FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

「素晴らしき日常」一人称バージョン

2020年07月28日(Tue) 07:55:22

前作「素晴らしき日常」を、夫目線の一人称バージョンで描き直しました。
表現も多少、こちらのほうがこなれているかも。
読者の方には、どちらのほうが、共感いただけるでしょうか?


その日は日曜日でした。
週末、金曜の夜にわたしとわたしの家族全員が自宅近くの公園で吸血鬼に血を吸い取られると、
わたしは二日酔いのようにガンガンとくる頭痛を抱えながら食卓に向かいました。
そして、血を吸われたものにして初めて見分けがつくという傷口の咬み痕を、妻と息子の首すじにもくっきり浮いていることを認めたのです。
お互い、だれもが無言でしたけれども、各々が各々の首すじの咬み痕を確かめ合って、
お互いの身になにが起きたのかを察し合ったのです。

吸血鬼は、わたしたちの健康に一定の配慮をしていました。
いや、獲物を「もたせる」ことを考えていただけかもしれません。
いずれにしても、彼はわたしたちから生き血を得るのに、「なか二日」を置くようにしていたのです。
けれども、”中毒”してしまったわたしたちは、その「なか二日」を待ち遠しく感じる身体にされてしまっていたのです。
彼の渇きは、「なか二日」を待つことなくピークに達し、
わたしたちの忍耐力もまた、限界に達していました。
どうやらわたしたち意外に生き血の提供源を持たないらしい彼のために、
わたしたちは順繰りにでかけていって、すすんでその餌食となっていったのです。

吸血鬼もわたしたちも、お互いの思惑で悶々とした土曜日の夜を過ごすと、
その忍耐は早朝のわが家に鳴り響く電話の呼び出し音で中断しました。
「すぐに来てもらいたい」
受話器を握りしめるわたしは、家族が寝静まっているのを確かめると、そそくさと用意をして、自宅を出ました。
足許は、彼の好むストッキング地の薄い靴下で薄墨色に染めていました。

真昼間に血を吸われることに、抵抗は感じませんでした。
むしろ日光が彼に害をなさないと聞いて、ほっとしたくらいです。
「すまぬが血をいただく」
吸血鬼は手短かにそういうと、わたしの首すじに、否応なく咬みきました。
「ああああああ!」
あまりにもだしぬけだったので、わたしは思わず叫びました。
牙の食い込んだ傷口から、血潮がヌルヌルっとほとび出てきて、
執念を熱く滾らせた唇が、そのほとびに覆いかぶさりました。
働き盛りの血潮が、容赦無く吸い上げられるのを、
身体じゅうの血が傷口めがけて逆流するのを、わたしは感じました。

吸血鬼はベンチに腰かけたわたしのスラックスを引き上げると、足首に咬みついてきました。
そして、靴下の舌触りを上から下までくまなく楽しむと、
スラックスをさらに引き上げて、
貧血でその場に突っ伏したわたしのふくらはぎのあちこちに食いついて、
筋肉の咬み応えを愉しみながら、
四十代の働き盛りの血を漁り尽くしていったのです。

向こうから、妻がやって来るのが見えました。
いつの間にやら、彼に呼び出されたのです。
彼女はたちまち、貧血を起こしてぶっ倒れているわたしのすぐ傍らに抑えつけられ、
わたしと同じような経緯で、首すじをがぶりと咬まれてしまいました。
「アアーーッ!」
彼女もまた、わたしと同じように叫び声をあげながら、血を吸い取られていったのです。

妻が貧血を起こしてその場に倒れ臥してしまうと、
吸血鬼は彼女の足許に這い寄っていきます。
わたしが薄い靴下を穿いてきたのと同じように、
彼女もまた、吸血鬼の目を惹くようにと、
ツヤツヤとした光沢を帯びたストッキングを脚に通していました。

吸血鬼は、わたしの靴下にそうしたように、
クチャ、クチャ、ピチャ、ピチャと、生々しい音を立てて、
ストッキングをよだれで意地汚く濡らしながら、その舌触りを愉しんでいきました。

半死半生となったわたしのまえ、
妻のストッキングはみるもむざんに咬み破られ、脱がされて、
無防備に開かれた股間に、吸血鬼の逞しい腰が沈み込んでいきました。
すべてが、わたしの眼の前で行われたのです。
わたしは恥ずかしいことに、激しく射精しながら、
妻がその肉体を愉しまれる有様から目線を離せなくなっていきました。

吸血鬼はこれ見よがしにわたしの妻を愛し抜いたのですが、
私はむしろ、その様子に不思議な満足感をおぼえていました。
妻を通して、あるいはわたしに対する吸血行為を通して、
彼とは不思議な友情と好意とが、育っていたのです。
わたしは彼が夫婦の生き血を愉しみ、妻の貞操をも共有することに、
深い歓びを覚えるようになっていたのです。

夫婦ふたりの血が仲良く織り交ざりながら、
いまは親しい友となった吸血鬼の干からびた血管を潤してゆくことに、
わたしたちは、限りない満足を感じていました。

自分の妻を寝取った男は仇敵ではないのか?という疑問は、ごもっともだと思います。
しかしわたしは、妻の生き血を吸い、犯しまでした男が、
実は妻をしんそこ愛し、彼なりの敬意を交えて鄭重に扱っていることを感じ取っていました。
彼の敬意は、その真剣さと同じくらい手荒に妻を組み敷いて、
がつがつと性急にその血を求め、
衣装を荒々しく剥ぎ取りながら凌辱するという、荒っぽいやり方で発揮されました。
さいしょのうちは妻の惨状を心配しぃしぃ窺っていたものですが、
妻に対する彼の荒々しさは、恋情と敬慕の情の裏返しなのだとわかると、
むしろ安心して、最愛の妻を彼のなすがままに委ねていくようになりました。
妻自身も、本能的に、自身が激しく愛されているのを感じ取っていたようです。
そして、あえて手出しをしようとしないわたしのほうを、申し訳なさそうにチラチラと盗み見ながらも、
本能的に発してしまう随喜のうめきを、どうすることもできなくなってゆくのでした。

男二人は、妻を通して結ばれていました。
同じ女性を好きになったもの同士の連帯が、そこにはありました。
わたしは、江利川家の名誉が妻の不貞で損なわれることを厭わなかったし、
彼もまた、わたしのもとから妻を完全に奪い去ってしまうことはせずに、
あくまでわたしの妻であることを尊重しながら、
妻のことを江利川夫人として犯しつづけたのです。

金曜の夜、男でありながら彼に犯されたとき、
彼が股間に秘めた一物がわたしのそれよりもよほど大きく、大きいという以上にいかに歓びを含ませるものなのかを、体験してしまっていました。
その一物の物凄さのまえには、いかに貞操堅固な人妻であっても、いちころになってしまうと、わたしは確信していたのです。

彼がわたしたち夫婦をわざわざ公園までよびだしたのは、意味がありました。
真昼間の公園で妻を犯すことで、周りにわたしたち夫婦が彼の支配下に置かれたことを広めてしまおうとしたのです。
当家の恥はたった半日にして周囲に公になり、自家の不始末をさらけ出す羽目になりました。
けれども、そうした”事情”を抱えた家はじつに多かったので、
わたしたちは無責任な好奇の視線にさらされることは、ほとんどありませんでした。

吸血鬼は、わたしを不愉快にしない配慮をするために、
わたしが自宅を不在にしているときに奥さんをいただくと告げていた。
いわば、妻と密会を遂げると宣言されたのです。
わたしはそれを、受け容れざるを得ませんでしたし、むしろ厚意を感謝しつつ諒解を与えたのです。
けれども逆に、彼がわたしに、ふたりの熱々なところを見せつけたいと願うときにはいつでも、
これ見よがしに妻の放埓な痴態、媚態を目の当たりにさせられる羽目になりました。

吸血鬼氏の邸には、一家のだれもが自由に出入りすることができました。
たちのよくない含み笑いを泛べた彼に、わたしが招待されたときには、
妻と密会を遂げたときに必ずもらい受けるというショーツやストッキングのコレクションを見せつけられる羽目になりました。
その量の多さにへきえきさせられましたが、
同時にそれは、吸血鬼の妻に対する寵愛がひととおりではないことを示すものであったので、
わたしはむしろ満足を覚えました。
自家の名誉を破たんさせてまで与えた妻の貞操を好もしく思われていることで、
犠牲を払った甲斐があると感じたのです。
前の記事
【寓話】姦の系譜
次の記事
「素晴らしき日常」

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/4007-01429f6d