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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

オフィスに行って、男の子の生き血を吸った記録。

2020年08月05日(Wed) 07:16:10

「男の子の血に興味はありませんか
室長補佐はそういって、えせ笑いを浮かべた。
この男は、あまり好きになれない。
自分が血を吸われたくなさに、おためごかしにほかの者のことを紹介したがる。
もとより、彼から血を獲ようなどとは思ってもいなかったが、
大人ばかりの職場に男の子がいるというのが気になって、「逢ってみよう」といった。
室長補佐は私に相づちを打つのさえ省略して、
「ああきみ、タカヤくん連れてきて」
と、若い女の子に指図をしていた。
紹介すると言いながら、連れてくるのさえ人任せである。
こんな男とは早く別れたいと念願しながら、その男の子とやらの出現を今や遅しと待っていると、
こっちの気分を見透かすかのように、室長補佐がいった。
「待ち遠しいですか?」
ことごとに、嫌な奴だ。
だがこの男は知るまい。
私と自分の妻とが、好い仲になってしまっているのを。
そのうえ、長男が私に、女のようにして愛されてしまっているのを。
二人は室長補佐の悪い性格を補って余りあるくらい、善良な人たちだった。

連れてこられた少年は、まだローティーンもいいとこだった。
清潔な感じのする五分刈りの髪型の下に、人懐こそうな整った目鼻立ちがあった。
グレーと白のボーダー柄のシャツにデニムの半ズボン、
ひざから下は、グレーとピンクのボーダー柄のハイソックスを履いている。
泥で汚れた運動靴なのが、バランスを欠いていて、しょうしょう惜しまれた。
「運動靴なんだね」
うかと口に乗せてしまうと少年は笑って、
「逃げるのに便利だから」
といった。
「誰から逃げるのか」と訊くと、「嫌な吸血鬼には、血を吸われたくないもの」と、正直にいった。
「嫌な奴もいるのかね」
「ママの血を吸ってるやつ。あいつ、ママの事イジメるから嫌いなんだ」
ほんとうにいじめているのだろうか?と、私は反芻する。
性行為のときのある種の体位が、年頃になりかけた子供たちの目には、女をイジメているようにみえるという。
「でも小父さんはいい人ぽいから、構わないよ」
どこまでも、人の考えていることを見透かす子だな、とおもった。
そういえば、室長補佐もさっき、待ち遠しいですかなどと、人の先回りをするようなことをほざいた。
どうやら、わかりやす過ぎる私の態度にも、問題があるらしい。

「どうぞ、どこからでも」
男の子はそういって、脚をぶらぶらさせた。
首すじか、足許か。
彼は吸血鬼の性癖を良く心得ているらしい。
私は迷わず、彼の足許に唇を吸いつけた。
ボーダー柄のハイソックスのツヤツヤとしたリブが、目に眩しい。
靴下の生地のしっかりした舌触りが私を夢中にさせて、不覚にも洩らした唾液が、少年の靴下をよけいに汚した。
「あ、気にしないで」
男の子はそういうと、私の両肩を抑え、なぞるように掌をせり上げて、私の頭を抱いた。
「ぼくのことは気にしないで、楽しんでね」
どこまでもサービス精神旺盛なやつだった。
気がつくと私は、少年の履いている女の子が履くような色のハイソックスを、
すみからすみまで舐め抜いて、辱め尽くしてしまっていた。

気がつくと、ハイソックスごしに牙を埋めていた。
こんなに夢中になったのは、久しぶりだった。
喉がさほど渇いているわけではないのに。
一時間前に襲った室長補佐の夫人は、自宅のリビングでまだ、あお向けに伸びていることだろう。
少年の靴下を汚しながら摂る血の味は、ひどく良く喉になじんだ。
両方の脚からかわるがわわる、血をいただくと、身体をせり上げて少年の頭を抱き、首すじに舌を這わせていた。
「ぁ・・・」
さすがに少年は声をあげ、けれどもなんの抵抗もしようとはしない。
私は少年を床に押し倒して、柔らかな首すじにずぶりと牙を埋めた。
この子の血は身体に良くなじむ。きょうの出逢いは良き出逢いだ。

少年が静かになってしまうまで血を摂ると、
私は血の気の失せた唇に、自分の唇を重ねていった。
少年はまだ意識が残っていた。
そして、嗅がされる自分の血の匂いに敏感に反応して、少しもだえた。
けれども、頭を撫でながら接吻を続ける私のいうなりになって、
自分のほうからも舌を入れてくるほど積極的に、私の欲望に応えてきた。

帰り際、受付の女性に訊いた。
あの子はどこの家の子なのかね?と。
女性は入社十数年のベテランで、首すじにはお約束のように、咬み痕を露出させている。
女性は艶やかに笑った。
そして、笑ったことについて失礼しましたと丁寧に詫びて、名前と連絡先ですといって、一片のメモ用紙を手渡してくれた。

どうして彼が親しげで、血の味が舌になじんだのか、やっとわかった。
十年間顔を合わせていなかった、私自身の息子の名前が、そこに書かれていた。
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