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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

三人の妻。

2020年08月26日(Wed) 18:32:55

一、一人めの女

「お願い!咬まないで!血を吸わないでっ!死にたくないんです!私来月結婚するんですぅ」
夜道で吸血鬼に迫られたその女は、髪振り乱しいやいやをして、必死になって哀願した。
吸血鬼は女を壁に抑えつけながら、いった。
「わかった。死なさない。だがちょっとで良いから血を分けてくれ」
「ほんと・・・ほんとね?絶対殺さない?約束する?」
不覚にも女が油断して、腕から力を抜いたとき、男は女の首すじをがぶり!と咬んだ。
「ああーッ!」
女の絶叫があたりに響いたが、吸血鬼に襲われることが珍しくないこの街では、だれも出てこようとはしなかった。

ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅうううっ。。。
嫌らしい音を立てながら、意地汚く血を啜られて。
女はいつか慎みを忘れて、愉しみ始めていた。
咬まれることの快感に目覚めてしまったのである。
男は変態だった。
ストッキングを穿いた脚を舐めさせろとせがまれて、
おずおずと差し伸べた足許に、物欲しげな唇をぬるりと這わされていた。
薄地のナイロン生地の舌触りを、たっぷりと愉しまれて。
それがイヤラシイ行為だと、百も承知でいながら、許しつづけて――
しまいに女は、吸血鬼に身体を開いて、勤め帰りのスーツ姿のまま、犯されていった。

「お願い!そんなこと言わないで!私貴男が好きよ。来月結婚するんでしょう?」
女は男にとりすがる。
しかし、思えば無茶な相談だった。
ーー私、吸血鬼に襲われたの。あの人たちったら、セックスを識ってる女の人を犯すのよね。
  私も犯されちゃった♡
  でも私、貴男が好きよ。
  予定通り式を挙げて、でも時々あのひとに逢わせてね。

男は婚約を破棄し、女は泣く泣く吸血鬼の邸を、訪ねていった。


二、二人めの女

「おやめください、なになさるんです、あ、あ、あ、あうう~っ!」
新婚三か月の新居のなかで。
新妻はうろたえながら、逃げ惑う。
どこから入って来たのか、目のまえには牙に血をあやした吸血鬼。
そう、第一の獲物だけでは飽き足らず、ほかの獲物を探していたのだ。
長い黒髪をユサユサと揺さぶりながら、痛みに耐えて歯を食いしばり、
抱きすくめられた上体を、なんとかふりほどこうとする。
けれどもそうしている間にも、男は女の生き血をずいずいと啜りつづけて、
女の頬は貧血にみるみる曇ってゆく。

行儀のよい女だった。
いえにいる時も、スカートにストッキング。
それが、吸血鬼の目を惹いたらしい。
気絶した新妻の足許に這い寄ると、ストッキングに包まれた太ももに、ちゅうっ・・・と唇を吸いつけた。
まだまだ、吸血の欲情は終わりを迎えないらしい。

「きみって女は、まったくけがらわしいよ!」
剥ぎ取られたブラウスで胸を隠し、うなだれている新妻を、帰宅してきた夫は無情に面罵した。
女にももちろん、非はあった。
彼女の言い草は、思えば無茶な相談だった。
――お昼にね、吸血鬼が来たの。
  それで私、喉が渇いていたみたいだから血をあげちゃって・・・あとはわかるでしょ?
  それでね、恥ずかしいけど、イッちゃったの。
  時々あのひとと、逢ってもいいかな・・・?
女はどうしてこうも浮気心ばかりなんだ?
男は無情にも、言い捨てた。
「出ていってくれ」


三、三人目の女

数年後。
男の勤務先で、両銃乱射事件が起こった。
相手は、頭のおかしくなった中年男だった。
犯人は、婚約者と新妻を捨てたその男を人質に、事務所に立てこもった。
ワンワンと鳴る赤いサイレンを横目に、吸血鬼が現れて、署長にいった。
「中にいる人の身代わりになれないか?」
男は枯れ木のように痩せこけていて、見るからに弱そうだったから、
犯人はなんなく人質交換に応じ――そしてなんなく逮捕された。

吸血鬼も、捕り物の最中に大けがをした。
この男に女を二人も寝取られたのかと思うと我慢ならなかったが、
恩義もあるのでと思い直した男は、吸血鬼に自分の血を吸わせた。
・・・・・・。
自分の女が堕ちたのを責めた自分は、どうかしていたと思った。
牙の毒が、男の血管のすみずみにまでいきわたるのに、さほどの時間はかからなかった。

「どういうことなのだ?」
「あんたと俺が不幸にした女を、俺が囲っているということだよ」
吸血鬼はいった。
「だが、二人ともあんたを忘れかねとる。時々逢ってやる気はないかね?」
「俺にはもう別の妻がいる」
「簡単なことだ」
「それだけはやめてくれ!」
やめる相手ではないと、男はすぐに観念した。

男は自分のいまの妻を紹介し、その場で襲わせた。
最初は戸惑い、気丈に抗っていたものの。
いちど首すじを咬まれてしまうと、ほかの女たちといっしょだった。
ワンピースのすそをたくし上げられて、
パンストを片方穿いたままの脚をじたばたさせながら、ひたすらよがり狂っていった。


四、降参!

「女がみんな同じだと、わかってしまったよ」
「すべての女がこうだとはいわない」
吸血鬼はいった。
「でもどうやら、あんたのところにはそういう女が集まるようだな」
「いまの家内も、きみに捧げよう」
吸血鬼は鄭重に礼を言った。
そしてつづけた。
いっそ、ほかの二人も交えてみては?

吸血鬼が血を吸う。
貧血から回復する。
そして夫の家で人間の人妻として暮らす。

その繰り返しをするのに、三人というのは都合の良い数ではないか?
「女たちが妬かないかな」
男は考え込んだ。
「その用心深さがあれば、たいがいなんとかなる」
吸血鬼は請け合った。

こうして、三人目の女も、男のもとからめでたく?略奪され、
入れ代わりに最初の女がやって来た。
「Hもいいけど、美術館に連れてってくださる?昔みたいに」
「それはいいね、じゃあ帰りはいつものレストランで食事をしていこうか」
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