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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

親友のお父さん

2020年08月01日(Sat) 20:06:36

喉が渇いた。
身体じゅうがざわざわと騒ぎたち、
ひたすら人の生き血が欲しくなった。
女も抱きたかった。
こういう時に限って、両親は熱々だった。
ぼくは家をふらふらとさまよい出て、気がついたら保嗣の家の前にいた。
保嗣は、ぼくの親友だ。
けれどもきっと部活で、まだ家には戻っていないだろう。
目当てはもちろん、保嗣のお母さんだ。

玄関の鍵は開いていた。
一家が吸血鬼に支配されてから、
保嗣のお父さんは、家に鍵をかけないことにした。
だれでも家に入ってきて、血を吸ったり、
奥さんを抱いたりすることができるようにって。
ぼくは玄関から中に入った。

ツンと鼻を衝く匂いがした。
嗅ぎ憶えのある匂いだった。
錆びたような、生々しい芳香――
数か月前、ぼくがぼく自身の体から吸い取らせた液体・・・
人の生き血の匂いだった。
「家内(を目当てに来たの)?」
傍らから保嗣のお父さんが、声をかけてきた。
ぼくはこっくりと頷いた。
「残念だったね、先客が来てるよ」
半開きのふすま越し、組み伏せられた保嗣のお母さんの姿がみえた。
ふすまを半開きにしてあるのはきっと、お父さんに見せつけるためだろう。
お母さんの相手は、背中でだれだかわかった。
そしてだれだかわかった瞬間、ぼくはあきらめた。
ぼくの血を吸った吸血鬼だった。

保嗣のお母さんは、喪服を着ていた。
ダンナさんの前で抱かれるときには、喪服のことが多いという。
悲しい気持ちを服で示しているのだというけれど、
白い肌の映える漆黒のスーツに、
脛をなまめかしく透き通らせる黒のストッキングは、
むしろ吸血鬼をそそらせるための衣装としか、思えなかった。

そういえば。
お父さんもこういうときはいつも、
スラックスの下にストッキング地の黒の靴下を履いている。
出勤するときに着用するようにと指示された、ストッキング地の靴下は、
吸血鬼を相手に女の人の代わりを務める時に必須のアイテムだった。
色は黒とコンの二色。
保嗣のお父さんは、大概は好んでコンを履いていた。
ぼくが咬み破らせてもらったのも、コンのほうが圧倒的に多い。
そう、保嗣だけではなくて、ぼくは保嗣のお母さんも、お父さんまでも”支配”していた。
いつでも血を吸える関係になることを”支配”すると呼ぶ秩序のなかで、
世間的には年上で目上であるひとも、奴隷にすることができる。
ぼくは自分の血のほとんどと引き替えに、そういう特権を得ていたのだ。

「ぼくので良かったら、吸う?」
お父さんは、いつも優しい。
保嗣の優しさもきっと、お父さんに似たのだろう。
ぼくはお礼を言って、お父さんの好意にしたがうことにした。
「きょうはどうして黒なの?」
「コンのほうが良かったかな」
「ううん、そんなことない。ただ訊きたかっただけ」
「家内が抱かれているときはね、家内の操を弔っているんだよ」
なるほど・・・
黒は確かに、弔いの色だ。
けれども同時に、人をそそるなにかを秘めている。
じゃあさっそく・・・
ぼくはお父さんの足許に、かがみ込んだ。

吸いつけた唇の下、
薄地のナイロン生地のなめらかな舌触りが愉しかった。
いつも以上にいたぶったのは、
お母さんの代役を務めてもらっているのだからという意識があったから。
お父さんはそれでも、嫌な顔をせずに、ぼくの行為を受け止めてくれる。
ずぶ・・・
犬歯を埋め込んだ時、痛いだろうな、と、おもった。
けれどもお父さんは、ちょっとだけふくらはぎを引きつらせただけで、ぼくの牙を受け容れてくれた。
ちゅうっ。
ひそやかな吸血の音があがった。
ぼくの鼻腔に活き活きとした、働き盛りの血液の芳香が、心地よく充ちた――

リビングのじゅうたんのうえ、お父さんはあお向けになって倒れていた。
ぼくに血を吸い取られたせいで、貧血を起こしたのだ。
お父さんは顔を覆っていたが、
「まだ欲しいようなら、構わないよ」
と、いってくれた。
ぼくは遠慮なく、好意に甘えた。
今度は首すじに、食いついたのだ。
ジュッと撥ねた血潮が、お父さんのシャツのえり首に撥ねた。

「したいんだろ?」
お父さんがぼくに言った。
なにを――?答えは決まっている。
ぼくは無言でうなずいた。
「わたしで良かったら、相手をするよ」
「お願い」
言下にこたえた声が、切羽詰まっていた。
じっさい、ぼくのお〇ん〇んは、爆発しそうだった。
お父さんは素早くスラックスを脱ぎ、パンツを脱ぐと、無防備な股間をぼくの腰にあてがった。
ぼくは保嗣のお父さんを、三回犯した。
引き抜いた一物をいちどウェットティッシュで拭うと、こんどは口にまでもっていく。
お父さんはそれすらも、嫌な顔をせずに受け止めてくれた。
根元まで、ずっぷりと、含んでくれて。
爆発したぼくの粘液を、残らず舐め取ってくれた。
お父さんの身体から摂った血液が、ぼくを”元気”にしていた。
ぼくはもういちどお父さんの足許に咬みつくと、
薄い靴下を見る影もなく咬み破りながら、血を吸い取っていった。
お父さんが気絶して、静かになってしまうまで。

ただいまぁ。
のんきな声が、玄関に響く。
お母さんが侵され、お父さんまでおなじ目に遭っていると知らない、のんきな声だ。
ぼくはべつの欲求が咬ま首をも経て下来るのを感じた。
そう、吸い取ったばかりのきみのお父さんの血が、きみの血を呼んでいるんだ。
はやく、リビングに入っておいで。
部活帰りのハイソックスが真っ赤になるまで、楽しんでやるから。


あとがき
5月ころまで描いていた、同性ものの後日談です。
↓このあたりから、始まっています。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3933.html
前の記事
オフィスに行って、男の子の生き血を吸った記録。
次の記事
転入生の告白

コメント

柏木さま
御無沙汰しています ゆいです。
暫くぶりで、すいません。

 気を抜いているうちにかなりアップされてて、あたふたしています。取りあえず上から3話ほど読ませてもらったところです。

 5月頃からのお話の続きということで、読みやすかった感じですね。
エロチックな状況がありありと感じられて、ちょっと興奮しちゃいましたwこういう情景に興奮するなんて、自分もかなり変態だなって思っちゃいます。

「黒は確かに、弔いの色だ。
けれども同時に、人をそそるなにかを秘めている。」
この2行、とても好きですよ^^凄くそう感じるから。だから自分も喪服着るのが好きなのかもしれません。

7月分かなりあるので、これからゆっくり読ませてもらいますね。4400もあともうちょっと^^

by ゆい
URL
2020-08-02 日 09:12:11
編集
ご返事のほうがおろそかになってしまい、大変失礼いたしました。
私のほうも、
こういう組み合わせに興奮を覚えながら描くということは、
数年前にはまったく予想もしていませんでした。

黒は弔いの色です。
でも、なぜかそそられる色です。
どうしてそうなのか?
答えの出ない答えを求めて、今後も書き綴ってまいります。
お見限りなく、見守って下さいね。
by ゆい 様
URL
2020-08-10 月 22:58:26
編集

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