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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

【寓話】夫の寛容 未亡人の機智

2020年08月06日(Thu) 08:19:56

ある吸血鬼が、美しい人妻を狙った。
そして、人妻を襲う前にその夫を襲い、血を吸い尽くした。
夫は血を吸われながら陶然となって、
もう少し生かしてくれたらきみにはもっと血を吸わせてやりたいといった。
けれども吸血鬼は、ひどく喉が渇いていたので、そのまま夫を吸い殺してしまった。

未亡人は夫の死をひどく悲しみ、喪服姿でいつまでも夫のひつぎの傍らにいたが、
夜も更けて弔問客が帰ってしまうと、
かねて彼女に狙いを定めていた吸血鬼が姿を現した。
未亡人は声をあげて逃げ惑い、必死に抵抗したが、
首すじを咬まれ、黒の靴下を咬み破かれながら、うら若い生き血を吸い取られていった。
さいごに犯されてしまうと、彼女は泣いて怒って言った。
「あなたはなんということをなさるんです。せめて夫をわたくしに返してください」

美しい人妻に柳眉を逆立てられて、すっかりしょげてしまった吸血鬼は、
棺を開けて夫を生き返らせた。
さいしょの晩に夫の血を美味いと思ったし、かなうことならまた吸いたいと思っていたので、
その余地を残しておいたのだ。
妻は驚喜し、夫を介抱して寝かしつけると、
お礼をしたいと言って、着崩れた喪服姿をもういちど、吸血鬼の猿臂にゆだねていった。

妻と夫はそれまで同様仲睦まじく暮らしたが、
生き返ったときに目にした妻の喪服姿が忘れられず、
毎週金曜の夜になると、妻に喪服を着せて吸血鬼の邸を訪れるようになった。
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自宅に侵入した吸血鬼に、ストッキングを穿くよう願われた。
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