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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「素晴らしき日常」

2020年07月28日(Tue) 07:19:17

その日は日曜日だった。
金曜の夜に江利川家の家族全員が自宅近くの公園で吸血鬼に血を吸い取られ、
土曜の朝には各々が、首すじの咬み痕を確かめ合って、お互いの身になにが起きたのかを察し合った。
吸血鬼は自分の獲物を「もたせる」ために、生き血を得るのになか二日を置くことにしていた。
けれども彼の喉の渇きは、このころピークに達していた。
街に来て日がない吸血鬼を救うための血液を提供しているのは、まだこの家族だけだったからである。

吸血鬼は土曜日の夜を悶々とした気分で過ごし、朝が明けると、
まず主人である江利川氏を例の公園に呼び出した。
白昼のことだった。
江利川氏は、会社から支給されていた薄い靴下を脚に通して、公園に向かった。
「すまぬが血をいただく」
吸血鬼は手短かにそういうと、江利川氏の首すじに、否応なく咬みついた。
「ああああああ!」
働き盛りの血潮が、容赦無く吸い上げられた。
身体じゅうの血が傷口めがけて逆流するのを感じた。
江利川氏は強いられた血液提供を、声をあげながら受け止めた。
けれども、彼は彼なりに、妻を寝取った吸血鬼にじつは好意と友情を感じていたので、
彼のなすがままになっていった。

吸血鬼は江利川氏のスラックスを引き上げると、足首に咬みついた。
そして、靴下の舌触りを上から下までくまなく楽しむと、ふくらはぎのあちこちに食いついて、逞しい筋肉の咬み応えを愉しみながら、四十代の働き盛りの血を呑み耽った。
江利川氏は、吸血鬼が自分の血に満足していることを感じ、
むしろすすんで気前よく、生き血を振る舞いつづけた。

やがて江利川氏の妻も呼び出され、
貧血を起こしてぶっ倒れている江利川氏のすぐ傍らに抑えつけられ、首すじを咬まれた。
江利川夫人は、吸血鬼の好みを慮って、
夫が薄い靴下を穿いて家を出たのと同様に、
ツヤツヤとした光沢を帯びたストッキングを脚に通してきた。
吸血鬼は夫人の好意をありがたく受け止めて、
さっき彼女の夫のストッキング地のハイソックスにしたのと同じように、
ストッキングをよだれで意地汚く濡らしながら、その舌触りを愉しんだ。

半死半生の夫のまえ、夫人のストッキングはみるもむざんに咬み破られ、脱がされて、
無防備に開かれた股間に、吸血鬼の逞しい腰が沈み込んでいった。
夫は激しく射精しながら、夫人がその肉体を愉しまれる有様から目線を離せなくなっていった。
吸血鬼はこれ見よがしに夫人を愛し抜いたが、江利川氏はむしろ満足気であった。
夫婦ふたりの血が仲良く織り交ざりながら、
いまは親しい友となった吸血鬼の干からびた血管を潤してゆくことに、
限りない満足を覚えていた。

自分の妻を寝取った男は仇敵ではないのか?という疑問はもっともである。
しかし江利川氏は、妻の生き血を吸い、犯しまでした男が、
実は彼の妻をしんそこ愛し、彼なりの敬意を交えて鄭重に扱っていることを感じ取っていた。
彼の敬意は、その真剣さと同じくらい、手荒に妻を組み敷いて、がつがつと性急にその血を求め、衣装を荒々しく剥ぎ取りながら凌辱するという、荒っぽいやり方で発揮された。
さいしょのうちは気づかわし気に妻の惨状を窺っていた江利川氏であったが、妻に対する彼の荒々しさが、恋情と敬慕の情から来ることを察すると、自身の愛妻を彼のなすがままに委ねていった。
妻自身も、本能的に、自身が激しく愛されているのを感じ取っていた。
そして、あえて手出しをしようとしない夫に申し訳なく思いながらも、本能的に発してしまう随喜のうめきを、どうすることもできなくなっていった。

江利川氏は、妻に対する吸血鬼の好意を、認めることにした。
ともに同じ女性を好きになった同士として認め合い、
江利川氏は妻の不貞で損なわれる家の名誉を犠牲にすることをいとわなかったし
吸血鬼は彼の夫としての立場を尊重し、彼から妻を奪おうとはせず、
彼の妻をあくまで江利川夫人として犯しつづけた。

もしかすると、金曜の夜に男でありながら吸血鬼に犯されたことも、小さくはなかったのかもしれない。
吸血鬼が股間に秘めた一物が彼のそれよりもよほど大きく、大きいという以上にいかに歓びを含ませるものなのかを、体験してしまっていたから。
その一物の物凄さのまえには、いかに貞操堅固な人妻であっても、いちころになってしまうことを、彼は知り抜いていたのだ。

吸血鬼が江利川夫妻をわざわざよびだしたのは、意味があった。
彼はすでに夫人や息子の手引きで、江利川家には自由に出入りできたのだが、
ふたりをあえて白昼の公園で襲うことで、
近所のものたちに彼がこの両名を支配下に置いたことを広める意図があったのだ。
江利川氏は自家の不始末が公になる羽目に陥ったが、
そういう恥――というよりも事情――を抱えた家は実に多かったので、江利川氏が懸念したほど、彼や彼の家族は、無責任な好奇の目にさらされて不愉快な思いをすることはなかった。

吸血鬼は、江利川氏を不愉快にしないために、彼のいないときに夫人をいただくと告げていた。
いわば、密会を遂げると宣言したようなものだった。
けれども逆に、江利川氏に見せつけたいと願うときには、
江利川氏の意向は顧慮されることなく、
これ見よがしに夫人の放埓な痴態、媚態を目の当たりにさせられる羽目になった。

一家のだれもが吸血鬼の邸に自由に出入りすることができた。
江利川氏が招かれたときには、夫人と密会を遂げたときに必ずもらい受けるというショーツやストッキングのコレクションを見せつけられる羽目となった。
江利川氏はその量の多さにへきえきさせられたが、
同時にそれは、吸血鬼の夫人に対する寵愛がひととおりではないことを示していたので、
江利川氏はむしろ満足を覚えた。
自家の名誉を破たんさせてまで与えた妻の貞操を好もしく思われていることで、
犠牲を払った甲斐があると感じたのだ。
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