった。

勤務中はこれを着用するようにと渡されたときは、なんのことかわからなかったけれど。
事務所にも出没する吸血鬼は、しばしば社員の生き血を狙った。
その都度会議室や打ち合わせスペースに連れていかれた社員たちは、
首すじはもちろん、薄いナイロン生地を咬み破られながら、ふくらはぎからもしつような吸血を受けて気絶し、
しばしば救急車のお世話になるのだった。

どうしてこんな、男には不似合いに薄い靴下を身につけさせられるのか、
いまにしてやっとわかった。
支給された靴下の色は、紺と黒だった。
ふだんは紺を身に着けていたが、
今夜にかぎって黒を履いてきたのは、
決して間違った選択ではなかったはず。
喪を弔うとき、女たちは黒のストッキングを脚に通す。
妻の貞操の喪を弔うには、男にも黒のストッキングが必要なのだ。
有夫の婦人が吸血鬼の相手をするときは、貞操までもものにされるのだから――

男は例を言うのもそこそこに、わたしの足許に這い寄ると。
足首を抑え、くるぶしに唇を吸いつけて、
牙でくるぶしをこすると、噴き出た血を啜り始めた。
妻と息子の血に浸された淫らな喉を、こんどはわたしの血が浸していった。


飢えた吸血鬼を救うのに、さいしょに息子が血を与えた。
息子の貧血を救うために、妻もその身代わりとなった。
ふたりの健康を損ねぬために、夫のわたしも男の渇きを自分の血で救おうとした。


快感が、牙を通して伝わってきた。
根元まで刺し込まれた牙を、どうか抜かないで欲しいと、本気で願った。
息子と、そして妻までもが、
唯々諾々とうら若い血液を惜しげもなく吸い取らせてしまった理由(わけ)が、
身に沁みるように納得できた。
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